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コロナ危機によって私たちの働き方は大きく変わったが、終息しても以前と同じ状況に戻るのではなく、バーチャル交流と対面交流を組み合わせたハイブリッドな未来が予想される。そこで、あらためて「対面でないとできない」仕事を見極め、どう対応すべきか検討を始めなくてはならない。本稿では、未来の対面交流に欠かせない、5つの「デザインドライバー」を組み込んだイマーシブな(没入型)体験をどう設計すべきか論じる。


 新型コロナウイルス感染症の危機は、バーチャルな方法をリーダーシップ開発やチームマネジメントに適用するという新たなトレンドを加速してきた。だが、この危機が終息した時、何が起きるのだろうか。

 パンデミック前と同じ状態に戻ることはまずなく、未来はバーチャル交流と対面交流それぞれが提供しうる、最善の体験がブレンドされたものになるだろう。対面交流は安全が確保されるまで、規則的な形で再開することはないだろうが、新たに承認されたワクチンの接種が世界各地で始まる中、バーチャル交流と対面交流のハイブリッドな未来が現実的な可能性として見えてきた。

 筆者らの長年にわたる研究と経験によれば、経営開発には大きく分けて4つの側面がある。すなわち、コラボレーション、イノベーション、文化変容、献身である。いずれも、将来的に一定の対面交流なしでは、実現あるいは維持することが難しくなるだろう。

 これらの4側面について、簡単に概要を見ていきたい。

・コラボレーション:共通理解と人間関係、そして信頼を構築することである。

・イノベーション:人々からクリエイティブなアイデアを引き出し、それを組み合わせる方法を探り、集合的な学習プロセスによってアイデアに磨きをかけて実現することだ。そのためには、信頼とストレスのない環境でともに過ごす時間が必要となる。

・文化変容:力強い組織文化を構築することを指す。スタッフの相互理解と共通の同一性意識を構築し、組織の長期的な有効性を確保するために不可欠の要素だ。

・献身:共通の目的意識とコミュニティの一員であるという意識を持つことである。

 コラボレーション、イノベーション、文化変容、献身の4つの側面を推進するうえで、同じ時間に同じ場所で人々が集まること以上に有効な方法があるだろうか。この問いに対する答えは、5つの「デザインドライバー」を組み込んだイマーシブな(没入型)体験を設計することにある。