見落としたくない オフィスに備えたい防災アイテム

オフィスに備える防災アイテムは、社員用の備蓄や個人装備だけにとどまらない。会社に立てこもって避難生活を送りながらビジネスを継続させるのか、帰宅困難な遠方に住む社員を一時的に避難させるかなど、環境や方針によっても異なる。オフィス用の防災アイテムは考えれば考えるほどきりがないが、意外と見落としがちなアイテムを中心に、実用性の高いアイテムを選りすぐってみた。家庭での備えにも応用できるかもしれない。
会社の規模に応じた電力を供給するアイテム
ソーラーパネルで充電できるアイテムは、長期化の恐れがある避難生活、電気の復旧までの間、持続的に最低限の電力を供給することができる。蓄電池のみの備蓄や手回し充電などに比べて比較的余裕のある電力を使用できる。



Nomad 5 Solar Panel(税抜き9800円程度)
https://www.ask-corp.jp/products/goal-zero/solar-panel/nomad-5-solar-panel.html
Boulder 50 Solar Panel(税抜き1万8000円程度)
https://www.ask-corp.jp/products/goal-zero/solar-panel/boulder-50-solar-panel.html
Yeti Lithium 400 (100V) Portable Power Station(税抜き5万9800円程度)
https://www.ask-corp.jp/products/goal-zero/battery/yeti-lithium-400-100v-portable-power-station.html
GOAL ZEROは、元々探検家チームやNPO法人が電気のない場所で活動するために採用されてきた経緯があるので、ほとんどのアイテムがソーラーパネル充電に対応し、太陽光発電による持続的な電力供給が可能なシステムとなっている。モバイル用のソーラーパネルは軽量コンパクトにするため割高に感じるが、据え置き型の高出力のパネルにしてはコスパが良いラインアップも揃っているのが魅力だ。
個人用にも、少人数の部署、フロア用にも使えるのが「Nomad 5 Solar Panel」だ。B5サイズ程度の大きさで5ワットの出力が得られる。後述のLighthouse 400というLEDランタンならば、条件にもよるが昼間の充電で夜通し点灯するだけの電力を賄うことができる。
GOAL ZEROはソーラーパネルのラインナップも豊富で、「Boulder 50 Solar Panel」や「Boulder 100 Solar Panel」といった、50ワット、100ワット出力のソーラーパネルもある。Boulder 50で1万8000円前後とコスパにも優れており、このクラスになると、Yetiシリーズなど大容量蓄電池の充電も難なく行えるので、大容量バッテリーと合わせて備えたいアイテムだ。
「Yeti Lithium 400 (100V) Portable Power Station」は、容量が428ワット時で、300ワットまでの電源供給が可能な大容量蓄電池だ。オフィス用の冷蔵庫や一般的なデスクトップパソコンまで対応できる。停電したオフィスのTVで災害情報を収集するなどにも活用できるだろう。スマートフォンやタブレット端末なら部署全員分を賄えるかもしれない。ソーラーパネル充電に対応しているので持続性のある活用が可能だ。より大容量のモデルもあるので、必要な電力、オフィスの規模に応じて選ぶとよいだろう。
太陽光や手回しでも充電できるLEDランタン

Lighthouse 400(税抜き9800円程度)
https://www.ask-corp.jp/products/goal-zero/accessory/lighthouse-400.html
「Lighthouse 400」は、ソーラー充電と手回し充電に対応したLEDランタンだ。4400ミリアンペア時のバッテリーを内蔵し、普段はUSBのACアダプターで充電し、災害時はソーラーパネルで充電できる。くもり空でもソーラーパネルのわずかな電力で充電されるのが確認できた。最大400ルーメンの明るさは、真っ暗な地下のオフィスでも書類が読めるほどの明るさ。明るさを調整することで最大48時間の点灯を実現する。
こういった装備は、しまったままにしてはいざというときに活用できない。会社のレクリエーションや展示会で活用するなど普段から使い慣れておきたい。
低コストで最低限の備えをコンパクトにおこなえる

オフィスで避難生活を行う場合、就寝グッズが課題となる。特に冬などは冷たく硬い床に横になっては休むのもままならない。キングジムの「着る布団&エアーマット」は、手足が自由になる寝袋とエアーマットがセットになった個人用の寝具セットだ。エアーマットは底冷えするオフィスの床でも体温を奪われないのと、寝心地を確保。寝袋は手足が自由になり、防寒具としても使える。アウトドア製品でマットや寝袋を揃えると高額だが、非常用と割り切ると十分な品質で安価に揃えられるのが良い。収納ボックスは、他の防災用品と同じくA4ファイルサイズなので収納性も良い。
従業員にあわせて選べる防災セット

災害備蓄セット ミニ(税抜き2000円)
https://www.kingjim.co.jp/sp/saigai_taisaku/
歩いて帰宅できるエリアに住んでいて家庭がある社員は帰宅支援セット、遠くに住んでいて一人暮らしの社員は備蓄セットなど、オフィスの状態や従業員の事情に合わせて選べるセット。A4ファイルサイズで統一されているので、備蓄や整理もスッキリできる。個人に配布された場合には、自分でアイテムを足してカスタマイズしてもよいだろう。
最小限の「災害備蓄セット ミニ」は500ミリリットルの保存水とクッキー3本、アルミのブランケット、ポケットティッシュ、非常用簡易トイレを収納。品質保持期限は6年間ある。
食料やトイレ、その他備蓄アイテムは、何人が何日そこで過ごすのかという計画を基に必要数を揃えるようにしたい。
手回し充電で簡単に使えるラジオ

災害時の情報収集源の割合はラジオをテレビが抜いたということだが、長時間の停電やオフィスではテレビよりもラジオの方が対応できる場面も多いだろう。ソニーの「FM/AMポータブルラジオICF-B99」は、トランジスタラジオで成長したソニーならではといったアイテム。
乾電池も使用できるが、約1分間の手回し充電でFMが約50分、AMが約75分聴くことができるため、寝る前に約1分間手回し充電した上で、スリープタイマー代わりにラジオを聴きながら就寝するといった普段使いの使いこなし術もある。
乾電池、手回し充電以外に太陽光での充電もできる。特に非常時に少しでも体力を消耗せず情報を得たり充電したりできるソーラーパネルは重要だ。ホイッスルが付属し、スマホ充電にも対応しているのでフロアに1つあると心強い。
IPX4相当の防滴仕様で、キッチン周りでも、屋外でも使用できるのが心強い。
火気厳禁のオフィスでも使えるコンロ

Toffy 卓上電気こんろ(税抜き4000円)
https://ladonna-co.net/products/item/k-sv1/
家庭では、鍋物をするときのカセットコンロを非常用にする場合も多いが、オフィスなどではそもそも火気厳禁のところも多い。それでも災害時は非常食のレトルトを温めるなど、お湯を沸かす必要が生じてくる。
ラドンナの「卓上電気こんろ」は800ワットの卓上電気コンロで、ガスボンベを使うコンロと比べて安全性が高い。大きな災害時でも電気の復旧は比較的早いと言われているので、電気が復旧した社内でお湯を沸かしたり簡単な調理をする程度なら十分な火力だ。大容量バッテリーがあれば電気が不通でも使うことができる。給湯室がないオフィスビルでの湯沸かしなどで日常的にも使えるだろう。
(ライター 戸津弘貴)
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