〜法律では育児休業は1か月前、産後パパ育休は2週間前までの申し出だが、大多数が取得予定日の3か月以上前の申請を希望。法律と現場のギャップが明らかに〜

 

日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に「男性育休についての調査」を実施し、107名から回答を得ました。
 

【調査結果 概要】

  1. 育休を取得した男性従業員がいる企業は約6割。取得タイミングは「出生後2週間以内」が最多

  2. 企業側の本音として、9割の総務が男性育休を推進したい

  3. 約6割が、男性育休が少子化対策につながると回答

  4. 男性育休の取得は、8割以上が「取得日の3か月前までに申請してほしい」と回答

  5. 自社を男性育休がとても取りやすい文化だと思っている総務は2割以下

  6. 約2割が、育休中に一部業務を実施している従業員がいる

  7. 育休を取得した従業員の業務の調整は「現場のメンバーによる分担」が最多

  8. 8割以上が男性育休取得の課題は「現場従業員の負担増」

  9. 育休後スムーズに復職するための支援策で4割以上が「在宅勤務の導入」

 

【調査結果 詳細

  1. 育休を取得した男性従業員がいる企業は約6割。取得タイミングは「出生後2週間以内」が最多

育休を取得した男性従業員がいるか尋ねたところ、「いる」が64.5%、「いない」が35.5%という結果になりました(n=107)。

 

取得したタイミングは、「出生後2週間以内」が53.6%で最多となりました(n=69)。

※分割して取得した場合は、最初の取得タイミングを回答

<取得した期間>(n=69)
1週間未満:14.5%
1週間~1か月未満:33.3%
1か月~2か月未満:30.4%
2か月~3か月未満:7.2%
3か月~6か月未満:5.8%
6か月~1年未満:8.7%
1年以上:0%

 

  1. 企業側の本音として、9割の総務が男性育休を推進したい

企業側の本音として、男性の育休取得についてどう思うか尋ねたところ、「積極的に推進したい」と回答したのは約4割でした。また、「積極的ではないが推進したい」を含めると、「推進したい」が9割を超えました(n=107)。

<積極的に推進したい理由>
・育休を経験して、考え方の幅が広がり、戻ってからもプラスに働いているため。
・当然の権利だから。
・育休発生に伴う、業務の効率化ならびに権限移譲が進む。
・推進しなければ良い人材が集まらなくなってしまうと思う。

 

<積極的ではないが推進したい理由>
・人員の補填など、整備が必要な項目が多々あるため。積極的に取得できる環境を整えたい。
・法改正もあり、対応しないとコンプライアンス違反になるため。
・直近で取得希望者があり、その対応をすることになったので、支援体制を確立したい。
・選択肢としてあるということを理解をしてもらう程度で問題なく、積極的になる必要性はないと考えている。

 

<推進したくない理由>
・忙しい状況が続いているので、男性が育休を取ると周りの人間のモチベーションが下がると思う。
・マイナスにはならないが、長い目で見て同期と比較して昇給昇格査定・成績にどうしても反映されてしまう。
・父親が育休を取る(“休暇”と勘違いされる)より、定時で退社して帰宅後育児を分担してほしいという女性社員の意見が多い。男性も定時または時短が取れるようにしたほうがいいのでは。

 

  1. 約6割が、男性育休が少子化対策につながると回答

男性が育休を取得しやすくなることが、少子化対策につながると思うか尋ねたところ、「とても思う」と「やや思う」が合わせて62.6%で、約6割が男性育休が少子化対策につながると考えていることがわかりました(n=107)。

 

  1. 約6割の総務しか育児・介護休業法の変更ポイントを理解できていない

2022年4月から段階的に施行されている育児・介護休業法で変更になるポイントを理解しているか尋ねたところ、「理解している」は63.3%でした(n=107)。

 

理解している:63.3%
知っているが詳細はわからない:35.5%
法改正を知らない:0.9%

 

  1. 男性育休の取得は、8割以上が「取得日の3か月前までに申請してほしい」と回答

男性育休の意向確認について、どのタイミングで申請してほしいか尋ねたところ、「配偶者が妊娠したらなるべく早く」、「育休取得予定日の半年前まで」、「育休取得予定日の3か月前まで」が合わせて81.4%で最多となりました(n=107)。

 

配偶者が妊娠したらなるべく早く:26.2%
育休取得予定日の半年前まで:29.0%
育休取得予定日の3か月前まで:26.2%
育休取得予定日の1か月前まで:8.4%
育休取得予定日の2週間前まで:0.9%
いつでもかまわない:9.3%

 

  1. 自社を男性育休がとても取りやすい文化だと思っている総務は2割以下

男性従業員も育休が取りやすい文化だと思うか尋ねたところ、「とても思う」は2割以下にとどまりました(n=107)。

<男性育休の取得を推進するために取り組んでいること>
・男性育休中にも、数日、稼働日を設けられる。取得者本人も、業務を引き継ぐ担当も、心理的ハードルが下がったとのこと。
・3か月以上の育休取得から復帰した場合の手当支給。
・配偶者の妊娠報告があった時点で、案内を出す。他メンバーへの理解を深めておく。
・取得者の感想レポートの掲示。
・1か月は取得が必須の制度となっている。

 

  1. 約2割が育休中に一部業務を実施している従業員がいると回答

育休中に一部業務を実施している従業員がいるか尋ねたところ、18.7%が「いる」と回答しました(n=107)。
※取得した従業員の男女の区別はない回答

<内容や頻度>
・顧客対応で対応せざるを得ない部分のみ対応した。
・重要な会議や、部下からの相談などはリモートで受けたりしてくれている。
・会議のWEB視聴やメールチェックだけしているパターンが多い。

 

  1. 2割以上が育休制度の通知・取得促進を「何もしていない」

育休制度の通知・取得促進をどのような方法で行っているか尋ねたところ、「社内報等での発信」が36.4%で最多となりました(n=107)。

 

社内報等での発信:36.4%
相談窓口の設置:28.0%
経営陣からの発信:26.2%
研修・勉強会の実施:20.6%
定期的なアンケートの実施:2.8%
その他:14.0%
何もしていない:22.4%

 

  1. 育休を取得した従業員の業務の調整は「現場のメンバーによる分担」が最多

育休を取得した従業員の業務はどのように調整してるか尋ねたところ、「現場のメンバーによる分担」が90.7%で最多となりました(n=107)。
※取得した従業員の男女の区別はない回答

 

  1. 法律で決まっている以外の育休推進制度があるのは約1割

法律で決まっている以外の育休推進制度はあるか尋ねたところ、約9割が「ない」と回答しました(n=107)。
※取得した従業員の男女の区別はない回答

ある:11.2%
ない:88.8%

<あると回答した方の内容>
・12歳まで育休利用可
・育児経験者によるメンター制度(男女とも)
・復帰後の時短勤務期間の延長
・中学生までの子供1名につき年間1日の特別休暇(有給)付与

 

  1. 8割以上が男性育休取得の課題は「現場従業員の負担増」と回答

男性育休取得に関する課題や問題点について尋ねたところ、「現場従業員の負担増」が83.2%で最多となりました(n=107)。

<男性育休に関して寄せられている声>
・連続しての取得ではなく、必要に応じて単発で取得できるようになってほしいと言われた。
・給与に相当する社会保障が今はないため、男性の収入が下がってしまうことから、しっかりした育休は実質的には取得できないと思う。
・時間で取得が出来る年次有給休暇を取れるようにしてほしいという声は出ています。
・残されたメンバーの仕事のしわ寄せがきつい。
・国の方針(育休取得率の開示)が、中途半端(1日でも、2か月でも取得とカウントされるので)意味がないと感じている。

 

  1. 育休後スムーズに復職するための支援策で4割以上が「在宅勤務の導入」

育休取得後の従業員がスムーズに復職するための支援策について尋ねたところ、「業務の引継ぎやサポートの徹底」が45.8%で最も多く、「在宅勤務の導入」が43.9%、「仕事内容の見直し」が39.3%と続きました(n=107)。

 

総評

 今回の調査では、企業や総務として男性育休を推進したいという思いはあれど、実態として制度の整備や取得しやすい文化の醸成に苦心していることがわかりました。

 

現場の従業員の声として、「連続しての取得ではなく、必要に応じて単発で取得したい」「時間で取得が出来る年次有給休暇がほしい」「定時退社や時短勤務ができる方がいい」などの要望がありました。働き方も多様化する中で、総務としては育休やそれに関連する領域での選択肢を用意する必要性の高まりが感じられます。

 

また、課題としては「現場の負担」に関する声が圧倒的に多く、育休を推進していく上で現場の従業員のサポートや代替要因の確保などは工夫する余地があります。これを業務改善や属人化排除の機会と捉えて、組織のレジリエンスを高めていただければと思います。

 

『月刊総務』6月号(5月8日発売)では男性育休を特集し、最新の企業事例も紹介します。ぜひご覧ください。

 

株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール

株式会社月刊総務 代表取締役社長

戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。

 

【調査概要】
調査名称:男性育休についての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2023年3月23日〜2023年4月1日
有効回答数:107件

 

■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

 

■『月刊総務』について
創刊60年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)

 

■株式会社月刊総務 会社概要
社名:株式会社月刊総務
代表:代表取締役 豊田健一
住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
設立:2018年8月
事業内容:
・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行
・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営
・「総務セミナー」「総務サロン」の主催
・働き方改革関連コンサルティング 等
URL:https://www.g-soumu.com/

 

 

記事引用:PR TIMES「企業側の本音として、9割の総務が男性育休を “推進したい”。一方、自社を男性育休がとても取りやすい文化だと思っているのは2割以下。6割が「男性育休は少子化対策につながると思う」と回答。

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