ワークサンプルテストとは? 導入のメリット・デメリットや実施時のポイント、企業事例をご紹介

ワークサンプルテストは、採用ステップのひとつです。

 

ワークサンプルテストの実施により、

 

「適正検査を実施したのに、採用した人材がミスマッチだった」

「資格保有者だったのに、思ったような活躍をしてくれなかった」

 

といった問題を解決できるかもしれません。

 

昨今、採用のミスマッチを防ぐ手段として、ワークサンプルテストが注目を集めており、日本でも取り入れる企業が出てきました。

 

そこで本記事では、ワークサンプルテストとは何か、導入のメリット・デメリット、実施時のポイントを紹介します。

 

また、実際の導入事例もあわせて紹介します。

 

Googleも実施するワークサンプルテストとは

ワークサンプルテストとは、採用選考で行う企業独自のスキルチェックです。

 

採用候補者に業務を体験してもらうことで得られた情報を、選考の判断材料として活用できます。

 

たとえば、営業職ならプレゼン能力、コミュニケーション能力が試されるワークサンプルテスト、SEならプログラミング能力を試されるワークサンプルテストが課されます。

 

求職者が課題に対して、どのようなパフォーマンスを見せるかで、入社後の活躍が期待できるかどうかを判断しましょう。

 

また、Googleの人事部門の上級副社長に就任していたラズロ・ボック氏は、採用候補者の職務能力を予測する手法とその効果の割合について、下記のように述べています。

 

【採用時に職務能力を予測する手法とその効果の割合】

  1. ワークサンプルテスト29%
  2. 構造化面接26%
  3. 一般認識能力テスト26%
  4. 通常の面接(非構造的面接)14%
  5. 誠実性評価10%
  6. 身元照会7%
  7. 職務経験年数3%
  8. 筆跡による能力解析04%

引用:著ラズロ・ボック『ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える

 

ラズロ・ボック氏は、ワークサンプルテストが通常の面接や経歴よりも、職務能力の判断材料になり得ると評価しています。

 

ちなみに、世界的に有名な企業のGoogleも、選考でワークサンプルテストを実施しています。

 

ワークサンプルテストを導入するメリット

では、ワークサンプルテストを導入するメリットは何でしょうか。

 

ミスマッチの減少

ワークサンプルテストで採用候補者に業務を疑似体験させると、能力や技術的な適正を見極められます。

 

また、現役社員とのやり取りが発生するワークサンプルテストを実施する場合、職務への理解促進だけでなく、候補者は入社前に社内の雰囲気や人間関係も把握できます。

 

このように、ワークサンプルテストを実施すると、企業と採用候補者が互いへの理解を深められるため、ミスマッチの減少に有効です。

 

採用工数を減らせる

採用候補者の適正を判断するために、SPI試験、複数回の面接、適性検査と採用フローが多くなってしまうこともあるでしょう。

 

ワークサンプルテストでは、候補者に入社後に就く業務を体験してもらうため、仕事ぶりを直接見ることができます。

 

面接では分からない候補者の能力やスキルレベルなど、さまざまな情報を得られるため、採用工数を減らせます。

 

面接の時間を有効活用できる

ワークサンプルテストを実施すると、候補者のスキルや能力を把握できるため、面接では価値観や人柄といった内面を知る時間にあてられます。

 

ワークサンプルテストと面接で、候補者の情報を引き出す役割を分担させることで、効率よく候補者を見極められるため、面接時間を有効活用できます。

 

入社の動機付けができる

ワークサンプルテストでは、採用候補者に来社してもらったり、社員と直接コミュニケーションを取ったりすることもあります。

 

面接だけでは伝わらない社内の雰囲気を体験してもらえるため、入社の動機付けにつなげることも可能です。

 

入社の動機付けができれば、選考辞退や内定辞退も減らせるため、歩留まりも改善するでしょう。

 

ワークサンプルテストを導入するデメリット

メリットに対して、ワークサンプルテストを導入するデメリットは何でしょうか。

 

選考期間が長期化する

ワークサンプルテストを実施すると、選考期間が長期化することがあります。

 

というのも、ワークサンプルテストを実施するには、候補者や現場社員のスケジュール調整などを行う必要があるため、選考が後ろ倒しになる可能性があるからです。

 

さらに、ワークサンプルテストの結果が出揃うまでには時間がかかるため、場合によっては選考期間が長期化することもあります。

 

とはいえ、1つの選考が長くなっても、採用ステップが減れば採用までのリードタイムが大幅に変わることはないでしょう。

 

歩留まり率が悪化する可能性がある

ワークサンプルテストの実施は、採用のミスマッチを減らす効果がある反面、選考辞退増加など歩留まりを悪化させる可能性があります。

 

なぜなら、ワークサンプルテストで選考判断する材料が増えれば、採用候補者とのマッチ度を測りやすくなるからです。

 

しかし、歩留まり率の悪化はマッチ度の低い候補者をスクリーニングした結果であるため、ネガティブな理由ではありません。

 

ミスマッチによる早期離職の方が、選考辞退よりも損失が大きいのではないでしょうか。

 

ワークサンプルテストの実施方法

次にワークサンプルテストの実施方法を解説します。

 

実施時期

実施時期は、最終面接前が一般的です。

 

ワークサンプルテストは、実施予定調整から実施完了まで時間がかかるため、多数の候補者に施すことが難しいです。

 

そのため、ワークサンプルテストを実施する大半の企業では、ある程度候補者が絞られた最終面接前に行います。

 

実施形式

ワークサンプルテストの主な実施形式は、

  1. 半日〜1日の体験入社
  2. リモートでの業務体験
  3. 面接前後の業務体験

の3つです。

 

実施する内容や大まかな流れは、どのパターンでも概ね同じです。

 

また、在職者のような日程調整が難しい人のために、18:00~21:00といった定時後や、土日・祝日に実施している企業もあります。

 

実施課題のテーマ

実施する目的に合わせて選定します。

 

実業務体験してもらう、会社や部署が抱えている課題の解決法を考えてプレゼンしてもらうなどです。

 

内容は、業務遂行に必要な能力募集職種によって変わるため、募集部署の現場社員と連携して、決定しましょう。

 

ワークサンプルテスト実施時のポイント

次に実施する際の注意点を解説します。

 

募集職種の業務に近い内容を実施する

ワークサンプルテストは、実際の業務に近い内容を体験してもらいましょう。

 

求職者のスキルを確認するのはもちろん、募集している部署のメンバーとの交流も組み込めば、ミスマッチ防止につながります。

 

評価項目を明確にする

評価項目を明確にすることも重要です。

 

ワークサンプルテストの目的は、求職者に業務を遂行するためのスキルがあるかどうかを見極めることです。

 

どういう人材が欲しいか、どうすればそれを判別できるかが分からないと、ワークサンプルテストが無駄に終わってしまいます。

 

募集部署の社員にヒアリングして、どんな能力が求められるのかを明確にしましょう。

 

採用候補者にフィードバックする

実施後は、候補者へのフィードバックまで丁寧に行いましょう。

 

長所と短所が自覚できれば、入社前に学びや気づきを促せるため、入社後のパフォーマンス向上につながります。

 

また、採用が決まらなかった場合も「親切に対応してくれた」という印象は、企業のイメージアップにつながるでしょう。

 

ワークサンプルテスト実施事例

最後にワークサンプルテストの実施事例を紹介します。

 

Chatwork株式会社

ビジネス用チャットツールを展開しているChatwork株式会社では、ワークサンプルテストとして、1日がかりの体験入社を実施しています。

 

部署が実際に抱えている問題が出され、最後に採用候補者が解決策をプレゼンします。

 

また、社員とランチをともにして、ざっくばらんに話すことが可能です。

 

ワークサンプルテスト実施後は、内定辞退が少なくなり入社後の離職率も低下したそうです。

 

ナイル株式会社

ナイル株式会社は、Web・アプリ領域、自動車産業で事業展開している企業です。

 

ナイル株式会社では、「すべては入社後の双方のミスマッチを極限まで減らしたいから」を理由に、適性検査、リファレンスチェックといった採用フローとともにワークサンプルテストを導入しています。

 

ポジションごとに用意した「業務内容に模したワーク」に、60~90分程度で取り組んでもらうことで、業務理解推進とスキルマッチの確認を行っています。

 

ちなみに、ワークサンプルテストはリモートで実施しています。

 

ワークサンプルテストでミスマッチ減少

ワークサンプルテストを導入すると、採用候補者のスキルレベルを判断しやすくなります。

 

選考期間の長期化、選考辞退の増加といったデメリットがありますが、早期離職によって被る損失を考えると、入社前にミスマッチが判明するのはメリットと言えるでしょう。

 

適切なワークサンプルテストを導入できれば、ミスマッチを減らして、効果的な採用活動が実現できます。

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