採用ツールには、採用サイトや採用動画、企業説明会で使用するパワーポイントの資料など、様々な種類があります。
採用ツールは、Web上でPRするものが多いですが、紙媒体の「採用パンフレット」を作成する企業が増加しています。
そこで、この記事では、採用パンフレットを作成する際のポイントをご紹介していきます。
採用パンフレットを作るメリットや作成の流れ、記載すべき内容についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
採用パンフレットのメリットとは?
そもそも、採用パンフレットとは、企業説明会や合同説明会といった、採用イベントで求職者に配布する採用ツールです。
求職者に企業概要や事業内容を伝え、自社の魅力をアピールする役割を担っています。
では、採用パンフレットを作るとどのようなメリットを得られるのでしょう。
企業理解が深まる
採用パンフレットを作るメリットは、求職者の企業理解を促進できる点です。
企業理念や事業内容が書かれた会社案内を、そのまま採用活動に利用している企業もあります。
しかし、会社案内は営業活動を目的として、クライアント向けに作られているため、専門用語も多く前提知識がないと「どういった活動をしている企業なのか」分かりづらいものが多いです。
採用パンフレットは、業界知識がない人でも理解できるよう、簡潔に書かれているため、企業への理解を深めることができるのです。
また、企業理解が深まれば入社後に感じるギャップも軽減するため、早期離職防止にも期待できるでしょう。
疑問や不安を解消できる
採用パンフレット内で、「一日の流れ」など職種の解説を行うと、仕事内容を理解しやすくなります。
その他にも、実際に働いている社員へのインタビューやQ&Aにより、
・福利厚生
・職場の雰囲気
・残業
・入社後のライフスタイル
のような、求職者が知りたい情報を掲載することで、働いている姿をイメージしやすくなるため、疑問や不安を解消することができます。
求職者に印象づけ、好感度がアップする
採用パンフレットは、電子的な情報では伝わらない、質感や形状、香り、文字の暖かみといった、紙だからこそ表現できるものがあります。
紙の性質を利用したインパクトのある表紙や遊び心のあるパンフレットを作ることで、親しみやすさを感じてもらえます。
また、採用パンフレットは紙媒体のため、イベントで求職者に直接手渡しすることも可能です。
それほど多く話せるわけではありませんが、笑顔で「来てくれてありがとう、どうぞ」と渡されるだけでも、好感度はアップします。
リマインド効果が期待できる
リマインド効果とは、きっかけを与えて思い出させることです。
Web上の採用サイトは、求職者が自らインターネットを開いて、検索しなければ閲覧してもらえません。
紙媒体であれば、ページを開くだけなので手間が掛かりませんし、一目で全体が見渡せるため、ストレスなく読むことができます。
そして、部屋の中に置いてあるパンフレットが目につくだけで、思い出させるきっかけを与えられるため、説明会や面接で受けた企業の印象やモチベーションを持続させることができるのです。
採用パンフレット作成の手順
採用パンフレットには、多くのメリットがあることが分かりました。
ここでは、作成する際のステップをご紹介します。
目的を明確化させる
まずは何のために作成するのか、目的を明確にさせましょう。
採用パンフレットは、
・合同説明会
・自社の会社説明会
・内定者フォロー
など、様々な場面で配られており、それぞれ目的が異なります。
例えば、企業や求職者が一堂に会する合同説明会で採用パンフレットを配布する場合、他社との差別化を図り、求職者の興味を引きつけなくてはなりません。
関心度の低い状態でパンフレットを読み込んでもらうのは難しいため、一目で魅力が伝わるようなデザインや文章にする必要があります。
しかし、内定者に対して合同説明会で配るようなパンフレットを渡しても、既に知っている情報ばかりのため、不安や疑問を解消できません。
そのため、効果を最大限に引き出すには「どういった目的で作成するのか」明確にさせることが重要なのです。
採用ターゲットを明確化させる
目的を明確化させたら「誰に」向けて伝えたいのか、採用ターゲットを明確にしましょう。
ターゲットの明確化は、採用活動の成果を左右する重要な工程です。
企業理念や事業計画をもとに、
・性格や志向
・能力
・行動特性
・専攻
・経験
・スキル
といった条件から、自社の求める人物像を明確化させてください。
求める人物像の設定が難しい場合は、自社で活躍している社員を参考にするのも有効です。
伝える相手が明確になれば、自社の魅力をターゲットの志向に合わせて表現することができるため、より一層高い訴求を期待できます。
コンセプトを決める
次に、求職者に向けて「何を伝えたいのか」を決めましょう。
コンセプトを決めないと統一性がなくなるため、何を伝えたいのか分からず、読み手の印象に残りません。
・企業理念
・自社の社風
・取り組み
など、自社ならではの価値観の中から「求職者に知ってほしいことや伝えたいこと」を決めましょう。
自社がどのような人材を求めていて、何を求職者に伝えたいのか、コンセプトを明確にさせておくと、制作会社とのやり取りも円滑に進みます。
制作スケジュールを決める
ページボリュームや依頼する制作会社によっても異なりますが、採用パンフレットを制作するには、3ヶ月程度かかります。
2022年卒の就活スケジュールは、
広報活動解禁:3月1日~
選考活動解禁:6月1日~
内定日:10月1日~
です。
したがって、企業説明会や合同説明会で配布するパンフレットを制作する場合、遅くとも広報活動が解禁される3ヶ月前の12月には制作会社に依頼する必要があります。
ただし、この時期は制作会社の抱える案件も増加すると考えられるため、余裕を持ったスケジュールで動きましょう。
制作会社の選定や修正などの可能性も考え、半年ほど前から準備を進めておくと安心です。
制作会社の選定
制作会社を選定する際は、採用・人事領域のツール制作を得意としている会社がおすすめです。
採用・人事領域のツール制作を得意としている企業であれば、目的に合わせたパンフレットの企画・提案や取材、撮影、原稿執筆まで任せることができます。
また、業者を選ぶ際は、印刷だけでなくデータ納品も可能か確認しておきましょう。
データ納品も可能であれば、Webサイト上でも採用パンフレットを公開できるため、より多くの求職者に見てもらえます。
制作費は、数十万円~200万円以上かかることもあり、構成内容やページ数、発行部数、依頼する範囲によって大きく変動します。
制作開始
依頼先が決まったら入念な打ち合わせを行い、認識をすり合わせていきます。
方向性が決まったら見積もりをもらい、料金や構成を確認して調整しましょう。
また、社員や役員にインタビューすることもあるため、該当者のスケジュール調整も忘れず行ってください。
採用パンフレットに記載すべき内容とは?
採用パンフレットに記載すべき内容は、
・企業情報や社歴
・企業理念やビジョン
・事業内容やサービス内容
・福利厚生やキャリアプラン
・社員紹介
が挙げられます。
企業情報や社歴
会社概要や事業内容の紹介、募集要項などが含まれる基本的な情報です。
事務的な内容になりがちですが、求職者に自社を知ってもらう重要な項目なので、必ず記載しましょう。
社歴を記載する際は、創業開始から現在に至るまでの軌跡をストーリー仕立てで紹介すると、求職者の興味や関心を高めることができます。
企業理念やビジョン
社歴と合わせて、企業理念や今後の展望について記載しましょう。
企業理念やビジョンを明確に記載すると、自社の魅力をアピールできますし、価値観に共感した求職者からの応募増加が期待できます。
事業内容やサービス内容
事業内容やサービス内容について説明しましょう。
学生や業界未経験の求職者でも理解できるよう、なるべく専門用語は使わず簡潔に書くことが重要です。
イラストやマンガを使うと、より分かりやすく説明でき、親近感を与えられます。
福利厚生やキャリアプラン
働き方改革の影響もあり、プライベートを重視する求職者が増加傾向にあります。
福利厚生や働き方、待遇面について詳しく記載されていると、信頼感や安心感を与えることができます。
また、キャリアプランを記載すれば、入社後自分がどのように成長していくのか想像しやすくなるため、志望度を高めることができるでしょう。
社員紹介
社長からのメッセージや先輩社員のインタビューも記載しましょう。
求職者は、企業の内情や職場の雰囲気を知りたいと考えているため、
・成功体験や失敗体験
・働き方
・やりがいを感じている点
・入社を決めた理由
といった、実際に働いている社員の声を掲載するのがおすすめです。
新卒1年目や中途社員、ワーキングマザーなど立場の異なる社員の声を載せると、職場の雰囲気が伝わりやすくなります。
社長からのメッセージを掲載する際は、人間性が現れる話にすると事務的な内容にならず、親近感や好感を与えられます。
採用パンフレット制作時のポイントは?
ここまでで、採用パンフレットに記載すべき内容が分かりました。
ここでは、制作時にこだわるべきポイントをご紹介します。
デザインにこだわる
情報を伝える手段は、言葉だけではありません。
画像や感触、色彩など様々な要素から、感覚的に読み手へ情報を伝えることができます。
求める人物像の志向や自社のイメージ、コンセプトに合わせて、デザインを決めていきましょう。
印象的な表紙にする
表紙は採用パンフレットの顔であり、自社のイメージに直結する重要な部分です。
就職活動中、学生は様々な企業の採用パンフレットを目にするため、「普通」の表紙では埋もれてしまう可能性が高くなります。
どれほど内容が良くても、中身を見てもらえなくては意味がありません。
形や材質を工夫したり、求職者が興味を持ちそうなタイトルにしたり、マンガを使ったりして他社と差別化を図りましょう。
コンセプトや商品と関連づけたインパクトのある表紙を作成すると、求職者へ効果的にアピールできます。
キャッチコピーを作る
キャッチコピーも自社のイメージに直結します。
採用ターゲットの心をつかみ、自社に興味を持ってもらう必要があるため、コンセプトに沿って「求職者に伝えたいこと」を端的に記載してください。
キャッチコピーの適切な文字数は、厳密に決まっているわけではありません。
しかし、あまり長いと興味が削がれてしまう可能性があるため、20文字程度を目安に考えると良いでしょう。
写真を活用する
文字やイラストばかりのパンフレットでは、社風や職場の雰囲気が伝わりません。
写真が掲載されていると、雰囲気やその会社で働く姿をイメージしやすくなるため、積極的に使用するのがおすすめです。
写真は読み手の印象に強く残るため、画質が粗かったり、散らかったデスクが映り込んでいたりすると、印象が悪化する恐れがあります。
求職者にPRするツールであることを念頭に置き、画質や被写体、背景など細部にまでこだわって撮影しましょう。
プロのカメラマンに依頼すると安心です。
社員のメッセージを載せる
企業理念や事業内容が事務的に説明されている文章よりも、社長や実際に働いている社員から発せられたメッセージの方が、腑に落ちやすく印象に残ります。
社員の写真と併せて本人のメッセージを載せると、求職者の興味を引きやすくなります。
メッセージによって志望度が上がることもあるため、自社の特徴や求職者に知ってほしいことをアピールしましょう。
労働環境について説明する
先述の通り、働き方改革などの影響もあり、福利厚生や労働環境に注目する求職者が増加しています。
充実した福利厚生やおしゃれな休憩室、個人に合わせた柔軟な働き方など、自社ならではの強みをアピールしましょう。
また、文字だけでなく、利用している社員の写真やイラストを使って説明すると、印象に残りやすくなります。
成長できる環境をアピール
優秀な人材ほど、成長意欲が高い傾向にあります。
教育制度や研修制度、資格取得支援といった、個人の成長をサポートする体制が整っていることをアピールしましょう。
また、「裁量権が大きい」「入社年数に関係なく、成果次第で役職になれる」など、成長意欲を高める環境も併せて記載すると、志望度を上げることができます。
データや社内アンケートを活用
就職活動の際、「掲示板」のような第三者の意見が反映された口コミサイトで、情報収集する求職者も多いです。
そのため、客観性のあるデータやグラフ、社内アンケートなどを利用すると、納得感を与えやすくなります。
また、データやグラフで会社の強みを視覚化することで、斜め読みしている人にも情報が伝わります。
育児休暇の取得率や残業時間、福利厚生の利用率など、求職者が気になるポイントをグラフ化させましょう。
遊び心も取り入れる
採用パンフレットを作る際は、遊び心のある内容やデザインにすることもポイントです。
最初から最後まで生真面目な説明ばかりでは、求職者に堅苦しい印象を与えてしまいますし、途中で飽きられてしまう可能性があります。
全体的にくだける必要はありませんが、ちょっとしたところに遊び心を取り入れると、親しみを感じてもらえるため、好印象を与えられます。
全体のバランスを見ながら、面白味のあるコンテンツを取り入れたり、遊び心のあるデザインにしたりして求職者の興味を引きましょう。
他の採用ツールと一貫性を持たせる
求職者は、企業のWebサイトや求人広告など、様々なツールから企業の情報を収集しています。
社長や社員からのコメントや情報がバラバラだと、求職者に不信感を与えてしまうため、一貫性を持たせることが重要です。
また、デザインや企業カラー、メッセージを統一させると、企業の印象をより強く刷り込むことができます。
他の採用ツールを閲覧した求職者に違和感を与えないよう、一貫性を持たせましょう。
採用パンフレットで求職者の心をつかみましょう!
企業のことを知らない求職者にとって、採用パンフレットは企業を知る貴重な機会となるものです。
ここで好印象を与えることができれば、企業への好感度が上がり、興味関心を持ってくれること間違いなしです。
応募者を増やしたいと考えているのであれば、採用パンフレットの作成を検討してみてはいかがでしょうか。