最高の自分を発揮する「リーダーの思考法」
サマリー:『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)2024年5月号の特集は「リーダーの思考法」です。リーダーシップを発揮するには、「最高の自分」を引き出すことが重要です。5本の論考から考察します。

リーダーが「フロー状態」になる考え方

 今号の特集は「リーダーの思考法」です。リーダーシップの発揮には、生まれ持った性質や学習して身につける能力を活かすだけではなく、目の前に現れた課題に対して、自身を最高の状態に引き上げて、集中して臨む。そのような「フロー状態」を実現できるかが大きく関わります。

 特集1本目「リーダーが『最高の自分』を発揮する法」は、誰もが内に秘めるエネルギーを活性化させる考え方を伝えます。厳しい局面であっても25のアクションから3~5つを選んで立ち向かうことで、事態は好転します。

 特集2本目は「優れたリーダーは『いま起きていること』の重大性を見極める」です。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授のニティン・ノーリアは、予測できない出来事が起きた時にその場で対応する力の重要性を語ります。教授の提示するフレームワークから、問題の優先度のつけ方を探ります。

 特集3本目の「リーダーのパフォーマンスを損なう4つの障害とその克服法」は、うまくいかない時のリーダーの心理状態を特定します。それが「代替案がない」「希望がない」「時間がない」「リーダーシップは必要ない」です。このような思考に陥っている時は要注意です。

 特集4本目は、スタンフォード大学准教授のジャミール・ザキによる「共感力を無理なく発揮し続ける3つの方策」です。自分を犠牲にせず、部下に寄り添う「持続的な共感」を身につけることが大切です。

 特集5本目は、リクルートホールディングスの出木場久征社長兼CEOへのインタビュー「僕は世界で一番、権威や権力のないCEOになりたい」です。グローバル化を果たした同社トップの理想のリーダー像とその経営哲学に迫ります。

 このように、リーダーが懸案事項を見極めて、その対応に集中するスキルを身につけることで、組織のパフォーマンスは飛躍的に高められるのです。電子版サービスの開始により、雑誌の定期購読者でない方も、各種論文が手軽に読めるようになりました。ぜひこの機会にご覧ください。

 さて、昨年末に電子版をローンチし、おかげさまで順調なスタートを切ることができました。私の役目はここまでとなります。ここで、新編集長の常盤亜由子にバトンを渡します。これまでご支援をいただきありがとうございました。新たなDHBRにご期待ください。

(前編集長 小島健志)