Yaroslav Danylchenko/ Stocksy

組織においてさまざまな形の協働が増えているが、他部門との会議ほど、時間の無駄に感じるものはないだろう。互いに遠慮し合い、結論が先送りにされ、何回集まっても物事が前に進まない。そうなれば、参加者の士気は低下し、目的が達成されることはまずない。そうではなく、議題に正しく取り組み、会議を効率的に行うために、筆者が提案するのが「主張」のテクニックだ。本稿では、会議とそこから得られる成果について、有効に主張するための5つのプロセスを紹介する。


 他部門との会議にはお馴染みのもどかしさがあり、会話が始まる前から結果を予測できる。出席者は頷き、発言は曖昧で、さらなる情報が求められ、次の会議でも同じ話が繰り返される。辟易し、話が進展しなくても、この言葉と時間の無駄を誰も指摘しない。

 筆者はクライアントであるエグゼクティブチームと仕事をする中で、彼らが直面する最大の課題の一つが、部門を超えて仕事をすることの葛藤であることがわかった。それにはさまざまな理由があり、自分のチームに共通のアジェンダがあるとすぐに団結し、別のグループの目標には関与しない傾向もその一つだ。

 ゼロサムゲームであるという誤った前提で仕事をしているチームも多い。より多くの人材やプロジェクトの承認、注目を浴びるには、他部門からそれを奪い取らなければならないと感じている。

 会議は、こうした不安の現れだ。会議の出席者は、協働や寛大さといった会社のバリューに沿っていないことを指摘されたくない一方、自分たちの領域について譲歩したくない気持ちもある。

 そこで、「もっとデータを集めて、また話し合いましょう」あるいは「フィードバックをありがとうございます。検討してみたいと思います」などと、遠回しな言い方で意見の一致を装い、水面下で衝突する。社内政治を重視すると、組織は顧客を軽視し、競合他社に市場の優位性を譲ることになる。

 幸いなことに、会議をもっと充実させて、問題を素早く解決し、同じことの繰り返しを減らし、生産性を高めるための、すぐにできるシンプルな方法がある。そのテクニックとは、筆者が「主張(claiming)」と呼ぶものだ。

 筆者はマイクロソフト時代、エンジニアから人事へとキャリアをシフトすると、CEOや最高幹部に対してプレゼンテーションを頻繁に行う必要が生じた。領域を変えたことで学ぶべきことは多かったが、さまざまな部門を代表するエグゼクティブが出席する会議を膠着状態から脱却させることも、その一つだった。

 試行錯誤の末、主張のための5つのステップを考案した。会議とその成果について、有効に主張するためのプロセスだ。

 過去15年以上にわたり、筆者のクライアントであるエグゼクティブの多くが、あらゆる会議においてこの主張のテクニックを採用し、習慣にしてきた。それによって議論は効率化し、会議の成果に対してより戦略的になり、過去の分裂を超えて混乱や不一致を減らす助けとなっている。

 素晴らしい主張を実現するための5つのステップを、以下に紹介しよう。