なぜ働いていると本が読めなくなるのか 読書が問いかける「今の働き方」への違和感
紀伊国屋書店大手町ビル店
ビジネス書・今週の平台
新書コーナーの棚端の平台に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)
本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。
今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店に戻る。新年度が始まる4月は新人研修に使える実務書やスキル本が売れて、ビジネス書全般の売り上げを引っ張った。そんな中、書店員が注目するのは、気鋭の文芸評論家がビジネスパーソンと読書の関係を、近代日本の歩みを遡って読み解きつつ今日の働き方を考えた話題の新書だった。
社会人1年目、そういえば本を読んでない!
その本は三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)。著者は1994年生まれの文芸評論家。本好きで学生時代には書評家としても活躍していた著者はIT企業に就職し、社会人1年目を過ごすうち、はたと気づく。「そういえば私、最近、全然本を読んでいない!!!」。本を読む時間はあっても、そんなときはスマホを開いてSNS(交流サイト)やYouTubeを見てしまう。「本を読みた過ぎるあまり」、彼女が会社を辞めたのは3年半後だった。
こんな経験をネットにつづったところ、大きな反響があった。多くが自分も読めなくなった、あるいは「私の場合は音楽。好きなバンドの音楽を追いかけられなくなった」といった共感の声である。そこでウェブ連載の形でこの問題を考えた。連載に加筆修正してまとめたのが本書である。
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