小説を書くことであれ、メールを送ることであれ、自分で決めたワークスケジュールを守るのは難しいものです。
かくいう私も、その責任をとるのにいつも四苦八苦しています。条件を決めた人(私のことです)のことはよく知っていますが、彼女の心はすぐに折れてしまうのです。
そんなわけで、流れるようなワークフローへと導いてくれそうな生産性ハックが見つかると、すぐに私はそれに飛びつきます。
今回ご紹介する「(10+2)×5」メソッドが、まさにそれです。
心配しなくても大丈夫。こんな名前ですが、「(10+2)×5」メソッドは、学校で習う演算の順序とはいっさい関係ありません。
この「先送りに打ち勝つ」ためのルールを考案したのは、「43Folders.com」のMerlin Mannさんですが、このスケジュールを用いると、「仕事に取りかかる」→「休憩を取る」を行ないやすくなります。
なかなかよさそうだったので、さっそく私も試してみました。はたして結果はどうだったのでしょうか? どんな点に気をつければ、うまくいくのでしょうか?
「(10+2)×5」メソッドのしくみ
なんだかややこしそうな名前がついていますが、やり方自体は簡単です。
1日の各時間を10分間のタスクに分け、それに2分間の休憩を足して、5を掛けます(12×5=60)。これが、この方程式の意味することのすべてです。
こまめに休憩をとってモチベーションを維持することで、まずははじめてみよう。それが、「(10+2)×5」メソッドの狙いです。
最初のハードルを乗り越えたあとは、うまく流れに乗りさえすれば、次第に「2分間の休憩」を飛ばせるようになるはずです。
いざ実践! その効果やいかに?
ある日の朝、私は「(10+2)×5」のタイムテーブルを試して、その日1本目となるLifehackerの記事を書いてみました。こちらが、そのときのスケジュールです。
9:00~9:10:執筆
9:10~9:12:休憩
9:12~9:22:執筆
9:22~9:24:ダラダラする
9:24~9:34:執筆
9:34~9:36:空想にふける
9:36~9:46:執筆
9:46~9:48:SNS
9:48~9:58:執筆
9:58~10:00:反省、勝利のダンス、SNS
時間の管理にはスマホのタイマーを使い、仕事/休憩の各パートの前に、手動でリセットしました。
果たして結果は…
「科学的公正さ」を追求しようとしてか、緊張感によるものなのかはわかりませんが、気がつくとスケジュールをきっちりと守っていました。
また、2分間の休憩なんてあっという間だということもわかりました(特にそうなのが、休憩を使ってSNSをチェックしているときでした。2分間でその日の会話にまともに参加するなんて、とても無理です)。
それに対して、10分間という時間は、私が集中力を維持するのにちょうどいい長さであることがわかりました。気が遠くなるほどの長さではありませんが、かといって、一言も書けないほどの短さでもありません。
取り組んでいる仕事によっては、ワークフローの波に乗るために、2分間の休憩を、1回ぐらい飛ばしている自分の姿が容易に想像できます。
「(10+2)×5」メソッドから最大限の効果を引き出すには、休憩のパートを、別のタイミングにしたり繰り越したりしたいという誘惑に打ち勝つことが大切だと思います。
たとえば、9:34~9:36の休憩を飛ばしたからといって、適当に9:41に埋め合わせるのはよくありません。
そんなことをすれば、10分間(または、それよりも長い時間)の枠内で仕事を終えないといけない、というプレッシャーが弱まってしまうからです。
最大の問題は「最初のステップ」
生産性にとっての最大のハードルは、「いちばん最初のステップ」を先送りにしがちなことです。
私はランニングを習慣にしているのですが、1マイル走るときであっても、26マイル走るときであっても、ほとんどいつも、とにかく家から外に出るために自分自身と約束を交わしています。
「5分走ったら、家へ戻ってもいい」「1マイル走ったら、あとは好きに歩いてかまわない」といったような。
この「自分との取引」が私に合っているのは、ひとたび体を動かすことさえできれば、動いている状態をキープするのはずっと簡単だからです。
ただし、そういう状態に到達するためには、あと少しで休めるということがわかっている必要があるわけです(たとえば、10分間のハードなパートを終えるたびに、2分間の休憩が取れるというような)。
定期的な休憩をスケジュールに組み込むことで、やる気を起こす。そうしていったんはじめてしまえば、意外に、それほど休憩がほしいとは思わなくなるかもしれません。
やるべき仕事の第一歩を踏み出すのに苦労しているのなら、この「(10+2)×5」を試してみても損はないでしょう。
──2022年1月24日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
Source: 43folders/翻訳: ガリレオ