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管理職に昇進することは、キャリアにとって望ましいステップだと考えられている。だが、ステップアップしたにもかかわらず、ステップダウンしたかのように感じる「管理職の憂鬱」に陥る場合がいる。仕事に意義を感じられず、いずれ職場を離れることになれば、個人にとっても組織にとっても大きな損失となるだろう。そこには、以前の業務から新たな役割に移行する際の「期待」が影響していると、筆者らは指摘する。組織やリーダーが管理職の憂鬱を正しく理解し、昇進後も彼らに最大限の能力を発揮してもらうために何が必要かを論じる。


 管理職になることは通常、キャリアの望ましいステップと考えられている。名誉があり、やりがいもありそうな地位に就くことは大きな業績と見なされ、より多くの責務を任せられる存在として組織から信頼されたことを示す明白な証でもある。

 ところが、一部の人々は「管理職の憂鬱」を体験するというエビデンスがある。管理職の仕事に幻滅し、それまでの仕事ほど有意義でないと感じるのだ。その結果、管理職になってさほど時間が経たないうちに、あっさりと職場を去ってしまう場合もある。これは本人のキャリアにとっても組織にとっても、はなはだしい損失だ。