限られた人材プールのパイを奪い合う日本の労働市場において、企業はあの手この手で戦力となる人材を獲得しようとしています。なかでも最近注目を集めるのが、退職者を再雇用する「アルムナイ採用」。
非線形的なキャリアパスが一般化しつつある現代、かつてはネガティブに捉えられがちだった退職者の出戻りも、新たなスキルセットを組織に取り込めるとしてむしろ歓迎ムードにあります。
さっそくアルムナイ採用の機会を創出するサービスも登場してきていて、たとえばスキマ求人マッチングサービス「タイミー」によるアルムナイネットワークの管理機能(アルムナイ機能)なんかがとても興味深い内容です。
いま、なぜアルムナイ採用が広がっているのか、アルムナイ採用のメリット、アルムナイ採用対応サービスでどんなことができるのかを見ていきます。
1割強の企業がすでにアルムナイ採用を実施
働き方と同時に多様化するキャリアパス。一度は退職した企業に出戻るパターンも、いまではそれほど珍しくなくなりました。こうした退職者の出戻りを、積極的に採用手法として確立したのがアルムナイ採用です。
ちなみに“アルムナイ(alumni)”とは、大学などの卒業生・同窓生のこと。企業のOB・OGを、大学の同窓生のようにネットワークで束ね、人材プールとして活かすのがアルムナイ採用の醍醐味です。
リクルートが企業の人事担当者に対して実施したアンケートからは、すでに企業の1割強(12.3%)が、アルムナイネットワークを通じた採用を行なっていることが示されており、アルムナイ採用が有力な採用手法として活用されはじめている実態がうかがえます。
アルムナイ採用にはメリットが豊富
実は退職者を再雇用するメリットには、単なる労働力確保以上の意味を持つものもたくさんあります。
すでに企業文化や業務内容を熟知する退職者なら、オンボーディングや研修の手間とコストが省けますし、改めてジョインしたいとの本人の要望がある限り雇用のミスマッチも発生しにくいです。企業側があらかじめワーカーの能力を把握していることから、採用プロセスも簡略化できますし、配属なんかのマネジメントもスムーズにいくはずです。
ワーカーがが企業を離れた先で獲得した新たなスキルや視点を取り入れることで、組織が強化されるとのメリットも。また、雇用の流動性を受け入れる企業のオープンな姿勢を、従業員は肯定的なメッセージとして受け取るので、職場に対する満足度の向上や離職率の低減につながる可能性もありそうです。
1日単位で出戻れるタイミーの「アルムナイ機能」
退職者にとっても、企業の再雇用の門戸が開いているに越したことはありません。古巣の業績や動向はついチェックしてしまいがちですし、退職してはじめて見えてくる企業の魅力もあるはずです。新たに獲得したスキルが活かせるかも…と考えたときに、役立ちそうなのがアルムナイ採用対応サービスです。
たとえばタイミーが新たに追加した「アルムナイ機能」は、事業者ごとにOB・OGをグループ登録。事業者側がグループに向けた限定求人を公開できる仕組みです。スキマ時間の求人を扱うタイミーですから、勝手知ったる職場で1日単位から労働力を提供できるのもポイント。OB・OGが事業者との繋がりを保つことで働き方の柔軟性が増し、事業者にとっては貴重な人材リソースを社外に構築できるというわけです。
ワーカーと事業者、どちらにとってもメリット豊富なアルムナイ採用の活用は、今後ますます広がりそう。そのカギを握るのは、アムルナイネットワークの管理を滞りなく進めるための、タイミーのようなサービスなのかもしれません。