2019年となり、早々に世間を騒がせている「バイトテロ」ですが、該当店舗の閉店に留まらず、企業が破産にまで追い込まれる危険性のあるトラブルです。
今回は、そもそもバイトテロはなぜ起こるのか?という理由と、未然に防ぐための対策を過去の事例を踏まえながらご紹介します。
バイトテロとは?
アルバイトスタッフによるSNS上での顧客情報のつぶやきや、職場の商品や備品を使ったモラルに欠ける行為を画像や動画で投稿し「炎上」してしまうトラブルのことを「バイトテロ(アルバイトによるテロ行為)」と言います。
(日本でつくられた造語で、不適切な投稿=バカげた投稿から、“バカッター”と呼ばれる場合もあります)
2013年にも日本全国で起こり大きな社会問題となりましたが、その後も時折「バイトテロ」は行われ、話題となっています。
実際にバイトテロの被害を受けた店舗は、閉店や長期休業へと追い込まれることも多く、最悪の場合には企業自体が破産するケースもあるほど大きな問題に発展するリスクを持つトラブルと言えます。
また、過去にはバイトテロにあった店舗が損害賠償を求めて裁判を起こしたケースも。
閉店に追い込まれた店主が、バイトテロを起こした元アルバイトスタッフに対して1,000万円以上の損害賠償を請求し、最終的にバイトテロに関わった者たちからの計200万円程度の和解金で和解が成立したという事例もあります。
なぜバイトテロは起きるのか
バイトテロが起こる大きな要因として挙げられるのが、若者世代の“ITリテラシーの低さ”と言われています。
パソコンや携帯電話など、生まれた頃から当たり前のようにインターネット環境が身近にあった現在の若者世代にとって、SNSへの投稿に対するハードルは非常に低いものとなっています。
しかし同時に、“不特定多数に見られている”という意識もまた薄くなりがちで、身近でありすぎるがゆえにリスクを知ることもなく気軽に利用を続けてしまっているのです。
また、140文字投稿のTwitterや画像と短文のFacebook、画像主体のInstagramなど、近年ますます進むSNSの簡略化。
それに伴い起こり得る問題の認識と、それをいかに防ぐかという事前の対策が急務であると言えるでしょう。
バイトテロ対策のポイント
では、具体的にどのような対策が有効なのか。
ここでは3つのポイントにまとめてご紹介します。
マニュアルの作成
まずは、店舗や企業としてルールを徹底する仕組みをつくり、それを分かりやすくマニュアル化していくこと。
「お客様に関わる情報や社名が分かる投稿はしない」など、SNS利用時の注意点についても具体的に記載し、アルバイトスタッフにも理解しやすい形でSNSのガイドラインを作成し共有することが大切です。
社員教育の徹底
アルバイトスタッフも含めた従業員がルールに則った思考や行動ができるように、日々の研修や指導を徹底する教育体制の整備も不可欠。
教育方法も定期的に見直しを図り、それぞれが自分事として意識づけられるように根気強く働きかけていきましょう。
ソーシャルパトロール
インターネット上で自分の名前を検索しチェックすることをエゴサーチと言いますが、店舗や企業にとっても、エゴサーチで小まめなソーシャルパトロールを行うことも大切です。
ネット上で店舗名や自社名、アルバイトスタッフの名前で検索をかけ、問題が大きくなる前に気付くことができれば、バイトテロの未然の防止に繋がります。
バイトテロの事例
・店内で「おでん」を吐き出す動画をSNSに投稿
・商品と一緒にネズミ捕りにかかった写真を投稿
・中華鍋から上がる炎でタバコに火をつける動画を投稿
・客を盗撮した写真を投稿
・ゲームセンターの店員がゲーム機を破壊し写真を投稿
・ゴミ箱に捨てた魚をまな板に戻す動画を投稿
・食器洗浄機に両足を突っ込む写真を投稿
・女子高生の店員が自らのわいせつ画像を店内で撮影
・冷蔵庫に入って遊ぶ写真を投稿
ここでは過去の事例をご紹介しましたが、これらの多くは、仲間内での冗談や悪ふざけの延長のつもりで行なわれ、軽い気持ちでネット上に投稿されてしまっています。
しかし、その行為が損害賠償にまで発展するケースも少なくはないのも事実。
過去の事例からも起こり得るリスクを学び、店舗・企業全体で日々の意識づくりに取り組んでいくことも重要です。
まとめ
バイトテロにより、世の中に一度広まってしまったマイナスイメージを払拭するのは容易ではありません。
しかし、インターネットやSNSが身近なものとして社会にあり続ける以上、バイトテロは無視できないリスクとして立ちはだかります。
だからこそ、“防止の徹底”が不可欠です。
バイトテロを未然に防ぐために、ここで紹介した対策を活用し、また、日々の朝礼や個人面談でコミュニケーションの機会を増やすなどして、店舗・企業全体で一体感のある職場づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。