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厚生労働省は9日午前、3月の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。物価の影響を考慮した労働者1人あたりの実質賃金は前年同月比2・5%減で、過去最長の24か月連続で前年を下回った。現金給与総額(名目賃金)は増加したものの、賃金の伸びが物価の上昇に追いついていない状況が続いている。
実質賃金の減少は、算出に用いる消費者物価指数の上昇率が同3・1%となったことが影響した。比較可能な1991年以降の記録で、最長だったリーマン・ショック前後の2007年9月~09年7月の23か月連続を上回った。減少幅も、今年2月の同1・8%減(確定値)から拡大した。
一方、1人あたりの名目賃金は、同0・6%増の30万1193円だった。賞与などの「特別に支払われた給与」が同9・4%減の2万1959円だったことが影響し、増加幅は同1・4%増(確定値)だった2月から縮小した。
ただ、基本給や残業代などの「きまって支給する給与」は同1・5%増の27万9234円で、賃上げの機運の高まりなどを反映したとみられる。名目賃金は27か月連続で前年を上回り、過去最長を更新した。
今春闘は、33年ぶりとなる高い賃上げ回答が相次ぎ、4月以降の賃金上昇が期待されるが、物価上昇の収束に向けた見通しは立っていない。さらに、円安が輸入価格の上昇による物価高を招けば、実質賃金のプラス転換は難しくなるとの指摘もある。