【調査結果のポイント】
- 管理職の4割以上が、コロナ禍以前と比べて部下のマネジメントにおける自身の負担が増えたと回答。
- 管理職の半数以上が、コロナ禍以前と比べて部下のマネジメントの難易度が上がったと回答。
- コロナ禍での部下のマネジメントにおける最大の課題と考えられていたのは「モチベーションの管理」で、半数以上の管理職がもっとも大きな課題として選択。
- 管理職の2人に1人が、コロナ禍以降、部下のマネジメントにおける自身のやり方が変わったと回答。もっとも大きく変わったことは、「部下の自主性を重んじるようになった」こと。
- 部下のマネジメントのやり方が変わっていないと答えた管理職も、その4割以上がやり方を変える必要があると考えていた。しかし、そのうちの8割以上が、「どのように変えたら良いかわからない」と回答。
<調査結果についてのコメント>
「新型コロナウイルス感染症の拡大によって働き方が大きく変わったことは、管理職のマネジメントスタイルにもこれまでにない影響を及ぼしています。
今回の調査では、コロナ禍以前と比べ、4割以上の管理職が自身の負担が増えたと回答し、5割以上が部下のマネジメントの難易度が上がったと回答していました。新たな環境の中で適切なマネジメントを行うべく、試行錯誤をしている管理職が多く存在することがうかがえます。実際にマネジメントのやり方が変わったという管理職も多く、2人に1人がそのように回答していました。具体的な変化としてもっとも多かったのは、部下の自主性を重んじるようになったという回答でした。自律的な働き方が促進されていることは、ポジティブな変化であると言えます。また、コロナ禍での部下のマネジメントにおける課題を質問したところ、管理職が抱えている課題でもっとも大きなものは、部下のモチベーションの管理でした。長引くコロナ禍によるメンタルヘルスへの影響も懸念されるなか、チームメンバーのモチベーションを保ち、そして向上させることは大変重要になります。
モチベーションと自主性・主体性には関連性があります。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のダニエル・キム氏は、組織の『関係の質』が高まると、『思考の質』、『行動の質』が高まり、それにより、結果につながり、ますます関係が良くなるという『成功の循環モデル』という理論を提唱しています。部下のモチベーションが高まると自主的・主体的に仕事へ取り組むようになり、それが結果につながるとさらに新しいことへ挑戦する意欲も生まれ、それによって職場の人間関係がさらに良好になるというプラスのサイクルが生まれるという理論です。コロナ禍でのチームマネジメントにおいては、部下との信頼関係をいかに高めていくかが、特に重要な要素になると考えています。
組織における人財を躍動させ、組織全体の活性化へとつなげるにあたり、管理職による適切なチームマネジメントは不可欠です。それを実現するためには、すべての管理職がこれからの時代に対応した新たなマネジメントスキルを身に付けられるよう支援し、教育および訓練の機会を提供することが求められるでしょう」
土屋恵子
ケース・ウェスタン・リザーブ大学経営大学院組織開発修士課程修了。2015年より現職。ジョンソン・エンド・ジョンソン、GEなど、主にグローバルカンパニーで20年以上にわたり、統括人事・人材育成部門の統括責任者として日本およびアジアの人材育成、組織開発の実務に携わる。一人ひとりの個性や強みが生きる、多様で自律的なチーム・組織創りをテーマに、リーダーシップ開発、企業の社会的使命の共有による全社横断の組織改革、バリューに基づく個人の意識や行動変革の支援、組織診断・制度浸透などを手がける。
<調査結果詳細>
日本全国の部下を持つ管理職1,000人に対し、「コロナ禍以前と以後で、部下のマネジメントにおけるあなたの負担はどのように変わりましたか」と質問したところ、4割以上となる40.6%が「大きくなった」と回答しました。コロナ禍で部下をマネジメントするにあたり、負担が増加したと考えている管理職が多くいることがわかりました。
(2)管理職の5割以上が、コロナ禍以前と比べて部下のマネジメントの難易度が上がったと回答
日本全国の部下を持つ管理職1,000人に対し、「コロナ禍以前と以後で、部下のマネジメントの難易度はどのように変わりましたか」と質問したところ、5割以上となる50.4%が「難しくなった」と回答しました。負担が増加しただけでなく、難易度も上がったと考えている管理職が多くいることが伺える結果となりました。
日本全国の部下を持つ管理職1,000人に対し、「コロナ禍での部下のマネジメントにおける課題は、どのようなところにあると思いますか。特に大きな課題だと思うものを3つ選んでください」と質問したところ、もっとも大きな課題だと考えられていたのは「モチベーションの管理」で、調査に回答した管理職の54.6%が、もっとも大きな課題に選びました。
日本全国の部下を持つ管理職1,000人に対し、「コロナ禍以前と以後で、部下のマネジメントに関するあなたのやり方は変わりましたか」と質問したところ、2人に1人となる55.5%(555人)が「変わった」と回答しました。
コロナ禍以降に部下のマネジメントに関するやり方が変わったと回答した管理職555人に対し、具体的にどのように変わったかを質問したところ、もっとも多かった変化は「部下の自主性を重んじるようになった」(41.6%)でした。
(5)部下のマネジメントのやり方が変わっていないと答えた管理職も、その4割以上がやり方を変える必要があると考えていたが、そのうちの8割以上が「どのように変えたら良いかわからない」と回答
コロナ禍以降も部下のマネジメントに関する自身のやり方が変わっていないと回答した管理職455人に対し、「変える必要はあると思いますか」と質問したところ、4割以上となる40.7%(181人)が、「変える必要がある」と回答しました。しかし、そのうち8割以上となる82.3%(149人)は、「変える必要はあるが、どのように変えたら良いかわからない」と回答していました。
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【調査概要】
サンプル数:1,000人
割付:自身と部下がどちらも出社中心で勤務:500人、自身と部下がどちらもテレワーク中心で勤務:500人
調査方法:インターネット調査
実施時期:2022年3月4日~7日
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記事引用:PR TIMES「部下を持つ管理職1,000名を対象にした「コロナ禍での部下のマネジメントに関する調査」:コロナ禍での部下のマネジメントにおける最大の課題はモチベーションの管理」