働き方

スタート春闘攻防、連合「中小企業や非正規にも視点を」と格差是正要求

 経団連の中西宏明会長と連合の神津里季生会長の労使トップが27日、東京都内で会談し、令和2年春闘をめぐる議論がスタートした。連合の神津会長は「中小企業や非正規の方々の(給与)水準が下がり、経営側も視点をあててほしい」と格差是正を訴えた。これに対し、経団連は、支払い能力など経営環境は「個社によって大きく違う」とした上で、職務や成果を重視した配分手法が適切とした。

 中西会長は同日開催された主要企業の労使が意見を交わす「労使フォーラム」であいさつ。グローバル化や経済のデジタル化の中で日本が競争力を強化するには「経営の方向性と一致して、(社員の)はたらきがいの向上するための職場環境の整備が重要」と述べ、賃上げと両輪で、総合的な処遇改善に労使で取り組むべきと呼びかけた。新卒一括採用や終身雇用など、日本型雇用の見直しも問題提起した。

 これに対し、連合の神津会長は、雇用の流動化には「国の政策を含めたセーフティーネットの構築が必要」と強調した。賃上げ手法では、連合は引き続き、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)の「2%程度」、定期昇給などと合わせて4%程度と、ベア重視を打ち出し、底上げを図る方針。各企業内における最低賃金の水準も明示している。

 両者は、世界景気など先行き景気見通しに不透明感はあるが、賃上げの勢いを維持することで一致した。ただ、具体的な賃上げ手法では意見の違いもあり、今後攻防がくりひろげられる見通しだ。

 経団連の中西会長は「賃上げのモメンタム(勢い)を維持することは大前提」と述べ、賃上げに前向きな姿勢を示した。一方、連合の神津会長は「日本の賃金水準は世界の中で大きく劣後している」と危機感を表明し、賃金水準の引き上げを訴えた。

 春闘は、主要企業の労使が意見を交わす「労使フォーラム」が29日まで開かれ、今後、産業別や個別企業の交渉が本格化し、3月に大手の回答が集中するヤマ場を迎え、3月11日が集中回答日になる。

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