感情的にならない話し方 和田秀樹Photo:PIXTA

即断即決ができる人ほど、ビジネスの世界ではリーダー適性があり能力が高いと見られます。でも、本当に即断即決イコール有能といえるのでしょうか。「考えるより行動」が、ときとして感情に流される危険な行動である場合もあります。人間心理に関する多くの著書を持つ精神科医の和田秀樹氏の新著『感情的にならない話し方』からの抜粋で解説します。

即断即決は優柔不断タイプより
能力がありそうに見えるが…

 現実社会では、すぐに答えを出す人や、すぐに行動に移せる人のほうが人気を集めます。

 決断力とか実行力というのは、リーダーの必須条件のようにさえ思われています。

 それに対して、すぐに答えを出せない人、実行に移せない人には優柔不断とか弱腰といったマイナスイメージのレッテルが貼られてしまいます。

 ビジネスの現場ではとくにそういった傾向が強くて、べつにリーダーでなくても即断即決のできる人間ほど、能力がありそうに見えてしまうし、周囲もそういう判断をする傾向があります。

 もちろんこれはわたしの印象にすぎないかもしれませんが、少なくとも、すぐに結論を出して動くビジネスパーソンほど、バリバリと仕事をしているように見えるのは事実でしょう。

 しかも、即断即決タイプは優柔不断なタイプより颯爽としています。

 エネルギッシュで、エキサイティングな印象があります。スローガンは「考えるより行動」であり、「イエスかノーか」であり、「先手必勝」であり、結局、「やるならいまだ」「いましかない」という思考回路になります。

 政治家でも経営者でも、こういうタイプのリーダーは目立ちます。いつの時代でもそうでしたが、いまの日本はとくにそういう傾向が強いように感じます。