アンコンシャス・バイアスとは?注目の背景や要因、無意識の偏見がもたらす悪影響とその対策方法について解説

「普通こうじゃない?」

「これは○○するべきだ」

 

など、思ったことはありませんか??

 

こうした無意識の思い込みは、アンコンシャス・バイアスと言って、柔軟な働き方の阻害やジェンダー問題を引き起こす要因になります。

 

ダイバーシティ推進を阻害してしまうため、近年注目が高まっています。

 

そこでこの記事では、アンコンシャス・バイアスの概要や注目の背景、要因について詳しく解説いたします。

 

アンコンシャス・バイアスの事例や組織に与える悪影響、対策方法についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

アンコンシャス・バイアスとは

アンコンシャス・バイアスとは、「unconscious(無意識)」と「bias(偏見)」をかけ合わせた言葉で、文字通り無意識の偏見・思い込みのことです。

 

自分自身で気づいていない、偏ったものの見方や捉え方のゆがみのことを言います。

 

例えば、「細かい作業は女性が得意」「力仕事は男がするもの」などです。

 

こうした無意識の関連づけは適切な判断を妨げるため、組織活動の意思決定にマイナスな影響を与えます。

 

ただし、「アンコンシャス・バイアス=悪」ではありません。

 

というのも、人は無意識の関連づけを行うことで、膨大な情報の中からものごとを素早く判断する「高速思考」を可能にしています。

 

つまり、アンコンシャス・バイアスは、人間が無意識かつ瞬間的に行っている知的連想プロセスの一つなのです。

 

よって、アンコンシャス・バイアスを取り除くのではなく、「組織活動に悪影響を及ぼす偏見や思い込みを是正して、それを発生しないようにすること」が重要と言えます。

 

アンコンシャス・バイアスが注目されている背景

近年日本企業では、女性や外国人材、障がい者、非正規社員、短時間労働者、LGBTQ+など、労働者や働き方の多様化が進みました。

 

女性や若年者、マイノリティへの見下したような態度や発言は、故意であるかどうかにかかわらず、相手に不快感や疎外感を与えます。

 

何気ない言葉の中に含まれる偏見や、それにもとづく採用・評価・昇進・育成などの意思決定は、職場の人間関係悪化やモチベーション低下を招きます。

 

パフォーマンス悪化による生産性の低下や離職だけでなく、ビジネス上のトラブルにつながることもあるでしょう。

 

このように、アンコンシャス・バイアスは、円滑なダイバーシティ実現を阻害する要因となるため、注目が高まったのです。

 

また、2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」にも、「すべての人々の不平等是正」が盛り込まれていることから、ダイバーシティは加速していくでしょう。

 

したがって、今後はさらにアンコンシャス・バイアスへ対処する重要性が増していくことが予測されます。

 

アンコンシャス・バイアスの代表例

アンコンシャス・バイアスには、いくつかのタイプがあります。ここでは、その代表例をご紹介いたします。

 

ハロー効果

ハロー効果は、ある人物や事象を評価する際、目立つ特徴に引きずられて偏った判断をしてしまうことです。

 

特徴的な情報のみで評価・判断してしまうため、本質を見極められず、採用・配属のミスマッチなどを引き起こします。

 

ハロー効果の例

  1. 有名大学を卒業しているから優秀に違いない
  2. 繰り返し転職しているから忍耐力が低いだろう
  3. 内向的だから人間関係の構築は苦手だろう など

 

ステレオタイプバイアス

ステレオタイプバイアスは、国籍・性別・年齢・職業などの属性に対する先入観や固定観念のことです。

 

客観的な判断を妨げることから、組織活動に与える悪影響は広範囲に及びます。

 

ステレオタイプバイアスの例

  1. ○○人だから、真面目に仕事をしない
  2. 男性にはこの仕事はできない
  3. ゆとり世代は自主性がない など

また、性別に対するものは「ジェンダーバイアス」と呼ばれており、「男性は仕事、女性は家庭を守るもの」といった、固定的性別役割分担意識を助長させるバイアスとして注目を集めています。

 

正常性バイアス

正常性バイアスは、不測の事態や危機的な状況を過小評価して正常の範囲内だと思い込むことです。

 

目の前の問題から目を背けてしまうことで、対処の遅れや問題の深刻化を引き起こす危険があります。

 

正常性バイアスの例

  1. 景気が悪くなったけど、うちの会社は大丈夫だろう
  2. 私には関係のないこと など

 

確証バイアス

確証バイアスは、無意識に自分の意見や考えを肯定するような情報のみを集め、反証となるデータ情報を軽視することです。

 

主体的な判断に偏ってしまうことから、意思決定で重大な過ちを犯す危険性があります。ときには周囲の反感を買い、信頼を損ねることもあるでしょう。

 

確証バイアスの例

  1. 一度決めたら他の意見を一切受け付けない
  2. 反対意見を無視する など

 

権威バイアス

社長や管理職、専門家など、権威ある人の意見はすべて正しいと思い込むことです。

 

有益な意見でも、職位の低い従業員の意見をないがしろにしてしまうため、誤った判断や機会損失を招きます。

 

権威バイアスが繰り返されると、従業員は「言っても無駄だ」と考えるようになり、モチベーションを低下させます。

 

権威バイアス

  1. 社長や上司の言うことはいつも正しい
  2. 専門家の意見に従っていれば間違いない

 

集団同調性バイアス

集団同調性バイアスは、周りと同じことをすれば間違いないと思い込み、周囲の意見に同調して、同じように行動することです。

 

周囲にも同調するよう強いることもあります。

 

多角的な視点で意見交換されることがなくなるため、組織の成長を阻む要因になります。

 

集団同調性バイアスの例

  1. “みんな”が言っている意見の方が正しい
  2. 別の意見を持っていてもそれを言わずに合わせる など

 

職場におけるアンコンシャス・バイアスの事例

アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているものであり、そのすべてが悪いものではありません。

 

しかし、多くの人が持つバイアスは「~すべきだ」という固定観念を生み出し、そこからはみ出したものに対してネガティブな反応をしがちです。

 

多様性の阻害やパワハラ・差別といったトラブルの要因になるため、事例を確認してアンコンシャス・バイアスを防止しましょう。

 

性別に関するアンコンシャス・バイアス

  1. 男性が育休を取るなんて信じられない
  2. 男性は細かいところまで気が回らない、サポート役は女性の方が適任だ
  3. お茶くみや来客受付は女性がやるべきだ
  4. 女性は家庭を重視するものだ
  5. 出世したい男性は仕事を優先するものだ
  6. 女性には責任のある仕事を任せられない
  7. LGBTQ+は何を考えているのか分からない

 

年齢・世代・国籍に関するアンコンシャス・バイアス

  1. 雑用や飲み会の幹事は若手の仕事だ
  2. 今の若者は常識がない
  3. ゆとり世代は根性がない
  4. シニア世代はパソコンが苦手だ
  5. 中高年者は頭が固くて融通が利かない
  6. 外国人従業員は自己主張が強く、扱いづらい
  7. 外国人従業員は時間にルーズ

 

雇用形態に関するアンコンシャス・バイアス

  1. 時短社員は仕事の優先順位が低い
  2. アルバイトや契約社員は雑用を任されて当然だ
  3. 正社員のくせに残業が少ない
  4. 能力があるにもかかわらず、障がい者雇用の従業員に簡単な仕事しかさせない

 

その他のアンコンシャス・バイアス

  1. 血液型で「○○だ」と判断する
  2. 星座や生年月日で「こういう人だ」と判断する
  3. 学歴や前職の企業規模で能力を判断する
  4. 飲み会に付き合わない従業員の評価を低くする
  5. 「普通はこうでしょう」と自分の価値観を押しつける
  6. 気の合う部下の失敗には甘い評価をする

 

アンコンシャス・バイアスを生み出す要因

では、そもそもアンコンシャス・バイアスはどういった要因で生み出されるのでしょうか。

 

①エゴ

エゴは、自分をよく見せたり、正当化したりするために偏見や思い込みで行動することです。

 

自己保身・自己防衛心の表れと言えます。

 

例えば、「普通に考えてこうするでしょう」「誰でもできることだと思っていた」などの考えがエゴにあたります。

 

②習慣・慣習

習慣や慣習は、これまで当たり前に行われてきた行動や常識が時代に合わなくなっているにもかかわらず、それに気づかず固執してしまうことです。

 

例えば、「来客の受付対応は女性従業員がやるべきだ」「残業時間が少ない従業員はやる気がない」など、時代遅れな習慣や慣習は従業員のストレスを増大させます。

 

また、古い考えに固執すると、多様性を阻む要因にもなります。

 

同質性や暗黙のルールがある企業ほど、注意が必要です。

 

③感情スイッチ

感情スイッチは、その人特有のとらわれやこだわり、劣等コンプレックス、不安感を呼び起こすポイントのことです。

 

感情スイッチを刺激されると、自己防衛反応が働いて平静ではいられなくなったり、攻撃的になったりすることがあります。

 

アンコンシャス・バイアスの与える悪影響

アンコンシャス・バイアスは誰もが持つものですが、部下をマネジメントする上司は、特に注意しなくてはなりません。

 

ここでは、アンコンシャス・バイアスが組織に与える悪影響について、ご紹介いたします。

 

採用・昇進・評価・人材育成で適切な判断ができなくなる

人事や経営層の意思決定がアンコンシャス・バイアスによって左右されると、目の前の人材を正しく評価できません。

 

その人の本質を見極められないため、優秀人材の取りこぼしやミスマッチ採用、人材の同質化を招きがちです。

 

また、昇進や評価、人材育成面では、従業員の不満が増加することで定着率の低下につながります。

 

例えば、「子どものいる女性従業員はサポート役に回す」「育休を取った男性従業員を降格させる」「正社員はフルタイムのみ」など、本人の意向を無視した対応が挙げられます。

 

アンコンシャス・バイアスを放置すると、悪慣習が根づいてしまうため、企業イメージの悪化にもつながるでしょう。

 

「人がすぐに辞める」「育たない」といった課題を抱えている場合、アンコンシャス・バイアスが影響している可能性があります。

 

人間関係の悪化やパフォーマンスの低下を招く

アンコンシャス・バイアスは、普段の会話や何気ない態度・しぐさにも表れます。

 

「眉をひそめる」「腕組みをする」「相手を見ずに話を聞く」「貧乏ゆすりをする」など、何気ない行動であっても、上司が行うと部下に不安や恐れを与えてしまいます。

 

また、「女性なら家事もするべき」「何で子どもの風邪で男性が休むの?」などの言動はハラスメントに該当しますし、部下からの信頼を著しく損ねるでしょう。

 

こうした行動・言動は、部下のモチベーションやパフォーマンスの低下を招くため、注意が必要です。

 

ダイバーシティを阻む

近年、ダイバーシティを推進する企業が増加していますが、性別や国籍、年齢などに対するアンコンシャス・バイアスを持っていると、多様な価値観や発想を取り込めません。

 

ダイバーシティの推進が阻まれると人材の同質化が進んでしまうため、グローバル経済に適応できなくなってしまいます。

 

アンコンシャス・バイアスの対策方法

組織成長の阻害要因となるアンコンシャス・バイアスを防ぐには、どうしたら良いのでしょうか。

 

ここでは、企業と個人それぞれの対策方法をご紹介いたします。

 

企業の取り組み

まずは企業ができる対策方法について見ていきましょう。

 

研修の実施

アンコンシャス・バイアスを自分自身で気づくのは困難です。

 

そのため、まずはアンコンシャス・バイアスとは何かを知る必要があります。

 

アンコンシャス・バイアスへの理解が深まれば、自分の言動・行動を振り返って無意識下の偏見を認識できるため、対処しやすくなります。

 

ロールプレイングの実施も効果的でしょう。

 

また、認知テストやアンケート調査を受けさせると、アンコンシャス・バイアスの自己認識が高まります。

 

評価基準を整える

アンコンシャス・バイアスの起こらない仕組みづくりとして、評価基準の整備が挙げられます。

 

例えば、採用のシーンでは、性別や写真、学歴といった「職務に関係のない事項を履歴書から削除する」「質問項目を統一し、評価基準を明確にする」などです。

 

Googleでは、アンコンシャス・バイアスの研修だけでなく、こうした評価基準の整備も行っています。

 

なお、Googleでは構造化面接も実施しており、

  1. 職務に関連性のある、吟味された質の高い質問をする(難問奇問をしない)
  2. 評価担当者が簡単に回答を審査できるように、応募者の回答に対する総合的なフィードバックを文書にする
  3. 優れた回答、凡庸な回答、劣った回答がどのようなものかについて、すべての評価担当者が共通の認識を持てるように、標準化されたプロセスで採点する
  4. 面接担当者が自信を持って一貫性のある評価を行えるように、面接担当者へのトレーニングを提供し、調整を図る

引用:Google「re:Work -構造化面接を実施する

 

の4つの側面からアプローチして、アンコンシャス・バイアスの防止に努めています。

 

個人の取り組み

つづいて、個人の対策方法をご紹介いたします。

 

意思決定の観察と意識化

自分がどういうときに無意識下の偏見を行ってしまうのかを知ることが重要です。

 

「日々の言動や行動を振り返って客観的に見つめ直す」「自己評価を重ねる」などを行いましょう。

 

また、「意思決定や発言の前に立ち止まって考える」「他に選択肢がないか検討する」のように、バイアスを上書きする体験を増やすのも有効です。

 

指摘してもらう

バイアスの意識化を自分一人で行うのは困難なため、周囲の人に指摘してもらうよう伝えておくと良いでしょう。

 

とはいえ、正直に言える人はそう多くないので、「私はこう思う」と自分から自己開示したり、人の意見にしっかりと耳を傾けたりなど、言いやすい環境を作ることが大切です。

 

互いに教え合えるような関係性を構築できれば、相互理解を深めやすくなり、ダイバーシティの推進につながります。

 

アンコンシャス・バイアスへの取り組み事例

他の企業では、どのようにアンコンシャス・バイアスに取り組んでいるのか、事例を見ていきましょう。

 

Google

Googleでは、人種や性別の偏りを従業員から指摘されたことをきっかけとして、2013年からアンコンシャス・バイアス研修を実施しています。

 

社員教育で実施している無意識バイアスの講義は「Unconscious Bias @ Work」という名称で、YouTubeにもアップされています。

 

また、「Unconscious Bias @ Work」のプレゼン資料やファシリテーターガイドも公開されており、いずれも無料ダウンロード可能です。

 

スターバックス

スターバックスでは、2018年フィラデルフィアのスターバックスで発生した黒人の誤認逮捕事件をきっかけに、アンコンシャス・バイアスのトレーニングが実施されました。

 

全米8,000店舗を臨時休業し、全従業員に行われたこのトレーニングでは、人種差別に関するアンコンシャス・バイアスについて取り上げられています。

 

人種差別はアメリカの根深い問題ですが、ダイバーシティの推進を目指す日本企業にとっても重要な取り組みです。

 

ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバでは、性別や容姿への先入観を取り払い公平な採用を行うために、2020年度の採用活動から、性別に関する項目や顔写真の提出を排除しています。

 

同社ブランドのラックスが、国内で採用活動を行っている経営者などを対象に行った調査によると、性別への先入観や履歴書の写真が合否に影響していることも明らかになっています。

 

アンコンシャス・バイアスは判断をゆがめる

無意識の偏見である「アンコンシャス・バイアス」は、誰もが持っているものです。

 

高速思考を可能にすることで、危機的状況で迅速な行動ができるメリットもあるため、すべてが悪いわけではありません。

 

一方で、アンコンシャス・バイアスに捉われてしまうと、正しい判断ができず組織成長を阻害する原因にもなります。

 

組織運営においてはデメリットの方が大きいため、アンコンシャス・バイアスの排除・発生しない仕組みづくりをすることが重要です。

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