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大正元年から三重県・伊勢神宮の参道に店を構える「ゑびや大食堂」

大正元年から三重県・伊勢神宮の参道に店を構える「ゑびや大食堂」

「ゑびや大食堂」は、伊勢神宮の参道に立つ創業100年超の老舗食堂。伊勢エビや松阪牛など地元食材を使ったメニューが人気の店だ。しかし、10年ほど前は経営が傾きかけていた。状況を変えたのは、2012年、ソフトバンクを退職し27歳で妻の実家であるゑびやに入社した小田島春樹氏。「地方の中小企業が生き残るには生産性の課題解決しかない」と、手切りの食券やそろばんよる売上管理、勘に頼った仕入れをやめ、IoTやAIを活用するデータ経営に転換した。

従業員のリスキリングや経営多角化にも取り組んだ結果、売り上げは10年で8倍、利益は10倍に増加。現在は、データ分析のノウハウを全国に伝授しようと設立したEBI LAB(エビラボ)で、他社のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援や人材育成事業も手がけている。小田島氏に地方の中小企業におけるDXとリスキリングのポイントを聞いた。

――ゑびやの経営をV字回復させたデータ経営とは、具体的にどんなことをしたのですか。

端的に言えば、さまざまなデータの収集・分析を自動化し、そこから得られる情報をもとにアクションを起こす。施策の効果をさらにデータで検証し、次のアクションにつなげる。そのサイクルを回し続けたということです。

ゑびや/EBI LAB代表取締役の小田島春樹氏

ゑびや/EBI LAB代表取締役の小田島春樹氏

データ収集・分析のためのシステムは、独自に開発しました。今は外販もしている「TOUCH POINT BI」というBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。「来客予測」「店舗分析」「画像解析」「コミュニケーション分析」の4つの機能があり、「来客予測」では天気データや過去の売上情報、近隣のイベント情報などのビッグデータを元に、翌日から最大1年先までの来客数を予測できます。

――的中率はどのくらいですか。

90%を超えていて、業界トップレベルです。この来客予測を元に発注やシフト、仕込みを最適化した結果、ゑびやでは廃棄ロスが7割以上減り、料理の提供時間も5分の1に減らすことができました。売り上げが低い日を事前に把握できるので売上アップのための施策をタイミングよく打てるようになり、混雑予想に合わせた効率的なシフトも組めるようになりました。

「店舗分析」ではPOSレジと連携して、売り上げや客単価、原価や粗利など経営に必要なデータを一元管理できるようにしています。売れる商品の見極めがリアルタイムででき、商品やメニューを最適化できるので、売り上げは4.8倍に増加しました。そのほか、店舗前や店内に設置したカメラの映像から入店率や購買率を測定できる「画像解析」や、お客様へのアンケート結果の分析なども組み合わせ、12年に1億円だった売り上げは23年には8.3億円に、利益は1200万円から1.5億円に飛躍的に伸びました。

売上利益の推移(EBI LAB提供)

売上利益の推移(EBI LAB提供)

その間、従業員の数は42人から52人と10人しか増えていません。有給取得率は100%、残業はゼロになるなど、働き方も変わりました。データ経営によっていかに生産性が上がったか、おわかりいただけると思います。

ノウハウ提供で他社のDXを支援

――ゑびやで実践し、成功したこのノウハウを、EBI LABで他社に提供しているのですね。

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