ディスカバリーズは9月20日、東京大学大学院経済学研究科の稲水伸行准教授の研究室とオカムラと共同研究していた、オフィス内外での行動データを分析して、ハイブリッド・ワークにおけるクリエイティビティの高い働き方のモデルを発見するという研究において、組織学会学術誌『組織科学』に、論文「時間展望とクリエイティビティ:細かい時間単位の行動データを用いたハイブリッド・ワークの分析」を共著で公開したことを発表した。

同研究は、オフィスの使い方というオフラインでの行動と、チャットなどのオンラインでの行動の両面からワーカーの行動を分析・検証し、オフィス内のどの場所にどのように時間を配分すれば、業務で望ましい結果に繋がるのかを明らかにすることを目的にしているもの。

3者は、調査対象の家具メーカーX社のオフィスで働く4つの事業部、従業員257名において、ビーコン(極低電力の近距離無線通信規格「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した位置特定技術ないしはそのデバイス)によるオフィス内の行動データ、IntelliReportを使用したオンライン上の行動データ(ビジネスチャットデータ)、質問紙調査による回答の3点を組み合わせたデータセットを用いた分析を行った。

その結果、クリエイティビティの高い人の行動パターンとして、物理的・空間的にオフィス環境に制約されず、オフィス内利用場所の多様性が中程度であるということが明らかになったという。これは、ホームベースとなるような場所(トータルで7~8割程度滞在する場所)がありつつ、適宜複数の場所を使うという行動パターンを指す。多様性が高まる場所や空間では革新行動が高く、そして、働く時間や配分を主体的に選択できることが重要であると示唆しているという。

具体的な行動の傾向としては、「1日のオフィス滞在時間が、3~5時間のワーカーが最もクリエイティビティが高い」「オフィス内の行動では、場所の使い分けが適度にできているとクリエイティビティが高い」「オフィス内利用場所が多様な人ほどチャット日数と1日平均チャット数が多い。また、チャットグループの多様性も高い」「出社日数が多いほどチャットグループの多様性が高い」という結果が出ているとのことだ。

  • 具体的な行動の傾向