採用アウトソーシングをご存知でしょうか。
「人手不足でなかなか採用活動がスムーズにいかない」とお悩みの方も多いと思います。
そこで、この記事では、効率的な採用活動を実現できる「採用アウトソーシング」について詳しく解説していきます。
採用アウトソーシングの概要や業務内容、メリット・デメリット、注意点についてご紹介していきますので、ぜひご覧ください。
採用アウトソーシングとは?
採用アウトソーシングとは、採用に関する様々な業務を外部に委託することです。
採用に関する業務の一部、または全部を代行してくれるため、「採用代行」や「RPO(Recruitment Process Outsourcing)」とも呼ばれています。
採用のプロである業者へ業務を委託することで、
・採用成功率が低い
・人手が足りない
・採用ノウハウがない
など、採用に関する様々な課題を解決できます。
しかし、採用業務を「外部へ委託」する採用アウトソーシングは、
・業務範囲を明確にしないと、サービス開始後にトラブルが発生する
・代行業者に丸投げすると、採用ノウハウが蓄積しづらくなる
場合もあるため、目的に応じて自社に合うサービスを選ぶことが重要です。
採用アウトソーシングが注目される背景
なぜ採用アウトソーシングが注目されているのか、背景をみていきましょう。
採用アウトソーシングが注目されている主な理由は、
・採用手法の多様化
・採用活動の長期化
が挙げられます。
採用手法の多様化
少子高齢化などの影響により、「募集かけて応募を待つ」だけの従来の採用手法では、十分に応募者を獲得できなくなってきました。
応募者を獲得するには、採用市場やトレンドに合った、採用手法を取り入れる必要があります。
しかし、新しい採用手法を取り入れるとなると、その分手間が増え、採用担当者がコア業務に注力できなくなってしまいます。
多くの企業では、専任の採用組織を持っていないことも多く、採用手法の多様化に対応するマンパワーが足りないため、採用アウトソーシングが注目されているのです。
採用活動の長期化
採用市場では、新卒・中途採用を問わず、売り手市場や採用手法が多様化している影響から、採用活動が長期化しています。
採用活動が長期化すれば、採用担当者の業務が増え、多くの企業でマンパワー不足になってしまいます。
また、今後、新卒採用市場では一括採用が廃止され通年採用に切り替わることが想定されています。
新卒採用は、そもそも接触から入社までの工程が中途採用とは比較にならないほど多く、通年採用化によって膨大な業務量の増加が懸念されています。
このような、採用活動の長期化によるマンパワー不足に対応するため採用アウトソーシングが注目されているのです。
採用アウトソーシングの業務内容
採用業務は、上図の通り、採用計画の立案から内定者フォローまで多岐に渡ります。
これら全てを自社で行うとかなりの工数となり、本来注力すべきコア業務に専念できません。
そこで、母集団の分析・形成や応募者管理など、ノンコア業務を中心に委託することで、業務効率化を図れるため、空いた時間を有効活用できるようになるのです。
では、具体的にどのような業務を依頼できるのか、みていきましょう。
採用計画・戦略立案
採用計画とは、どのような人材を何人採用するか、予算やスケジュール、求人方法といった採用活動の指針となる計画です。
採用アウトソーシングでは、
・採用計画
・採用ブランドの立案
・求める人物像の明確化
・採用競合調査
・選考フローの設計
など、採用計画に関連する業務の委託が可能です。
成果を出すには、事業計画と連動した採用計画を立て、戦略的に採用活動を進めていく必要があります。
母集団形成
母集団とは、自社の求人に興味・関心を持っている人たちのことです。
採用活動を成功させるには、母集団の量だけでなく、質も確保しなくてはなりません。
採用候補者となる人材を多く集めることが重要なため、採用ターゲットに合わせて効果的な求人方法・媒体を選択して運用します。
具体的には、
・求人媒体選定
・原稿作成
・出稿
・ダイレクトメール(DM)の原稿作成
・配信業務
などが委託可能です。
また、会社説明会の資料作成や会場手配、司会代行といった、説明会の運営業務を任せることもできます。
これらの業務をプロへ委託することで、採用ターゲットに響く情報発信ができるため、効率的な採用活動を行えます。
応募者管理・書類選考
採用アウトソーシングでは、応募者管理や書類選考のスクリーニングを依頼することもできます。
例えば、
・面接の日程調整
・応募者とのやり取り
・面接場所などの詳細連絡
・リマインドメールの送信
・書類選考のスクリーニング
が可能です。
応募者が多い企業の場合、全ての書類を確認して合否判断するのは、非常に時間と手間がかかります。
書類選考を任せることができれば、採用担当者の負担は大幅に削減されるため、空いた時間を別の業務に充てることができます。
また、応募者対応を外部に委託すれば、対応の抜け・漏れを防止することができるため、離脱率低下にも期待できるでしょう。
応募者管理は、誰でも対応できるため、最も依頼されることの多い業務です。
面接選考
採用アウトソーシングでは、
・面接の代行
・面接官のトレーニング
・面接への同席
を依頼することも可能です。
面接の代行を依頼すると、個人面接や集団面接、グループディスカッションといった、様々な面接手法に合わせて、プロの目線から客観的に判断してもらえます。
そのため、自社にマッチする人材の取りこぼしを防いで、採用確度の高い候補者を残すことができるのです。
ただし、業者に丸投げするとミスマッチ採用が発生することもあるため、委託先の業者と密接にコミュニケーションを取り合い、認識の統一を図りましょう。
面接官トレーニングを依頼すると、面接でのマナーやルール、進め方、応募者を見抜く質問の仕方について、レクチャーしてもらえます。
また、面接に同席してもらい、面接の仕方や合否抽出についてアドバイスをもらうことも可能です。
面接官の時間が確保できない場合や、人材を見抜くノウハウがないなどの場合、面接選考を委託すると課題解決につながるでしょう。
合否連絡
採用アウトソーシングでは、合否連絡も委託することができます。
具体的には、
・選考通過者への合否連絡
・次回面接の案内
・内定通知書の送付
・入社意思確認
・不採用者への連絡
・応募書類の返送
が可能です。
また、内定辞退者へのアンケート実施も可能なため、利用すれば課題解決に役立つでしょう。
内定者フォロー
内定辞退者を減らすには、内定者と継続的にコミュニケーションを取り、不安や疑念を解消する必要があります。
採用アウトソーシングでは、
・応募者との定期的なやり取り
・内定者懇談会や入社前研修の企画・開催
・内定者限定のSNSの管理・運営
を委託することも可能です。
ただし、応募者・内定者との接点が減って、信頼関係を構築しづらくなる場合もあるため、注意が必要です。
代行業者によっても内容は異なりますが、採用アウトソーシングでは、ご紹介したような業務を依頼できます。
依頼する業務の範囲が広いほど料金は高くなりますが、課題に応じて業務を委託すれば、効率的な採用活動が実現するでしょう。
また、採用担当者の負担も大幅に軽減できるため、面接などのコア業務に専念することができます。
採用アウトソーシングにかかる費用は?
採用アウトソーシングの費用は、委託先のスタッフを常駐・非常駐にするか、委託する業務の内容・範囲によっても異なります。
そのため、採用アウトソーシングにかかる相場の費用を一概に説明することはか簡単ではありません。
ここでは、参考として料金体系や業務別の料金例をご紹介いたします。
料金体系
採用アウトソーシングの料金体系は、
・定額制
・成果報酬制
・従量課金制
の3つの種類があります。
定額制
定額制は、
・いくつかの業務がパッケージ化されているタイプ
・期間で契約するタイプ(1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月…)
があります。
あらかじめ料金が決められているため、オプションを付けない限り、追加の費用は発生しません。
また、業務量の少ない企業が利用した場合、コストが高くなる可能性があるため、「予算が決められていて、業務量の多い企業」におすすめです。
成果報酬制
成果報酬制は、面接実施時や採用決定時に「1人あたりいくら」で費用が発生します。
採用決定時など、委託先の設定した報酬発生のタイミングに達しない限り、基本的に料金は発生しません。
それなりに費用はかかりますが、「採用決定数や内定者の質を確保したい企業」におすすめです。
従量課金制
従量課金制は、業務内容とボリュームに応じて料金が算出されるため、必要な業務のみ依頼することができます。
書類選考や応募者管理などのノンコア業務を依頼して、「効率的に採用活動を進めたい企業」におすすめです。
業務別の料金例
従量課金制で必要な業務のみ依頼する場合、業務内容に応じて料金が設定されています。
では、業務別の料金例をみていきましょう。
・応募受付時の面接日程調整:5万円~/月
・会社説明会の欠席者フォロー(別日程の案内):2万円~/月
・面接実施:1万円/回
・評価シートの作成3千円/回
・面接の欠席者フォロー(別日程の案内):2万円~/月
・合否連絡:2万円~/月
・次回面接日程調整:2万円~/月
・合否連絡:2万円~/月
・入社意思確認:2万円~/月
・内定通知書発送:2万円~/月
上記は、参考の料金例であり、業者によって設定金額や業務内容は異なります。
また、対応者数が一定の基準を超えると、追加料金が発生することもあるため、採用アウトソーシングを利用する際は、必ず見積もりを取って確認してください。
採用アウトソーシングのメリット
採用アウトソーシングでは、採用計画の立案から内定者フォローまで、採用関する様々な業務を委託できることが分かりました。
では、採用アウトソーシングを利用すると、どのようなメリットを得られるのでしょう。
コア業務に注力できる
面接の日程調整や合否連絡といった、誰でもできるノンコア業務を委託することで、手間や工数を大幅に削減できます。
採用担当者は、その分の時間を採用計画立案や面接、内定者フォローなどのコア業務に注力できるようになります。
自社に適した優秀人材を見極める時間を確保できるため、ミスマッチ採用の抑止や内定辞退率低下にもつながるのです。
採用の確度が上がる
少子高齢化などの影響により採用難易度が高まっている近年、優秀な人材を獲得するには、トレンドに合った採用活動を行う必要があります。
豊富なノウハウを蓄積している採用のプロが、その年の採用市場やトレンド、企業課題、選考フローなど、様々な点を考慮して、自社に合う採用活動を提案してくれます。
そのため、質の良い母集団形成が実現し、選考通過率向上を期待できるのです。
また、評価基準の設定や書類選考を委託すれば、自社にマッチする優秀人材の取りこぼしを防げるでしょう。
よって、採用アウトソーシングを利用すると、採用確度を上げる効果が期待できます。
選考・内定辞退率が低下する
多忙な採用担当者にとって、応募者対応は大きな負担です。
対応が遅くなってしまったり、対応漏れが発生したりすることもあるでしょう。
しかし、求職者の多くは複数の企業に応募しているため、対応が遅くなると、他社の方が早く接触してしまいます。
また、面接日程の連絡や選考結果の通知が遅いと、応募者を不安にさせてしまったり、企業イメージが悪化したりするため、選考辞退や内定辞退をされる可能性が高まります。
採用アウトソーシングで応募者対応を依頼すれば、迅速かつ丁寧に対応してもらえるため、選考・内定辞退率の低下につながるのです。
コスト削減
採用ターゲットに合った求人広告媒体の選定や原稿の作成ができていないと、応募者が十分に集まらず、採用コストが高くなります。
しかし、自社だけで、数ある求人広告媒体の特徴を把握した上で、適切な媒体を選定するのは、困難でしょう。
プロに依頼すれば、最適な求人媒体の選定や、採用ターゲットに刺さる求人原稿が作成できるため、効率的な採用活動が実現し、採用コスト削減につながります。
採用プロセスやノウハウを学べる
代行業者は、様々な企業で採用活動を行ってきたため、採用に関する豊富な知見やノウハウを持っています。
そのため、採用アウトソーシングを利用すると、成功率の高い採用プロセスやノウハウを学ぶことができるのです。
採用活動を行ったことのない企業や、採用活動が上手くいっていない企業は、採用アウトソーシングで採用プロセスを学んでみるのも良いでしょう。
採用アウトソーシングのデメリット
採用アウトソーシングを利用すると、様々なメリットを得られることが分かりました。
ここでは、デメリットをご紹介します。
認識のズレが生じる可能性がある
求める人物像や依頼する業務範囲を明確にし、委託業者と認識を統一させておかないと、トラブル発生の原因になります。
人物像の認識が一致していないと、採用条件と異なる人ばかり応募してきたり、求める人物像とは異なる人を採用してしまったりします。
そうなると、自社に合う優秀な人材を確保できず、コストだけかかってしまい、委託した意味がありません。
また、依頼する業務範囲をしっかりと確認しておかないと、「依頼内容に含まれていると思っていたのに、入ってなかった」「想定以上に業務が発生して費用が高くなってしまった」といった、事態が発生することもあります。
認識のズレを防止するには、求める人物像や依頼したい業務範囲を明確にし、委託先の担当者と密接にコミュニケーションを取り合うことが重要です。
応募者・内定者との接点が減る
採用アウトソーシングでは、面接や内定者フォローを委託することができます。
しかし、応募者や内定者とのやり取りを一任すると、必然的に彼らとの接点が減ってしまうため、信頼関係を築きにくくなってしまうこともあるのです。
また、委託先の担当者とのコミュニケーションが不十分な場合、自社の社風や社員の人柄が上手く伝わらず、内定者が入社後に「思っていたのと違う」とギャップを感じてしまう可能性もあります。
そのため、代行業者に任せきりにするのではなく、応募者や内定者と積極的にコミュニケーションを取ることが重要となります。
代行業者によっては業務量に対応しきれないこともある
採用アウトソーシングを提供する業者は、規模も提供しているサービスもそれぞれ異なります。
依頼する業務内容とボリュームが曖昧な状態でサービスを利用すると、代行業者の規模によっては、対応しきれない可能性があります。
そのため、業者が捌ききれない分を自社で対応しなくてはならない場合もあるのです。
委託する業務内容やボリュームを把握した上で、自社に適した業者を選択しましょう。
丸投げするとノウハウが蓄積されて行かない
採用アウトソーシングは、プロが採用活動に参加するため、成果が出やすく手間も大幅に削減できます。
しかし、代行業者に丸投げすると外部に人事がある状態になります。
そのため、社内で採用ノウハウを蓄積できず、いつまで経っても採用力が上がりません。
継続的に利用する企業は別ですが、自社の採用力を底上げしたいと考えている場合は、
・面接官のトレーニング
・課題改善案
・採用活動のアドバイスをもらう
など、サポートとして利用しましょう。
経験値を積みながらノウハウを蓄積していけるため、採用力の底上げにつながります。
採用アウトソーシングの依頼の注意点
採用アウトソーシングを利用すると、様々なメリット・デメリットがあることが分かりました。
では、メリットを最大限引き出すためにはどうしたら良いのか、採用アウトソーシングを利用する際の注意点についてご紹介します。
目的を明確にする
採用代行業者によって、提供しているサービスや規模、得意なジャンルが異なります。
そのため、採用アウトソーシングを利用する際は、
・業務工数を減らし、コア業務に専念する
・採用成功率を上げる
といった、目的を明確にしましょう。
目的が明確になると、「この業務内容・ボリュームならどこに委託したら良いか」「自社の事業分野で採用成果を出している業者はどこか」「内定者フォローが得意な業者はどこか」など、具体的に考えられるため、委託先を選ぶ際に役立ちます。
業務範囲を明確に分ける
採用代行サービスは、採用計画立案や課題把握・改善案のコンサルティング部分から、採用に関する業務を幅広く請け負っています。
「代行業者は何でもやってくれる」と思いがちですが、業者やプランによって依頼できる業務内容は異なります。
そのため、業務範囲を明確にしておかないと、「サービス内容に含まれていると思っていた」など、トラブルが発生する可能性があるのです。
事前の打ち合わせでしっかりと要件のすり合わせを行い、自社の行う業務と「何の業務をどこまで依頼するか」役割分担を明確にしましょう。
定期的に情報共有を行う
採用アウトソーシングは便利なサービスですが、代行業者へ丸投げしてしまうと、
・採用ノウハウが溜まらない
・認識のズレに気付くのが遅れて、求める人物像とは異なる人材を採用する
などの事態が発生しやすくなります。
そのため、代行業者に丸投げするのではなく、現状を正確に把握できるよう進捗状況を定期的に把握することが重要です。
定例ミーティングで、施策についての妥当性検討や進捗状況を把握すると同時に、情報管理ツールを活用しながら、スムーズに情報共有できる環境を整備しておきましょう。
社内調整を行う
応募者は、連絡がなかなかな来ない企業には不安を感じやすく、レスポンスの速い企業に好感を持ちやすい傾向にあります。
そのため、迅速な応募者対応は、採用成功率に大きく関わってくるのです。
スムーズに応募者対応を行うには、面接官や合否判断を行う決裁者のスケジュールを押さえておくことが重要となります。
代行業者がすぐに対応できるよう、事前に社内調整をしっかりと行い、変更があった場合にはすぐに情報を共有しましょう。
応募者・内定者とコミュニケーションを取る
面接や内定者フォローを代行業者に委託する場合、応募者や内定者との接点が減ってしまいます。
交流が減ると信頼関係を築きにくくなるため、不安を払拭できず、選考辞退・内定辞退する人もいるのです。
このような事態を防ぐには、応募者・内定者が不安や疑問を解消できるよう、積極的かつ継続的にコミュニケーションを取ることが重要です。
上手に利用して効率的に採用活動を進めよう
採用アウトソーシングは、プロに業務を委託することで、効率的に採用活動を進めることができます。
非常に便利なサービスですが、代行業者に丸投げすると「ノウハウが溜まらない」「ミスマッチ採用」が発生する場合もあります。
採用アウトソーシングの効果を最大限引き出すには、目的や業務範囲を明確にすることが重要です。
採用アウトソーシングを検討される際は、ご紹介した内容を参考にしてみてください。