転勤に対する企業の取り組みが加速する一方、働く人の転勤に対する意識は、肯定的・否定的に二分。若年層ほど良いイメージをもつことが判明。
世界No.1求人検索エンジン* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、Indeed上に掲載された求人情報を元に、「転勤なし」に言及した求人動向について調査しました。同時に、働く人々の「転勤」に対する意向を明らかにするために、20~50代で現在の雇用形態が正社員または公務員の4,480名を対象に、「転勤」に関する意識調査を行いました。
その結果、「転勤なし」を訴求した求人数の割合は過去5年間で増加傾向にあり、特に2022年以降増加率が上がっていることがわかりました。一方で、正社員の「転勤」に対する意向は、必ずしもネガティブなイメージを抱く人が多いというわけではなく、積極的に転勤を受け入れる人と転勤を嫌がる人で二分していることがわかりました。
<本調査実施の背景>
昨今、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、コロナ禍によってますます加速した人々の働き方や価値観の多様化等に伴い、人材獲得競争が激化してきています。企業は、必要な人材を確保するためにさまざまな対策を打ち出していますが、「転勤」に関する取り組みもその一つだと言えるでしょう。昨年から今年にかけて、本人の同意がない転勤を廃止する制度や、リモートワークを基本として転勤や単身赴任を伴わない働き方を選択可能とする制度など、転勤に関する新たな制度を取り入れる企業の動きも出てきています。
そこでIndeedでは、Indeed上での「転勤なし」に言及した正社員求人の動向を2018年1月から2023年4月の過去5年間を対象に調査しました。また、20~50代で現在の雇用形態が正社員または公務員の4,480名を対象に「転勤」に関する意識調査を実施し、「転勤」に対する働く人々の行動や意識の変化を調べました。
■ 調査結果まとめ
求人動向調査の結果、Indeed上では「転勤なし」を明記した求人の割合が増加しており、2023年1月時点で5年前の約3倍まで増えていることが明らかになりました。転勤がないことをアピールポイントとして訴求している企業が増えてきていることがうかがえます。
また、意識調査の結果からは、正社員または公務員で働く人々の「転勤」に対する意向は、肯定的に捉える人と否定的に捉える人で二分していることがわかりました。全体の2割弱が転勤に対して良いイメージを持っている一方で、3割弱が悪いイメージを持っていました。若い年代ほど、転勤に対して良いイメージを持っている割合が高いこともわかりました。
これからより人材確保が難しくなる時代において、企業は自社の事業や状況に応じて「転勤がないこと」をアピールし、あるいは、転勤がある企業においては「転勤におけるメリットや福利厚生」をうまく訴求することで、より自社に合った人材確保に繋げていくことができると思われます。
「We help people get jobs.」をミッションとするIndeedでは、あらゆる人々が公正に自分に合った仕事を見つけられる社会を実現するためのさまざまな取り組みを行っています。今後も、Indeedに蓄積されたデータや知見を活かした調査を行い、求職者や採用企業にとって役立つ情報を提供してまいります。
■ 調査結果に対するIndeedエコノミスト青木雄介のコメント
昨今、企業側で転勤に対する取り組みが進んでいる様子が見られます。「転勤なし」をアピールポイントとして訴求する企業が増加し、特に2022年から著しく増加しています。リモートワークやDX化等で実際に転勤自体が減った場合もありうる一方、パンデミックを経て労働者の働き方に対する価値観のシフトが見込まれる中、人材獲得に向けた企業の採用戦略の一環と捉えられます。
特に、保険や営業、金融など従来転勤が多かった、あるいは、転勤があるイメージの強い職種において、「転勤なし」の訴求が顕著に増加していることが注目されます。職種内の人材獲得競争だけでなく職種間の競争もあり、求職者から転勤があるイメージを持たれることで選択されない状況を避けるべく、企業は転勤に対する取り組みを一層重視していると考えられます。
労働者側の転勤意向については、転勤を肯定的に捉える労働者と回避したい労働者で二極化の傾向が見られます。回避したい労働者においては、転勤があることが退職理由や転職の軸となっています。肯定的に捉える労働者においては、大きく分けて、転勤の経験自体による恩恵(新たな環境で気分転換、新たな人脈、良い経験など)と、手当や条件に紐づく恩恵(通勤時間、手当、良いタイミング、今後の昇格への期待など)の2つを期待しています。後者については、手当・条件が労働者側の選好に大きく影響している結果でしょう。
転勤がない職場においては、「転勤がない」こと自体が、転勤を回避したい労働者にとって企業選びのポイントになっているため、求人内で言及することは引き続き有効であると考えられます。
転勤がありうる職場においては、転勤のメリットやその際の手当・福利厚生、あるいは制度(例:「同意のない転勤の廃止」など)について丁寧に情報伝達することが、労働者のエンゲージメントや求職者の関心を高める上で重要となってくるでしょう。転勤は悪いものでないと回答する労働者は比較的多い調査結果でしたが、ライフステージに応じて労働者の転勤への選好が変化するため、企業側は制度が選好に寄り添うものとなっているかを検討し、必要に応じて見直していくことも重要です。また、転勤経験者が転勤前より転勤後に、転勤に対して良い印象を持つことが増えた結果を踏まえると、転勤未経験者に対して経験者が話す機会を作ることで、転勤未経験者の見方が変わる可能性もあるかもしれません。
■ 調査結果概要
<求人動向調査結果>
◆【転勤に関する求人動向:「転勤なし」訴求の求人は増加している】
- Indeed上での「転勤なし」に言及した仕事の割合は、5年間で最大3.0倍に増加。特に直近1年間で大きく増加しており、2022年3月以降は正社員求人の15%以上を占めている。
- 職種別で見ると、「アパレル」「スポーツ」「保険」「ドライバー」において「転勤なし」に言及した求人が25%以上を占めており、いずれも5年間で増加傾向が見られた。
<意識調査結果>
1. 【転勤に対するイメージは肯定的・否定的に二分の傾向】
- 転勤に対するイメージは、55.9%が良くも悪くも感じていないものの、良いイメージを持っている人は2割弱(18.2%)、悪いイメージを持っている人は3割弱(25.9%)と二分している。
- 年代別で見ると、若い年代ほど転勤に対する良いイメージが強く、20代では29.1%が良いイメージを持っているのに対し、50代では12.5%しか良いイメージを持っていない。
2.【転勤経験者ほど、転勤に対するイメージがポジティブ】
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引っ越しを伴う転勤経験者ほど、転勤に対するイメージがポジティブであり、27.0%が良いイメージを持っている(全体より+8.9ポイント)。特に2020年4月以降に経験された方にその傾向が強く、41.3%が良いイメージを持っている(全体より+23.1ポイント)。
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転勤を実際に経験すると、転勤に対する印象がポジティブに変化する割合が高い。直近の転勤前後での転勤への印象変化を見ると、転勤前は良い印象23.5%・悪い印象22.4%だったものが、転勤後は良い印象44.0%(+20.6ポイント)・悪い印象17.0%(-5.4%)と、転勤経験後に印象が好転している。
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転勤経験者が転勤して良かったと感じたことは、1位「通勤時間が減った(21.2%)」、2位「新しい環境で気分転換できた(20.3%)」、3位「良い経験を積むことができた(18.2%)」。
3.【転勤が退職理由になる人も。転勤を避けたい人は、「転勤なし」が転職の際の重視点の一つに】
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転職経験者の約4人に1人(24.5%)が、これまでに転勤がきっかけで、転職・退職やその検討をしたことがあり、20代では36.5%(全体より+12.0ポイント)にのぼる。
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転勤に悪いイメージを持っている人の4人に1人以上が現在の勤務先、3人に1人以上が今後の勤務先を選ぶ際の重視点として、「転勤の可能性がないこと」をあげている。
4.【ライフステージによって、転勤の受け入れやすさは変化】
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引っ越しを伴う転勤をしても良いタイミングを尋ねたところ、転勤をしても良いタイミングがある人のうち「入社して2~3年後」が50.5%で最多、ついで「子供が自立した後」が40.4%。
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引っ越しを伴う転勤をしたくないタイミングを尋ねたところ、転勤をしたくないタイミングがある人のうち、「結婚直後」が51.4%で最多、ついで「子供が生まれる前」が50.5%。転勤を避けたいタイミングは、「結婚する直前」から「子供が高校生」までに集中している。
5.【転勤に関する企業の取り組みへの評価、「リモート転勤」「同意のない転勤の撤廃」などは高評価】
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直近の転勤について尋ねたところ、遠方への転勤経験者のうち、18.6%が「リモート転勤」(リモートワーク等の活用により引っ越しをせずに転勤)をしていることが判明。「リモート転勤」経験者の46.7%は転勤に対して良いイメージを持っている。
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企業の転勤に関する取り組みに対し、61.0%が「同意のない転勤を撤廃する制度」を、55.0%が「転居/引っ越しを伴う転勤のない人事制度」の導入を歓迎している。
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引っ越しを伴う転勤に対して企業の福利厚生や支援が求められている。絶対に必要な支援は1位「引っ越し手当(50.3%)」、2位「転勤手当(47.7%)」。あったら嬉しい支援は1位「良い条件の住居(19.1%)」、2位「引っ越し手続き代行(17.5%)」。
■ 調査概要
<転勤に関する求人動向調査>
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査対象期間:2018年1月1日〜2023年4月30日
・調査方法:対象期間において、Indeed上に掲載された正社員求人のうち「転勤なし」に言及している求人の割合を算出
<転勤に対するイメージに関する調査>
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査対象:20~50代で現在の雇用形態が正社員または公務員の男女4,480名
・割付方法:性年代とエリアをそれぞれ掛け合わせて均等割り付けにてアンケートを回収。公務員を含む正社員の人口構成比に基づいてウェイトバック集計を実施。
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2023年3月24日~4月5日
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
■ より詳細な調査結果を、以下からご覧いただけます。
■ 「転勤に関する意識調査」データ集を、以下からご覧いただけます。 |
Indeed (インディード) について
Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人検索エンジン*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、有職者は何百万もの求人情報を検索することができます。 300万以上の企業がIndeedを利用して従業員を見つけ、採用しています。月間3億人以上のユーザーがIndeedを利用**し、求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
*出典:Comscore 2022年9月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2022年4~9月
※本プレスリリースは、以下からもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20230518
記事引用:PR TIMES「Indeedが、転勤に関する求人動向・意識調査を実施。「転勤なし」に言及した求人は5年間で約3倍に。遠方への転勤を引っ越しせずに乗り切る「リモート転勤」の活用は2割近くにのぼる。」