少子高齢化の影響により、求人広告への掲載など従来のような採用手法だけでは、応募者を確保しづらくなってきています。

 

そのような中、私たちの生活の一部となっているSNSを活用した「ソーシャルリクルーティング」が新しい採用手法として注目されています。

 

「ソーシャルリクルーティングを始めたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。

 

この記事ではソーシャルリクルーティングとは何か、メリット・デメリット、SNSの種類についてご紹介していきます。

 

ソーシャルリクルーティングの活用事例もまとめていますので、ぜひご覧ください。

 

ソーシャルリクルーティングとは?

ソーシャルリクルーティングとは、FacebookやTwitter、LINEといったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用した新しい採用手法です。

 

企業が一方的に情報発信を行う求人広告などの採用手法と違い、「情報発信」と「双方向のコミュニケーション」が可能な採用手法であるため、多角的なアプローチができます。

 

ソーシャルリクルーティングが注目される理由と目的

スマートフォンの普及に伴い、SNS利用者は年々増加しています。

 

総務省の調査によると、2017年には20代~30代のSNS利用率は70%を超えており、2016年時点で20代の97.7%がLINE・Facebook・Twitter・mixi・Mobage・GREEのいずれかのサービスを利用している、という結果が出ています。

 

このことから分かる通り、活発に求職活動を行っている年代にとって、SNSは非常に身近なツールです。

 

そのため、

 

・自社の魅力や社風、求人情報などの情報発信

・質疑応答や連絡手段

 

としてSNSを活用することで、企業理解の促進や認知度・好感度をアップさせ、採用につなげる目的で行われているのです。

 

参考:総務省「情報通信白書

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ソーシャルリクルーティングのメリット

ソーシャルリクルーティングのメリットをご紹介します。

 

事前に応募者をスクリーニングできる

採用面接を受ける際、応募者は緊張から本来の力を発揮できなかったり、内定獲得のために必死で自分をアピールしたりします。

 

そのため、応募者の本質を限られた時間内で見極めるのは非常に困難です。

 

しかし、SNSは日常生活で利用されているため、応募者のSNSを事前に確認することで、その人の人間性や考え方、情報リテラシーの程度、普段の生活が分かります。

 

したがって、企業は不適切な言動・行動をするようなリスクの高い人物を事前にスクリーニングすることができるのです。

 

多様な人材にアプローチできる

求人広告を掲載する場合、その求人媒体のユーザーに向けて情報公開しているため、積極的に求職活動を行っている転職顕在層にしかアプローチできません。

 

しかし、ソーシャルリクルーティングはSNSを活用するため、投稿した内容にシェアや「いいね!」といった、何らかのリアクションがつくと、様々な人たちに情報が拡散していきます。

 

投稿内容のリアクションが多くなるほど、自社を知らない求職者や「機会があれば転職したい」と考えている転職潜在層にも、情報が届きやすくなります。

 

そのため、従来の採用活動では巡り合うことのできなかった、多様な人材にアプローチすることができるのです。

 

企業のイメージアップにつながる

SNSは双方向のコミュニケーションが可能なため、自社に興味を持った求職者と気軽にやり取りすることができます。

 

また、ランチタイムの様子など日常風景や、話題性を取り入れたカジュアルな投稿をSNSにアップすると、求職者に親近感を与えることができるため、企業のイメージアップにつながります。

 

採用コストを抑えることができる

求人広告への掲載や人材紹介サービスを利用する場合、数十万円以上の費用がかかります。

 

しかし、SNSは基本的に無料で利用できるため、採用コストを大幅に抑えることができるのです。

 

フォロワーを着実に増やしていけば、効率的に採用活動を進めることも可能でしょう。

 

ソーシャルリクルーティングのデメリット

ソーシャルリクルーティングには、様々なメリットがあることが分かりました。

 

ここでは、デメリットをみていきましょう。

 

定期的に継続して運用する必要がある

ソーシャルリクルーティングは、求人広告のように短期間で結果が出るものではありません。

 

ソーシャルリクルーティングで成果を出すには、自社のSNSを認知してもらい、フォロワーを獲得していく必要があります。

 

しかし、「アカウントは作成したが更新していない」企業が多いのが実情です。

 

更新頻度の低いSNSアカウントは、求職者から発見される確率が低くなるばかりか、見つけてもらえても、「有益な情報は得られそうもない」と判断されてしまったり、中途半端な更新状況に悪印象を抱かれてしまったりする可能性もあります。

 

そのため、自社に興味・関心を持ってもらえるような投稿を、定期的に継続して行うことが重要なのです。

 

ある程度の効果が出るまでには、最低でも半年以上必要になることを理解した上で、有益な情報を定期的に発信しましょう。?

 

炎上リスクなどのリスクがある

SNSは、拡散力や双方向のコミュニケーションができる魅力的なツールです。

 

しかし、軽率な発言や配慮のない投稿をすると炎上したり、設定ミスによって個人情報が流出してしまったりする可能性もあります。

 

以前、Facebook上で内定者グループを作っていた複数の企業で、「内定者の氏名や顔写真が公開されてしまう」トラブルも発生しました。

 

また、偽アカウントを使って企業の社員のフリをする「なりすまし」や、アカウントが乗っ取られるリスクも考えられます。

 

このようなトラブルを避けるためにも、

 

・SNSの利用ガイドラインを整備する

・投稿内容や公開範囲、公開時期を2人以上で確認する

・類推されにくいパスワードを設定する

 

といった工夫を行いましょう。

 

ソーシャルリクルーティングにおすすめのSNSは?

ソーシャルリクルーティングで成果を出すには、SNSごとの特徴やユーザー層を把握することが重要です。

 

ここでは、よくソーシャルリクルーティングで利用されているSNSをご紹介します。

 

Twitter

【特徴】

・無料で利用できる

・140文字以内の短文と画像、動画を投稿できる

・10代~30代を中心に幅広い層に利用されている

・国内の利用者数は4,500万人超(2018年時点)

 

Twitterは、「今起きていること」を気軽につぶやくスタイルのため、リアルタイム性やカジュアルな投稿が好まれます。

 

企業の運用しているアカウントも、かしこまった投稿より、時事ネタや投稿者の個性溢れるつぶやきが話題に上ることが多いです。

 

ただし、文字数制限があるため、短文でも正しく意図が伝わるような投稿にする必要があります。

 

また、匿名登録やアカウントの複数作成が可能なため、Twitterはあくまで情報発信ツールの一つとして利用する企業も多いです。

 

Facebook

【特徴】

・無料で利用できる

・実名制でリアルな関係が反映される

・20代~40代の利用者が多く、若年層は少なめ

・国内の利用者数は2600万人(2019年時点)

 

Facebookは、全世界で26億人(2020年時点)が利用しているメジャーなSNSで、実名登録性です。

 

リアルな人間関係が反映されるため、他のSNSと比べるとフォーマルな印象があります。

 

Facebookを運用する際は、「Facebookページ(企業向けアカウント)」を作成することで、利用できます。

 

企業ページ上に投稿、アルバム、ノート、イベントなど、項目別にアーカイブされていくため、過去記事の一覧性が高いのも特徴です。

 

また、年齢や性別、学歴、地域を絞って広告を出すことが可能なため、ターゲット層に合わせて効率的に訴求することができます。

 

Instagram

【特徴】

・無料で利用できる

・写真や動画の共有がメインのSNS

・10代~20代の若年層が中心

・国内の利用者数は3,300万人(2019年時点)

 

Instagramは、写真や動画と任意の文章を投稿する形式となっており、ビジュアルへの訴求がメインのSNSです。

 

長文や写真に大きくキャッチコピーが入っているようなものは好まれず、魅力的な写真を定期的に投稿することが、フォロワー獲得につながります。

 

また、投稿内容に合わせて複数のハッシュタグ(#)を付けると、より多くのユーザーに見てもらえる可能性が高まります。

 

仕事風景やおしゃれな休憩スペースなど、日常的な写真を定期的に投稿することで、職場の雰囲気が伝わりやすくなるでしょう。

 

LINE

【特徴】

・無料で利用できる(企業アカウントを利用する場合は基本有料)

・通話やチャットができるSNS

・全世代で利用されている

・国内の利用者数は8,400万人(2020年時点)

 

LINEは日本の人口の6割以上が利用しているSNSです。

 

企業が利用する場合は、「LINE公式アカウント(企業アカウント)」を開設する必要があります。

 

アカウント開設は無料ですが、1,000通以上メッセージを送ると送信数に応じて料金が発生する従量課金制です。

 

LINE公式アカウントでは、

 

・友だち追加したユーザーへのDM一斉送信

・タイムラインへの投稿

・チャット

 

などの機能を利用できます。

 

スマートフォンへプッシュ通知されるため、DMの開封率が高い傾向にあります。

 

Wantedly

【特徴】

・有料(月額制/トライアル期間あり)

・ビジネス特化型のSNS

・20代~30代の若手層が多い

・国内の利用者数は178万人(2019年時点)

 

Wantedlyは、給与などの待遇面ではなく、やりがいやビジョン、環境で求職者とマッチングするビジネス特化型のSNSです。

 

求人媒体から応募するとすぐに選考が始まるため、就職意欲の高い求職者でないと応募につながりにくい傾向にあります。

 

しかし、Wantedlyの場合、いきなり応募ではなく、気になる企業に「話を聞きに行ける」設計になっているため、応募者の心理的ハードルを下げることができます。

 

また、ブログ機能を利用した企業PRや、ユーザーへのスカウトも可能です。

 

LinkedIn

【特徴】

・無料版/有料版(求人掲載:クリック課金型/ InMail送信:無料版は利用不可)

・ビジネス特化型のSNS

・20代~40代の利用者が多い

・国内の利用者数は200万人超、全世界では6億4500万人(2020年時点)

 

LinkdInを利用する際、ユーザーは必ず学歴や職歴、ビジネススキル、資格といった基本情報を登録します。

 

そのため、LinkdInのデータベースからターゲットとなる人材を探し出して、スカウトメール(InMail)を送ることや、求人掲載を行うことも可能です。

 

日本のユーザーは少ないですが、その分ビジネスへの意識が高い優秀人材が多く登録しているため、ハイクラス人材や外国人などグローバル人材の獲得に役立つでしょう。

 

ソーシャルリクルーティングの活用事例について

ここでは、他社がどのようにソーシャルリクルーティングを活用しているのか、事例をご紹介します。

 

スターバックス

世界的にも有名なコーヒーチェーン店であるスターバックスでは、Facebookに「Starbucks Partners」という採用ページを開設しています。

 

ページ内では、スタッフ紹介や実際に働いている人のストーリーなど、見た人が「働きたい」と思うような印象的な動画が多数公開されています。

 

また、同ページ内「Open Jobs」には、募集中の職種をエリア検索・応募できる機能もついており、応募までの誘導がスムーズです。

 

そのほかにも、Twitterとの連動でストーリーを拡散させる仕組みもあり、様々な工夫がされています。

 

株式会社講談社

大手総合出版社である講談社では、Twitterを活用してソーシャルリクルーティングを行っています。

 

「講談社 採用担当」のアカウント名で活動しており、2020年6月時点のフォロワーは、約5,600人です。

 

選考・イベントについての情報はもちろんのこと、就活のアドバイスや自社採用ページとも連動させています。

 

また、担当者の人柄が分かるようなツイートが多く、親しみを感じられる雰囲気になっています。

 

株式会社アダストリア

カジュアル衣料品や雑貨を中心に取り扱っているアダストリアでは、アパレルとの相性が良いInstagramを活用しています。

 

「アダストリア新卒採用担当」のアカウント名で活動しており、2020年6月時点のフォロワーは、約2700人です。

 

インターンシップなどのイベント情報発信だけでなく、魅力的な写真と合わせて、社内の風景や職種紹介の投稿を行っているため、求職者の理解促進につながる作りになっています。

 

SNSを効果的に取り入れてソーシャルリクルーティングを成功させよう!

近年、少子高齢化の影響により、従来の採用手法だけでは思うように応募者を集められなくなってきています。

 

今後はさらに人手不足が深刻化することから、私たちの生活に欠かせないSNSを活用したソーシャルリクルーティングが重要となるでしょう。

 

ソーシャルリクルーティングは、成果が出るまでにある程度時間がかかるため、まだ着手していない企業は、今のうちから始めておくことをおすすめします。

 

ご紹介した各SNSの特徴をふまえて、どのようなSNSが自社に合うのか、検討してみてください。

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