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Teamsでオンライン会議に深み 眠れる意見引き出す 『Teams仕事術[改訂新版]』著者 椎野磨美氏(下)

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「会議は退屈で非生産的」という見方が根強い。しかし、オンライン会議を巧みに取り入れている職場では、従来のリアル会議よりも議論が盛り上がることも少なくないという。米マイクロソフトのコラボレーションツール「Microsoft Teams(以下、チームズ)」の手引き『Teams仕事術[改訂新版]』(技術評論社)を書いた椎野磨美氏は「会議を動かすファシリテーター(進行役)がチームズのスキルを磨けば、会議はもっと活気づく」と活用を勧める。オンライン会議での多彩な生かし方を、椎野氏に手ほどきしてもらった。(前回の記事「Teamsの裏技・便利技 オンライン会議が弾む方法」)

チームズを職場の会議に生かすうえで、椎野氏がキーパーソンと位置付けるのは、進行役に当たる「ファシリテーター」だ。職場での会議では特段、進行役を決めずに議論を進めるケースも珍しくないが、椎野氏は「議論が平行線をたどったり、論点がぶれたりした場合にファシリテーターの存在は重要」と説く。参加者全員が物理的に同じ場所にいるわけではないオンライン会議の場合は、議論の流れをコントロールするファシリテーターの役目がいっそう大きくなる。

ファシリテーターがチームズを巧みに生かすと、リアル会議とはひと味違った立体的な進行が可能になる。例えば、椎野氏が自ら活用するのが「アンケート機能」だ。「議論が白熱してきたら、匿名でアンケートを取って、その結果を示すと、以後の議論に方向感を出しやすい」。議事のかじ取りを進めながら、アンケートをその場で仕立てるスキルがファシリテーターには求められる。

議論の流れづくりに役立つだけではない。オープンな会議は民主的に結論を導くと思われがちだが、必ずしもそうでもないのが現実だ。職場で上席の者や、いわゆる「声の大きい人」が議論を誘導してしまうことが実際には珍しくない。発言モチベーションがあまり高くない参加者の意見は無言のまま埋もれてしまいやすい。

しかし、先の「匿名アンケート」を使えば、彼らの「声なき声」もしっかり数字に表れてくる。発言面で存在感の大きいプレーヤーに気を遣って、発言を差し控えていた「本音」が集計結果の形で表に出るのは、本来の意味での意見集約にプラスの働きをもたらすだろう。「チームズの機能を知っていて、議論に役立てようとするファシリテーターの有無は意見の偏りを防ぐことにもつながる」(椎野氏)

発言者が偏るのは、まずい会議の一例だ。必ずしも全員が均等に発言機会を得る必要はないだろうが、「挙手」ボタンを押してまで声を上げようとする人は多くない。しかし、発言ゼロの会議が続くと、参加する意義も疑わしくなりかねない。だが、いきなり指名しても「悪目立ち」を恐れる人は意見を発しにくい。

全員から意見を引き出すために椎野氏がしばしば用いるのは「全員挙手」の手法だ。最初に全員が挙手して、意見を述べたら、次の発言者を指名して手を下ろす。これを繰り返して、全員の手が下りるまで続ける。自分の発言までに気持ちを整えやすいこと加え、他人の発言も参考にできるから、心理的なハードルを下げられる仕組みだ。「普段はなかなか聞けない声を拾い上げられるうえ、参加意欲を高めるのにも効果的」という。

 

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