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企業の不祥事はあとをたたず、メディアを連日賑わせている。従業員が嘘や不正を働く要因について、従来の研究では個人レベルの議論にとどまっていた。だが筆者らの長年の調査により、組織レベルで不誠実な行為を誘発する4つの要因が判明した。いずれの要因も修正不可能ではなく、企業がみずから改善できるものである。
この数年に起きた企業スキャンダルの多くは、フォルクスワーゲンやウェルズ・ファーゴの事例のように、組織ぐるみの不正行為に関するものだった。これらの組織に嘘や欺瞞がどのように広がっていったかを突き止めることは困難だ。
リーダーが倫理に反する選択を正当化するようになった誘因として、集団意思決定プロセスや心理的罠を挙げる専門家もいる。そうした要因が働いているのは間違いないだろう。だが、どちらも個人レベルでの不誠実な行為を説明するにとどまっている。
そこで私は、何らかの組織的要因が影響して、組織のメンバーが互いに真実を歪め合ったり、隠ぺいし合ったりすることもあるのではないかと考えた。
かくして、私のチームは15年の長期にわたる調査を読み解くことに着手した。従業員が誠実か否かを予測する要因の有無を調査する目的で、我々は、210件の組織評価の一環として行われた3200件のインタビューを分析した。
その結果、4つの要因が特定できた。いずれも個人の性格的特徴としてではなく、組織の問題として影響を及ぼす要因である。幸い、これらの要因は企業が完全にコントロールでき、改善すれば会社の誠実度アップにつながり、また不誠実な行為による潜在的な評判失墜や財務危機を事前に回避するのに役立つ。
それができるかどうかに、企業の命運はかかっている。20業界7000社の分析に基づき、アクセンチュアが開発した将来の企業競争力を測る「競争力・アジリティ指標 (CAI)」は、ステークホルダーの信頼低下が財務業績に与える影響の度合いを、初めて明白に定量化した。
この分析結果によれば、CAI構成企業の過半数(54%)が、信頼の著しい低下を経験していた。その原因は製品のリコール、不正行為、データ漏洩、経営幹部クラスの過失などの発生であり、その結果、少なくとも総額1800億ドル相当の売上げが喪失した。さらに悪いことに、信頼の低下を受けて、企業のCAIスコアが平均2ポイント低下し、そのマイナス影響として売上成長が6%、EBITDAが10%それぞれ平均で低下した。
あなたの組織のインテグリティ(誠実性)を守るために、注意すべき4つの要因を以下に紹介しよう。