優れたリーダーはどのように考え、行動しているのか?
リーダーにとって必要な資質や能力を高める、100の習慣を大公開!
本連載の著者はこれまでに国連や世界銀行グループ、政府、学校など様々な組織のリーダーへ、コーチングをおこなってきた、英国の超一流コーチ、ナイジェル・カンバーランド氏。
その経験から導き出した、リーダーとしての成功に近づくために欠かせない考え方や習慣、スキル、人間関係、行動をまとめたのが『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』です。本書の刊行を記念し、その内容の一部を特別公開します。
では、さっそく、よりよいリーダーになるための一歩を踏み出しましょう。

ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣Photo: Adobe Stock

成功するリーダーは無駄口を叩かず、
成功しないリーダーは不必要な一言で場を台無しにする

 あなたは、黙っているのが苦手で、常に何か言うべきことを探そうとしていませんか?

 リーダーの多くは、自分の声を他人に聞いてもらおうと必死になるあまり、意見や考えを心のなかに留めておくことができません。みなさんも、次のような人をよく知っているのではないでしょうか。

・会議に遅刻した人をネチネチと批判する
・場違いなジョークを口にしてばかりいる
・どんな議論でも必ず最後の一言を言いたがる
・他人の外見や生き方について何かにつけ意見を述べたがる

 頭に浮かんだことをよく考えもせずに口にしてしまうのは、災いのもとになります。人の話に耳を傾けず、相手を尊敬せず、批判ばかりしているリーダーからは、部下が遠ざかっていきます。アメリカの大統領やイギリスの首相など、世界的なリーダーを見ていれば、彼らのメッセージが大勢の人を勇気づけることもあれば、不安にさせることもあるのがわかるはずです。

 リーダーの言葉には影響力があります。それだけに、軽はずみな発言は相手に強いストレスを与え、相手を嫌な気持ちにさせるのです。

ポジティブな言葉はその場で、
ネガティブな言葉は時間を空けて伝える

 何かを話す前に、いったん頭のなかで確認するようにしましょう。あなたが伝えようとしている言葉は、相手をよい気分にさせたり、高揚させたりするものでしょうか?

 それとも落ち込ませたり、嫌な気分にさせたりするものでしょうか? 相手を喜ばせられるという確信が持てるのなら、すぐにそれを伝えてもいいでしょう。しかし批判的な言葉を口にするときは、本当にそれを伝える必要があるのかどうかをよく考えるべきです。

 たしかに、それを伝えなければならない場合もあるでしょう。しかし、単に自分の考えが正しいことを証明したい、議論に勝ちたい、相手よりも優位に立ちたいという理由だけで、批判的な発言をしようとしてはいないでしょうか。

 思ったことをすぐ口にするのが習慣になっているのなら、何かを言う前にはひと呼吸置いて、「これを言ったら相手を不快にさせてしまわないだろうか?」と考えましょう。一晩寝て、翌日、本当にそのことを相手に伝えるべきかをあらためて考えてみるのです。

 これは、冗談や即興のコメント、体験談などを話そうとするときにも当てはまります。相手をポジティブな気分にさせることは積極的に話すべきです。しかし、不快感を与えるもの、無神経なもの、差別的なものになっていないかどうかには十分に注意すべきです。

「送信」ボタンを押す前にひと呼吸置く

 メールでも、しゃべるときと同じように、まずひと呼吸置いて考えてみるべきです。忙しいときは、あまり考えずにメールを送信しがちです。「送信」ボタンを押す前に、メッセージのトーンや内容、意図を確認しましょう。相手に送ってしまった後で、内容が不適切だったと気づいても後の祭りです。必死に謝っても、ダメージを完全に取り戻せるとは限りません。

 メールはまず下書きとして保存し、時間を置いて見返してみて、言葉の選択が適切であると確信できた場合にのみ「送信」ボタンを押すようにしましょう。

(本稿は、ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』を抜粋、再構成したものです)

ナイジェル・カンバーランド(Nigel Cumberland)
作家、リーダーシップ・コーチ
1967年、イギリスのヨーク生まれ。ケンブリッジ大学卒業。世界最大級の人材サービス会社Adeccoや世界3大ミシン糸メーカーCoats plcで財務部長を務めた。シルクロード・パートナーシップの共同創立者。ロンドンとドバイを拠点に、同社を通じて企業幹部を対象にリーダーシップ・コーチングやメンターリングをおこなう。ハーバード大学メディカル・スクール付属コーチング養成機関の創立研究員でもある。これまで香港・ドバイ・ブダペスト・サンチアゴ・上海・ドバイで暮らし働いた経験から人生で成功するヒントを得た。これまでに出版した8冊の著書は、ドイツ・中国・ポルトガル・スペイン・ロシア・チェコ・スロバキア・ルーマニア・ドバイをはじめとする中東諸国・ブラジルなどの各国で翻訳されている。著書に、シリーズ10万部突破の『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともに児島修訳、ダイヤモンド社)などがある。
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。訳書に『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともにナイジェル・カンバーランド著)、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(モーガン・ハウセル著)、『DIEWITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)(いずれもダイヤモンド社)など。