今の若手社員が仕事や人生の選択において何を重視しているのか、また彼らを育てていくため、これからの時代の若手育成に何が求められていくのか、企業の人材育成に関わる方々に参考情報としてご覧いただけるよう、調査結果をレポートとして公開致します。
◆調査概要
・調査対象:東京都在住の20代 若手社員1300名
・調査期間: 2022年5月
・調査方法:選択回答及び自由回答式インターネット調査
※構成比の数値は、四捨五入のため 100%にならないことがあります。
※実際の東京都の人口構成に合わせるために、回収サンプルに重みづけを行っています(ウェイトバック集計)
※非有効回答を含まないグラフもあります。
若手意識調査結果・サマリー 20代働くいまどき若手の本音
1.仕事観を明確に「持たない」は昨年同様9割、持つ若手は「実際に働く経験を通して」獲得
「自分は何のために働くのか(仕事観)」「どのように働き続けたいか(キャリア観)」:「明確な形で持っている」は、昨年調査内の同設問回答と同様、1割に満たず。仕事観を持たない理由として、「仕事観とは何かそもそもよくわからない・考える機会がない」が多数挙げられた。逆に「持っている」とした回答者にその獲得のきっかけを聞いたところ、「実際に働く経験を通して」が最も多く選ばれた。
2.自分らしさを「意識する」6割も、「自分らしく働く」イメージの具体は欠く
広く物事を決定・選択する際に「自分らしさ」という観点を意識するかを聞いた設問では、「頻繁に意識する」「時々意識する」が合わせて6割強となった。一方で、「自分らしく働く」イメージを持っているかを聞くと、「あまり具体的なイメージはない(30.3%)」「まったく持っていない(9.6%)」「仕事に自分らしさを期待しない(16.3%)」となり、仕事と自分らしさを具体的に関連付けていない回答者が全体の半数を超えた。
3.年次を重ねても強い挑戦傾向を保つ若手に、仕事観・キャリア観・学習機会の所持傾向あり
今回の回答結果を様々な観点からクロス集計し分析したところ、新しい仕事における挑戦傾向は年次を重ねるごとに減少している。ただし、仕事観やキャリア観を明確に所持している回答者については、年次が高くなっても比較的強い挑戦傾向を示した。また、そのような、仕事観やキャリア観を明確に所持する回答者の多くが、1年以内に仕事に関係した学習機会を得ていることもわかった。
◆育成に際して
若手社員に対する、教育研修をはじめとした育成施策では、一般に年次が高くなるほど頻度が減少し、特に5年目前後を境に「一人前」として若手育成の手が離れるケースが多く見られます。
今回の調査から、年次を重ねた若手社員の挑戦傾向と学習有無に一定の相関関係があることがわかります。彼らを真に「一人前」のリーダーとして送り出すためには、彼らの自発的な学習の軸になるキャリア観・仕事観の形成を土台とした学習機会の担保が必要といえます。
今後もリ・カレント株式会社は「組織学習デザインカンパニー」として、個人の学びを組織に拡げるネットワーク型の人材・組織開発をご支援してまいります。
以下調査レポートより抜粋
※調査全文・各設問詳細はリ・カレント公式サイト内特設ページよりご覧いただけます。
Q4.ここからはあなたと「自分らしさ」の関係についてお聞きします。
何か物事を決定する・選択する際に「自分らしさ」という観点をどの程度意識しますか。
意思決定・選択の際、自分らしさという観点を「頻繁に意識する」(18.4%)「時々意識する」(43.2%)が合わせて6割を超えた。
Q4.ここからはあなたと「自分らしさ」の関係についてお聞きします。何か物事を決定する・選択する際に「自分らしさ」という観点をどの程度意識しますか。
Q5.あなたは、「自分らしく」働くイメージを持っていますか。
自分らしさという観点について、より具体的に「自分らしく働くイメージを持っているか」聞いたところ、「なんとなくイメージを持っている」(35.5%)「具体的にイメージを持っている」(8.4%)が合わせて約4割となった。また、「あまり具体的なイメージはない」(30.3%)に続いて、「仕事に自分らしさを期待しない」(16.3%)も一定数の回答を集めた。
Q6.「自分らしく」働くイメージを「具体的に/なんとなく持っている」と答えた方にお聞きします。現在、その「自分らしく」働くイメージ通りに働くことができていますか。
自分らしく働くイメージを「具体的に/なんとなく」持っているとした回答者に、現在の仕事とそのイメージの合致を聞いたところ、「そう思う」(17.9%)「どちらかといえばそう思う」(60.1%)を合わせて8割近くとなった。
Q7.ここからは、働くことに関する価値観についてお聞きします。あなたは自分の仕事観=「自分は何のために働くのか(働く目的・譲れないもの・価値観)」を持っていますか。
仕事観=「自分は何のために働くのか(働く目的・譲れないもの・価値観)」について、「語れるほどではないが持っている」(36.0%)が最も多くなった。続いて、「固まっていない」(28.0%)「持っていない」(24.9%)となった。
Q8.仕事観を「明確に持っている/語れるほどではないが持っている」と答えた方にお聞きします。あなたの仕事観(働く目的・譲れないもの・価値観)とは何ですか。
仕事観=働く目的・譲れないものを持っているとした回答者に内訳を聞いたところ、1位は「報酬(金銭)を得るため」(67.8%)、2位は「自分が成長するため」(47.3%)、3位は「社会に貢献するため」(34.6%)となった。
Q9.仕事観を「明確に持っている/語れるほどではないが持っている」と答えた方にお聞きします。あなたはどのようなきっかけで仕事観(働く目的・譲れないもの・価値観)を持ちましたか。
仕事観=働く目的・譲れないものを持っているとした回答者に、仕事観を持つようになったきっかけをを聞いたところ、「実際に働く経験」(28.6%)が突出して多く選ばれた。
Q10.ご自身の仕事観を「持っていない」「固まっていない」と回答した方にお伺いします。理由としてあてはまるものを以下より全て選んでください。
仕事観=働く目的・譲れないものを持っていない/固まっていないとした回答者に理由を聞いたところ、「仕事観とは何かそもそもよくわからない」(44.8%)が最も多く4割を占めた。次いで、「考える必要を感じていない/なかった」(28.1%)が続いた。
Q10.ご自身の仕事観を「持っていない」「固まっていない」と回答した方にお伺いします。理由としてあてはまるものを以下より全て選んでください。
Q12.ここからは、あなたの仕事のスタイルや、職場に求めるものについてお聞きします。新しい環境(入社、転職、転勤、部署異動など)で業務を行う状況において、ご自身の仕事のスタイルとして最も近しい選択肢をひとつ選んでください。
既存の人間関係を前提としない仕事環境を設定し、仕事への挑戦傾向を聞いたところ、「失敗は気になるがやりながら学ぶ」(42.8%)が最も多く、「失敗しないよう~確認しながら業務を行う」(31.8%)が続いた。「失敗は気にせずまずやってみる」は13.8%に留まった。
Q12.新しい環境(入社、転職、転勤、部署異動など)で業務を行う状況において、ご自身の仕事のスタイルとして最も近しい選択肢をひとつ選んでください。
Q13.前の質問で「失敗が気になる、避ける/指示に従う」と回答した人にお伺いします。あなたにとって、失敗が気になる/なるべく避ける理由として、最も近しいものをひとつ選んでください
「失敗が気になる/指示に従う」とリスク回避の傾向を示した回答者に、その理由を聞いたところ、「業務に支障をきたしてしまうから」(23.7%)が最も多くなった。「自分で自分の失敗にがっかりし傷つくから」「失敗はそもそも避けるべきものだから」が続いた。
Q14.あなたは、自分の「キャリア観」(中・長期的継続性を持った「どのように働き続けるか」においての譲れないものや価値観)を持っていますか。
キャリア観=中・長期的継続性を持った「どのように働き続けるか」においての譲れないものや価値観について聞いたところ、「考えたことはあるが固まっていない」(31.9%)が最も多く、「持っていない」と合わせて回答の6割となった。
Q16.前の質問でご自身のキャリア観を「持っていない」「固まっていない」と回答した方にお伺いします。以下のうち、キャリア観を持っていない理由としてあてはまるものをすべて選択してください。
キャリア観について、「持っていない/固まっていない」とした回答者にその理由を聞いたところ、「キャリアとは何かそもそもよくわからない」(40.2%)が最も多くなった。
Q17.ここからは仕事と学習についてお聞きします。過去1年間で、仕事に役立てることを目的とした学習をしましたか。
20代若手社員の仕事と学習の実態について、まず学習機会の有無を聞いたところ、「特にしなかった」(43.5%)が最も多かった。「自ら学ぶ時間や機会を作った」(32.9%)が続いた。まったく学習機会のなかった回答者と、自ら学んだ回答者に大きく二分された結果となった。
クロス集計1.回答者の年次を集計軸として見る「新しい環境での仕事のスタンス(=失敗観)」
まず、回答者の年次を集計軸として、「新しい環境で仕事に取り組む際の姿勢(失敗観)」を見たところ、年次が上がるにつれ「失敗は気にせず、まずはやってみる」と明確な挑戦傾向を示す回答割合が減少していることがわかる。
クロス集計2. 年次及びQ14「どのように働き続けたいか(=キャリア観)の有無」を集計軸として見る「失敗観」の回答分布
特に挑戦傾向の低かった正社員5年目・6年目以上の回答者を詳しく見た。その結果、「どのように働きつづけたいか(キャリア観)」を明確な形で持っている回答者は、正社員5年目・6年目以上であっても、「失敗は気にせず、まずはやってみる」に多く分布していることがわかる。
クロス集計3.年次及びQ17「学習機会の有無」を集計軸として見るQ14「キャリア観の有無」の回答分布
さらに「キャリア観を明確に所持している正社員5年目・6年目以上」がどのような特徴を示しているか詳しく調べたところ、学習機会をなんらかの形で所持している回答者群と相関関係があった。
■リ・カレント株式会社について
一人ひとりの意志ある学びが組織内外ネットワークで共有され、相互に学習・成長する関係性が深まることにより、「改善・問題解決・革新」に向けた価値協創プロセスが生じる「組織学習」のデザインカンパニーとして、研修プログラムの開発・実施、組織開発コンサルティング等のサービスを提供しています。
所在地 : 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-1-9 JESCO新宿御苑ビル6階
会社名 : リ・カレント株式会社
代 表 : 石橋 真
設立日 : 2007年12月
事 業 : 企業内研修/人材開発コンサルティング/組織開発コンサルティング/組織調査・人事設計
リ・カレントWEBサイト:https://www.re-current.co.jp/
記事引用:PR TIMES「【意識調査】20代社員の挑戦傾向は年次と共に低下傾向、維持のカギは“学習機会”と“キャリアの軸”確立か:2022年度最新20代若手社員の意識調査レポートを公開」