JTの内定者懇親会が教えてくれる、内定者同士の“つながり”の大切さ

あと2カ月ほどで“23卒生”が社会に飛び立つ。その23卒生の採用活動において、「内定者フォローや辞退防止のために実施したこと」を企業に聞いたところ、従業員501名以上の大規模企業も500名以下の中小規模企業も、回答の1位が「内定者懇親会」だった。コロナ禍で、内定者向けのイベントや内定式が対面では行いづらくなっている昨今、「内定者懇親会」はどのような内容で、どう開催されているのか――内定者同士に加え、人事担当者と内定者の関係を構築することで参加学生の入社意欲を高めている日本たばこ産業株式会社の三島紀子さん(日本マーケットCountry P&C Recruitment)に話を聞いた。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

*株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース【23卒採用アンケート調査】

オンラインでの開催だった23卒「内定者懇親会」

 2022年4月に日本たばこ産業株式会社(以下、JT)に新卒で入社した三島紀子さんは、現在、採用チームのメンバーとして、WEBサイトの採用ページ作成や24卒生向けインターンシップの実施と本選考の準備、そして、今年2023年4月入社予定の内定者(23卒生)のフォローを行っている。三島さんは22卒生なので、1学年下の内定者と2学年下の就活生に向き合っている毎日だ。

三島 私が当社(JT)の内定者だった2021年度は、9月に「内定者懇親会」というイベントがあって、オンラインで集まった内定者が、メインプログラムの「謎解きゲーム」を行いました。それから1年がたって、23卒生の「内定者懇親会」を採用チームのメンバーになった私が企画し、実施することになりました。内定者フォローのイベントとして、目的は何か?より良くできる部分はないか?――内定者として参加した際に感じたことを元に考えながら取り組みました。「謎解きゲーム」がメインになってしまうと、黙考に時間を取られ、内定者同士の会話がどうしても少なくなってしまいます。私自身、ゲーム中はろくにしゃべれずに気まずい思いをした瞬間もあり、発言する量には個人差がありました。自発的に話せる学生もいますが、初対面で関係性がまだ構築できていないメンバーのなかだと気後れしてしまう学生もいます。だから、今回の「内定者懇親会」では、みんなが双方向で気軽に話すことができて、誰も置いて行かれず、お互いの人となりを知って関係をつくることができる機会にしたい、という思いが強かったです。

 例年、JTは、秋に行う「内定者懇親会」で内定者たちが顔を合わせる。コロナ禍の2020年度以降はオンラインで行われ、三島さんが企画した2022年度がオンライン開催での3年目となった。採用は職種別で、コロナ禍のために内定通知書の授与は郵送で行われたという。

三島 内定者が一堂に会するのはその場が初めて。私は2022年4月入社なので、実は23卒生の本採用にはほとんど携わっていません。ですから、「内定者懇親会」の進行役の私と初対面の内定者もいました。最初に人事部長からの講話があって、休憩を挟み、内定者による「ワーク」、その後、食事をしながらの「懇親会」という全体像は私が内定者だった昨年度と同じ。すべてオンラインなので、食事は宅配のお弁当を私たちが用意し、パソコン画面を通じて内定者同士が交流するというスタイルです。私の課題感は「関係性構築」というところにあったので、メインイベントとなる「ワーク」の部分を、昨年度のものからどう変えるかが重点でした。