小さな現場でイノベーションを育み、組織に広げるための方法
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サマリー:新たなテクノロジーの登場で、これからビジネスの世界はますますイノベーションが加速すると考えられている。この機会を組織全体の利益につなげるため、経営者が注力すべきなのが、イノベーションの生まれている現場... もっと見る「エッジ組織」への権限委譲だ。エッジ組織の人材が生み出したイノベーションから、どのように最良のものを選び出し、組織全体で利益を得られるようにすればよいのか。本稿では、エッジ組織でイノベーションを成功させている企業に共通する、3つのアプローチを紹介する。 閉じる

イノベーションが生まれる現場
「エッジ組織」に注目する

 今後数年の間に、新しいテクノロジーの登場や既存のテクノロジーの進化により、過去に例のない速度と規模で、ビジネスの世界に変化が起きるだろう。テクノロジーに関するいくつかの大きなトレンドを見れば、これは明らかだ。

 たとえば、5G通信は4GのLTEネットワークと比較した場合、およそ10倍の通信速度を実現すると予測されており、今後さらに高速化する見通しだ。音声読み上げや文章作成、コンピュータ・ビジョンに関連したAIアルゴリズムは、2024年までにユーザーとの接触が50%増大すると考えられている。

 世界全体で生成されるデータの量は、2020年から2025年までの間に3倍近くに増加する見込みだ。また、最小限のソースコードでソフトウェア開発を行う、ローコード開発プラットフォーム市場の拡大で、高度な専門性を持った人材でなくても、高機能なソフトウェアを開発できるようになっている。2030年までに、年平均で約30%の成長が予測されている。

 このようなトレンドにより、コンピュータの処理能力が飛躍的に向上し、生成されるデータ量が大幅に増え、ユーザーがテクノロジーを活用する方法が大きく改善するだろう。それに伴い、より容易に、かつ少ないコストで、新たなイノベーションを素早く成し遂げ、その成果を実用化し、利用を拡大させることが可能になる。そうなれば、イノベーションのペースは、これまでより格段に速くなるだろう。

 多くのビジネスリーダーは、このようなトレンドを漠然とは認識している。しかし、その結果として加速するイノベーションを、うまく活用するための準備ができているリーダーはほとんどいない。