2025年4月の「育児・介護休業法」改正から半年。介護離職防止の雇用環境整備は36.9%の企業が未実施。そのうち、半数以上は「今後も実施予定がない」と回答

 

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)が運営するビジネスケアラーに向けた、高齢者施設検索・介護相談ポータルサイト『マイナビあなたの介護』(https://mynavi-carehome.jp/)は、民間企業の人事・労務関連業務の担当者(618名)を対象に行った、「マイナビ 企業におけるビジネスケアラー支援 実態調査」の結果を発表しました。

 

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【TOPICS】

◆介護離職防止のための雇用環境整備状況について、36.9%の企業が未実施。そのうち、半数以上は「今後も実施予定がない」と回答【図1、2】

◆「ビジネスケアラーへの支援制度があり、内容も充分である」と考える企業はわずか1割。前年と変わらず課題が顕在化しない限り動かないといった結果に【図3、4】

◆約2割の企業がビジネスケアラーの人数を「把握していない」。「仕事と介護の両立支援」を人事部門の優先課題として挙げた企業は14.9%【図5、6】

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【調査概要】

◆介護離職防止のための雇用環境整備状況について、36.9%の企業が未実施。そのうち、半数以上は「今後も実施予定がない」と回答

2025年4月に施行された「育児・介護休業法」の改正※では、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職防止のための雇用環境整備がすべての企業に義務付けられた。

しかし、企業の人事・労務関連業務の担当者を対象に、法改正後の勤務先での対応状況を聞くと、36.9%の企業が「介護離職防止のための雇用環境整備を現在実施していない」と回答した。そのうち「今後も実施予定がない(56.1%)」と回答した企業が半数以上だった。

この結果は、法令遵守の観点からも深刻な課題であり、介護離職の未然防止に対する企業の対応が追いついていないことがわかる。【図1、2】

厚生労働省 育児・介護休業法について

【図1】

【図2】

 

◆「ビジネスケアラーへの支援制度があり、内容も充分である」と考える企業はわずか1割。前年と変わらず課題が顕在化しない限り動かないといった結果に

ビジネスケアラーへの支援制度について企業の対応状況を聞くと、「既に支援制度があり内容も充分である」と答えたのは10.0%にとどまった。「支援制度があるが見直しが必要(26.4%)」および「制度は整備されておらず、早急に対策に取り組むべきだと思う(22.7%)」の回答が約半数を占め、制度設計の必要性は理解しているものの、実質的な対応が進んでいない現状が明らかとなった。

また、ビジネスケアラーへの支援や、介護への理解を促進する取り組みの導入を行う場合、どのような要素があれば検討するかを聞くと、「介護を行う社員が増えた場合に検討したい(43.5%)」、「介護離職が増えた場合に検討したい(34.3%)」が上位となった。多くの企業が、問題が顕在化してから対応する姿勢を取っており、介護と仕事の両立支援における予防的な取り組みが十分に行われていないことが推察される。【図3、4】

【図3】

【図4】

 

◆約2割の企業がビジネスケアラーの人数を「把握していない」。「仕事と介護の両立支援」を人事部門の優先課題として挙げた企業は14.9%

家族の介護を行う社員数をどのように把握しているか聞くと、20.2%の企業が「把握していない」と回答した。介護と仕事の両立支援のための「対象者の把握」ができていない企業が一定数存在することが明らかとなった。

また、人事部門が抱えている課題の中で、優先度の高いものを5つ聞いたところ、14.9%が「仕事と介護の両立支援」を選択した。「介護と仕事の両立支援」が法的義務であるにもかかわらず、人事戦略の課題の中で重要課題として位置づけられていないと考えられる。育児や採用、評価制度などと比べ、介護支援が「まだ先の話」「一部の人の問題」と捉えられている可能性を示唆している。【図5、6】

【図5】

【図6】

 

【調査担当者コメント】

2025年4月の「育児・介護休業法」改正により、企業には介護離職防止のための雇用環境整備が義務付けられました。しかし、制度の義務化と企業現場の対応との間に大きなギャップが存在することが明らかになりました。

介護は突然始まり、誰もが当事者になり得る問題です。支援体制が整っていない職場では、従業員が離職を選ばざるを得ないケースもあり、企業にとっては人材流出や業務停滞といったリスクにつながります。企業が支援体制を整えることは、従業員の安心と職場の持続可能性を守るために必要な取り組みのひとつではないでしょうか。介護支援を「一部の社員の問題」ではなく、全社的な人事課題として捉え直す視点が求められています。

企業には育児支援だけでなく、介護も含めたさまざまな状況に対応する働き方の支援が必要です。一人ひとりの社員が安心して働き続けられる職場づくりに向けた取り組みが広がり、誰もがキャリアを諦めない社会になることを願っています。

ウエルネス推進事業本部 ケア事業支援室 室長 佐藤 公光子

 

 

【調査概要】「マイナビ 企業におけるビジネスケアラー支援 実態調査」

○調査期間/2025年6月27日(金)~6月30日(月)

○調査方法/インターネット調査

○調査対象/民間企業で人事・労務業務に携わる20歳以上

○調査委託先/マクロミル

○有効回答数/618名

※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります。

※調査結果の詳細はこちら(https://career-research.mynavi.jp/column/20250916_101970/)からご確認いただけます。

 
 

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