「1on1つらい」から抜けだそう 管理職に必要なコミュニケーションスキル
管理職のリスキリング
エール代表取締役 櫻井将さん
上司と部下が1対1で対話する1 on 1(ワンオンワン)。取り入れている企業は多いが、管理職は「有効な対話になっていない」と感じ、部下も苦痛や不満を抱えているケースが少なくない。2023年10月に刊行された『まず、ちゃんと聴く。』は、そうした管理職と部下のコミュニケーションの課題を解決するヒントが詰まった一冊だ。著者で、社外人材によるオンライン1 on 1を通して「聴く力」を高める研修開発などを実施しているエール代表取締役の櫻井将さんに、1 on 1がうまくいかない原因や、知っておくべき「聴くスキル」について聞いた。前編、後編に分けてお届けする。
後編の『飲みニケーションより「まず、ちゃんと」聴くスキル 管理職無理ゲーを防ぐ』はこちらから。
「成長したいけど残業したくない」部下
――櫻井さんは講演や研修で、部下とのコミュニケーションに悩む管理職と話す機会が多いそうですね。
はい。ここ5、6年で特に世代間の価値観のギャップを強く感じるようになった、と皆さんおっしゃいます。例えば「入社まもない若手メンバーから、成長したいけど残業はしたくないと言われて困ってます」と。30、40代の上司は「働き方が変わったとはいえ、ここぞという時には踏ん張る必要がある」と思っているんですが、それが若い世代には通じない。
さらには、年上の部下との接し方も難しくなっているようです。30、40代の管理職と、50代ではやはり価値観が違いますし、経験豊富な「年上部下」のプライドを傷つけないようにするのにすごく気を遣うと。以前なら年功序列で報酬は年上部下の方が高く、プライドが保たれていた面もあったのですが、最近は年下の管理職の方が高くなるケースもあって、余計に遠慮して、言いたいことが言えないという話も聞きます。
そして皆さん共通しておっしゃるのは、ハラスメントへの意識が高まったために「強く言うのが難しくなった」ということです。以前のように厳しく叱ったり指導したりできなくなって「ちょっとこれぐらいの仕事はやってよ」みたいなことすら言えない。かといって優しく言っても伝わらないと。
業務進捗確認になってしまう1on1
――1on1についてはどうでしょう?
部下が20人も30人もいて、1人当たり月に1回30分としても、それだけで膨大な時間がかかるという話は聞きますね。
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