■言ってしまいがちなNG言葉

時間をかけて採用し、ここまで一生懸命育ててきた社員に「辞めたい」と言われると、ついつい小言を言いたくなるかもしれません。

しかし、一番やってはいけないことは「相手の気持ちを聞かず、自分の考えを押し付けること」です。

では、どのような言葉が該当するのでしょうか。

 

◇「大きな結果を残していない」「今仕事を辞めてどうするんだ」

このように、話を聞かずに叱責するだけでは「辞めたい」という気持ちを助長する結果になり、何も解決しません。

可能性を持っている人材をみすみす手放すことになります。

 

◇「忙しい時期だし、辞められると職場が回らない」

辞めたいと言われて、思わず本音がポロリ。

その通りなのかもしれませんが、会社都合で慰留する言葉も厳禁です。

辞めようと考えている社員にとって、会社の今後なんて関係ありませんし、気持ちを理解してくれないとガッカリするだけでしょう。

 

◇「もう少し頑張れるんじゃないかな」

一見、問題のある対応には見えないかもしれません。

しかし、理由もなく「頑張れ」と言われることにプレッシャーを感じる人もいます。

話を聞かずに、在籍して欲しいというアピールをしても社員には響きません。

 

■退職理由を細部まで聞き出す

「辞めたい」という思いをとどまらせるためには、このような考えに至った過程や理由を聞き出し、問題を解決していく必要があります。

一方的な説得は、前述したとおり意味がありません。

相手が話をしている間は気持ちをグッと抑えて、本人の考えをしっかり確認しましょう。

 

一通り話を聞いてみると、大きく分けて2通りの理由が出てくると思います。

1つめは「家業を継ぎたい」「本当に挑戦したい仕事がある」といった自己成長を目的とするポジティブな理由。

2つめは「やりたい仕事と違った」「結果や成果がでない」など現状から逃げ出すことが目的のネガティブな理由です。

 

本人の意思が固いポジティブな理由であれば、了承することになるでしょう。

退職するまでサポートし、「良い会社で働けた」と感じてもらえるよう努めましょう。

しかしネガティブな理由であれば、本人の気持ちがまとまっていないケースが多く、考えを改める可能性が大いにあります。

「本当はどうしたいのか」「どうなりたいのか」を具体的に聞いて、どのような対応をするか方針を固めて行きましょう。

 

■今後のキャリアイメージを一緒に考える

会社としては個人の能力に期待して配属先を決めたり、成長の度合いに合わせて仕事を割り振ったり、社員のことを考えたさまざまな研修・教育制度を用意していると思います。

しかし、それが本人に伝わっていないと、「この会社では将来を見据えて働くことができない」「キャリアアップが実現できない」といった気持ちを抱いてしまうことが多くなります。

 

実際、入社から3年以内に離職した人を対象にしたアンケートの中で、退職理由のトップになったのは「キャリアが望めない」だったそうです。

会社が期待している成長スピードと、本人が考えているキャリアの間にギャップがあるということが主な原因だと言えます。

もし今の業務が本人のイメージと違うのなら、将来的に「希望の仕事へ繋がっていく」ということを、しっかり説明してみてください。

 

また、何かをやり切った経験や成果を残した経験がないまま「辞める」という選択をした場合は、自分に対する“甘え”が原因で、転職先でも上手くいかない可能性があります。

「今担当している仕事をやり遂げてから別の道を考えるのも遅くない」ということを、親身になって話してみましょう。

 

■一番良いのは「辞めたい」と言われる前に気づくこと

前述した内容は、あくまでも「退職」という話が出たあとの対処についての話でしたが、一番良いのはマイナス情報を事前にキャッチできる仕組みを確立させることです。

「カウンタオファー(退職引止め交渉)」を受けて転職を思いとどまった人の確率は、わずか24%という結果も出ており、「辞めたい」という結論に至ってからの対応では手遅れだと言えます。

 

社員が退職を意識するまでにはさまざまな過程があり、思い悩んでいたケースがほとんどです。

あなたにとっては突然のことかもしれませんが、何かしらの前兆やサインが出ていたことでしょう。

その段階で変化に気づければ、退職という最悪の事態に陥ることは少なくなります。

 

具体的には、社員の様子を丁寧にウォッチングしたり定期的な面談を行うなど、敏感に反応できる関係性を作り上げることが大切です。

もしあなた一人で管理が難しい場合には、情報共有を密に行えるサポートスタッフを用意し、手伝ってもらうことが必須になります。

とはいえ、いきなり体制を整えるというのは難しいと思うので、まずは「ベストな対応」から心掛けてみてください。

 

■まとめ

社員にとって「辞める」という選択をするのは人生をかけた出来事です。

相手の話を丁寧に聞き、どのような将来を築いていけるのかを明示することが一番大切です。

また、話を聞くだけでは本音が出てこないことも多いので、会議室や喫茶店を利用するなど、他の社員の目がないところに行ってみるのも良いでしょう。

 

縁あって入社した社員を、「退職」というカタチで失うことは会社にとって損害にもなりえます。

原因のほとんどは社内問題だと思うので、一度会社の様子を客観的に観察してみることもオススメです。

それでも、「辞める」という社員には、今回紹介した対応をとって、思いとどまらせるよう説得してみてください。