官僚のリスキル、上司が「させる」ではなく「する」で
人事官の伊藤かつらさん
リスキリング戦略
外資系企業出身の人事院人事官、伊藤かつらさん
政府は、企業や個人向けのリスキリングを支援して、経済成長を促す方針を打ち出している。官庁のデジタルトランスフォーメーション(DX)化の遅れが指摘されるなか、官僚など国家公務員のリスキリングはどのように進んでいるのか。現況や課題について、日本マイクロソフト出身で2022年4月に人事院人事官に就任した伊藤かつらさんに聞いた。
伝える習慣、フィードバック文化の熟成が課題
――いわゆる官僚など国家公務員のリスキリングはどの程度進んでいますか。
リスキリングと言ったときに、共通で必要になるのは、デジタルスキルとマネジメントスキルだと考えています。
私が霞が関に来て1年半がたちましたが、改めて日本の国家公務員の学ぶ力は高いと感じています。2〜3年の短期間で、他部署や他省庁・団体や地方自治体、海外などに異動し、多彩なキャリアを経験します。全く違う部署に移っても数週間で新たなことを学び、知識を吸収するので、デジタルスキルなどを習得するのも得意でしょう。しかし、マネジメントスキルにはまだ課題感があります。
――日本人はハードスキルの習得は得意でも、マネジメントに不可欠なソフトスキルについては苦手、欧米企業に比べて遅れていると言われています。
確かに学びのスキルはあるのに、マネジメント側にはうまく言語化して伝える習慣はまだ定着していないと思います。今の若い人は成長を実感として知りたいので、うまくコミュニケーションすることが大切であり、「フィードバック文化」を醸成する必要性があります。私はマイクロソフトの人材育成担当の役員を務めてきました。同社も以前はそれほど人材育成に投資していなかったと思いますが、2014年にサティア・ナデラ氏がCEOに就任して、企業文化は大きく変貌しました。
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