日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベコンサルティング(本社:東京都千代田区・大阪市淀川区、代表取締役社長:若松 孝彦)は、上場企業を中心とする全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者などを対象に実施した「企業価値向上に向けた取り組みについてのアンケート調査」の結果を発表いたします。

 

【調査結果サマリー】

(1)約6割の企業が「投資判断基準が明確になっていない」と回答。十分な投資判断ができている企業は少ないことが分かります。

 

(2)約6割の企業が「財務戦略を主管するCFO(最高財務責任者)がいる」と回答。CFOを有する企業の半数が「投資判断技法が明確」と回答していることからも、CFOは企業経営における“羅針盤”であることが分かります。

 

(3)収益向上に向けた今後の取り組みについては、「事業開発や拡大への再投資」が最多、次いで「DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資」という結果になりました。

 

(4)約8割の企業が「ESG・SDGsへの取り組みは企業価値向上に寄与する」と回答するも、マテリアリティを絞り込み、KPIも設定できている企業は約4割という結果になりました。

 

【各データ詳細】

■約8割が資本生産性を判定する指標として「ROE(自己資本利益率)」を活用。

 企業価値における資本生産性を判定する指標として現在最も活用されている指標はROE(自己資本利益率)(79.2%)という結果になりました。近年注目されてきたROIC(投下資本利益率)(28.6%)は計測手法や社員浸透度合いから、まだメジャーであるとは言えません。CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)(7.7%)を活用している企業が一定数存在することも興味深い結果となりました。

 

■約6割が事業投資において「投資判断基準が明確になっていない」と回答。

 本アンケートは上場企業を中心に調査しましたが、上場企業であっても「投資判断基準が明確になっていない」企業が約6割(57.1%)という結果に。また、「投資判断技法やハードルレート(社内採用基準)は明確ながら、運用が不十分」が23.8%という結果からも、十分な投資判断ができている企業は少ないことが分かります。

 

■約6割が「財務戦略を主管するCFOがいる」と回答するも、一部「十分に機能していない」企業も。

 「財務戦略を主管するCFOがいる」と回答した企業は約6割(48.8%+11.3%)という結果になりました。上場企業であっても、財務戦略を構築する人材がいない企業は依然として多いのが実情です。注目すべき点は「(CFOは)いるものの十分に機能していない」(11.3%)という回答であり、CFOが資金繰りのみを担当する“金庫番”となっているケースです。CFOの本来の役割は “ビジネスパートナー”としての最高財務責任者です。企業価値向上と投資・資本戦略策定のためには、ファイナンス的視点を有する全社俯瞰的な戦略人材の育成が必要です。

 

■CFOを有する企業の半数が「投資判断技法が明確」と回答。CFOは企業経営における“羅針盤”!

 CFOの存在意義が顕著に表れているのが「CFOの有無と投資判断基準の関係性」です。CFOを有する企業の53.4%(25.7%+27.7%)が「投資判断技法が明確」と回答していることに対し、CFOがいない企業で「投資判断技法が明確」と回答した企業は26.9%(9.0%+17.9%)という結果でした。

 以上からも、CFOは財務戦略的な見地から自社の進むべき方向と現在位置を判断する基準を指し示す役割を担っており、企業経営における“羅針盤”としての機能を果たしているといえます。

 

■収益向上に向けた今後の取り組みは、「事業開発や拡大への再投資」や「DX」!

 「事業開発や拡大への再投資」(69.6%)が最多の回答数となりました。コロナ禍を経て蓄積した潤沢なキャッシュを投資に振り向けている企業が多いと推察されます。また、「DXへの投資」(60.7%)も次いで回答数が多い結果に。

 近年増えているのが「組織再編やM&A」(49.4%)です。その中でもグループ経営を軸としたホールディング経営への移行が多くみられます。また、間接業務を集約して業務効率を追求したシェアードサービスの構築や、事業間シナジーの発揮による収益向上を目的とした組織再編が活発に行われています。他、下記グラフで表れていない自由回答としては「収益アップ」や「損益分岐点の改善(体質強化)」などが見られました。

 

■マテリアリティを絞り込み、KPIも設定できている企業は約4割という結果に。

 ESG・SDGsへの取り組みをKPIとして定量化しマネジメントしていくことが重要ですが、「マテリアリティ(重要取り組みテーマ)を絞り込み、KPIも設定できている」(38.1%)と回答した企業は4割に満たない結果に。多くの企業が具体的な行動に移せていないという実態がうかがえます。

 

■約8割が「ESG・SDGsへの取り組みは企業価値向上に寄与する」と回答!

 社会の潮流を受け、企業の間ではESG・SDGsに対する認識は浸透しており、約8割の企業が「企業価値向上に寄与する」(79.8%)と認識していることが分かりました。その半面、「企業価値向上につながると認識している」にもかかわらず、前の設問の通り、マテリアリティおよびKPIを設定できている企業は半数に満たないなど、回答企業におけるジレンマがうかがえます。

 

■アンケート結果を踏まえた提言

(1)資本コスト経営への転換

 財務的アプローチから、資本コスト(≒WACC)を上回るリターンを生まないと企業価値が毀損してしまいます。ステークホルダーから集めた資本に対してどれだけの利益を創出できるかを観測するためにはROICの活用が有益です。

 

(2)価値判断基準の明確化

 新たな事業投資への取り組みは、売上規模・業種問わずどの企業も積極的に模索しています。半面、「投資判断基準が明確になっていない」、あるいは「運用が不十分」と回答する企業が過半数を占めました。まずはCFOの指揮のもと、社内で経営における価値判断基準を明確にしたのち、事業ポートフォリオの再設計を行うことを推奨します。

 

(3)非財務資本への取り組み

 企業価値は、従来の財務資本のみの価値から、非財務資本を含めた企業としての“統合価値”へ軸足が移りつつあります。マテリアリティを定義するだけでなく、長期的な視点から自社が達成すべきESG・SDGsのKPIを定義し、社内へ浸透させることが、持続的な企業価値向上につながります。

 

■執筆者プロフィール

株式会社タナベコンサルティング

コーポレートファイナンスコンサルティング事業部

エグゼクティブパートナー 鈴村 幸宏

メガバンクにて融資・外為・デリバティブなど法人担当を経て、当社に入社。「企業を愛し、企業繁栄に奉仕する」を信条とし、経営戦略・収益戦略を中心に幅広いコンサルティングを展開。企業を赤字体質から黒字体質にV字回復させる収益構造改革、成長企業に対するホールディングス化とグループ経営推進支援、ファイナンス視点による企業価値向上、投資判断、M&A支援の実績を多数持つ。また、オーナー企業に寄り添った事業承継支援、経営者(後継者)育成も数多く手掛け、高い評価と信頼を得ている。

株式会社タナベコンサルティング

コーポレートファイナンスコンサルティング事業部

ゼネラルマネジャー 公文 拓真

地方銀行にてリテールからホールセールまでを対象とした融資・預金・投資を担当したのち、当社に入社。入社後は管理会計を中心とした財務戦略や、ホールディングによる資本戦略策定などに従事。企業価値向上の観点による中期経営計画策定など、コーポレートファイナンス分野における上場企業向けのコンサルティング支援を得意とする。

 

■関連リンク

・「企業価値向上に向けた取り組みについてのアンケート調査」資料ダウンロードページ

https://www.tanabeconsulting.co.jp/finance/document/detail18.html

・当社メディア『TCG REVIEW』(「2023年度 企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート調査」リポート)

https://review.tanabeconsulting.co.jp/column/pick-up-topics/42166/

 

■調査概要

[調査対象] 上場企業を中心とする全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者など

[調査期間]2023年10月16日(月)~2023年11月2日(木)

[調査エリア]全国

[有効回答数]168件(インターネットによる回答)

 

タナベコンサルティンググループ(TCG)概要

 TCGは、1957年(昭和32年)に創業し、創業65年を超える日本の経営コンサルティングのパイオニアです。「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念のもと、現在地から未来の社会に向けた貢献価値として、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパスを定めています。

 グループで約660名のプロフェッショナル人材を擁し、「経営者・リーダーのパートナー」として大企業から中堅企業まで17,000社以上の支援実績があります。

 経営コンサルティング領域としては、戦略策定支援(上流工程)から、デジタル技術も駆使した現場における実装・オペレーション支援(中流~下流工程)まで、企業経営を一気通貫で支援できる経営コンサルティング・バリューチェーンを全国地域密着で構築しています。

 そして、コンサルティングスタイルとしては、「Client Success-すべてはクライアントの成功のために」という徹底したクライアント中心主義のもと、経営コンサルティング・バリューチェーンにより、個社の経営課題に合わせて複数名のプロフェッショナルコンサルタントを選定してチームを組成する「チームコンサルティング」を推進しています。

〈経営コンサルティング・バリューチェーン〉

・ストラテジー&ドメイン

・デジタル

・HR

・コーポレートファイナンス

・M&A

・ブランド&PR

・リージョン(全国10地域:札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、福岡、那覇)

 

 

記事引用:PR TIMES「パーソルファシリティマネジメント、はたらき方に対する本音に迫る!調査結果発表「はたらき方において現実と理想のギャップを感じている」約7割理想のはたらき方は「ハイブリッドワーク」が約半数

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