ハローワークを利用して「せっかく求人を出しているのに、全然応募が来ない」「求人を出してみたいけれど、どんな求人を出せば反響があるかわからない」といった悩みを抱える採用担当者は多いのではないでしょうか。
ハローワーク(公共職業安定所)は、事業所登録されている企業であれば、無料で求人掲載できます。
しかし、ハローワークからの採用は難しいと言われており、応募を増やすには、コツを掴む必要があります。
本記事では、ハローワークで採用できない理由と、ハローワークからの応募を増やすコツを紹介します。
ハローワークでは採用できない?
ハローワークは採用できない、採用が難しいと考えている方も多いですが、ハローワークで採用することは可能です。
実際、毎年100万人以上の求職者がハローワークを通じて就職しています。(2022年4月発表時点)
しかし、ハローワークからの採用は年々難しくなっているのも事実で、求職者からの応募数は減少傾向です。
ハローワークから応募が来ない理由
では、具体的になぜハローワークから応募が来ないのか解説します。
利用者が減少傾向にある
引用:厚生労働省『公共職業安定所(ハローワーク)の 主な取組と実績』
ハローワークから応募が来ない原因として、利用者の減少が挙げられます。
厚生労働省の調査によると、ハローワークへの新規求職申込件数(パートタイム含む常用)は、
2017年…2万人
2018年…6万人
2019年…1万人
2020年…7万人
と、年々減少しています。
利用者数が少なくなれば必然的に応募数も減るため、利用者数の減少はハローワークからの応募が来ない要因の1つです。
仕事探しの方法が増えている
インターネットが普及する以前、仕事探しの方法は新聞や求人誌といった紙媒体が主流で、職探しの方法は非常に限定的でした。
その中でも、足を運べば多くの求人情報を無料で閲覧できるハローワークは、求職者にとって大きなメリットがあったため積極的に利用されていたのです。
しかし、インターネットの普及によって仕事探しの方法は大きく変わり、現在では求人サイトやSNSなどWeb上での求職活動が一般的になりました。
ハローワークにもインターネットサービスはあるものの、民間の求人サービスが充実したことで仕事探しの選択肢が増え、ハローワークからの応募が減少しています。
求人の露出度が低い
ハローワークに掲載されている求人は、基本的に事業所を管轄する地域の求人情報のため、全国各地の求職者に見てもらうことはできません。
インターネット上でハローワークの求人を閲覧することは可能ですが、民間の求人サービスと比べると検索結果で上位表示されづらいです。
さらに、ハローワークインターネットサービスには広告機能もないため、課金による露出度の調整もできません。
そのため、民間の求人サービスと比較すると求職者からの発見性が低く、ハローワークを通じた応募が少なくなっています。
求人に応募しづらい
ハローワークからの応募が来ない理由に「ハードルの高さ」があります。
まず、求職者がハローワークを利用するには、窓口で登録してハローワークカードを受け取らなくてはなりません。
その上で、ハローワークの職員から紹介状を発行してもらい、応募するのが基本的な流れです。
電話やインターネットで気軽にエントリーできる民間の求人サービスと比べると、ハローワークは応募のハードルが高いため、応募を避ける求職者も多いです。
求人情報を伝えづらい
ハローワークの求人は、ライターに作成してもらえる求人サイトへの掲載と違い、自社で作成する必要があります。
加えて、ハローワークの求人票には画像を入れられません。
視覚的なアピールができないため、自社の魅力を伝える文章力が重要となります。
書き方のノウハウがない場合や、社内に採用担当がいない場合、魅力的な求人作成は難しいでしょう。
このように、ハローワークは求人情報を伝えづらいため、求職者の関心を引けず、応募にまで進まないことが多いです。
雇用条件が良くない
ハローワークの求人票に、求職者へのアピール欄はありません。
社風や求職者へのメッセージなどで魅力をアピールすることは困難なため、雇用条件で比較されがちです。
そのため、福利厚生や賃金、勤務形態といった雇用条件が良くない場合、他社に流れやすくなります。
ハローワークからの応募を増やすコツ
では、少しでもハローワークからの応募を増やすためには、どうしたらよいのでしょうか。
仕事内容を詳しく書く
求人票で最も見られる部分は仕事内容です。
箇条書きで済ませず、求職者が働いている姿をイメージできるよう、詳しく記載しましょう。
具体的な表現を使い、誰が見てもわかる文章を心がければ、より多くの求職者に興味を持ってもらえます。
写真も掲載する
求人票には画像を掲載できませんが、ハローワーク内の求人情報検索端末には5枚、ハローワークインターネットサービスには10枚まで画像を登録できます。
また、説明文の追加も可能です。
求職者が見たい職場の様子や、社長の写真、オフィスの立地、社員の様子などを掲載して応募を促しましょう。
福利厚生などの条件を明確に記載する
求人票は、細かい条件の明記も重要です。
条件を詳細に記載することで、ミスマッチを防げます。労働時間や、休日、残業に対する手当などを明記して、入社後のギャップを埋めましょう。
また、福利厚生について具体的に記載すれば、求職者の安心感を得られるため、応募数を増やせます。
定期的に情報を更新する
転職サイト同様、ハローワークも求人の鮮度が大切です。
内容が古い求人は不人気な印象を与え、求職者に不安を抱かせるため、応募を避けられやすくなります。
求職者の反応を見ながらキーワードを入れ替えるなど、定期的に情報更新しましょう。
ハローワークで求人を出すメリット
次に、ハローワークで求人を出すメリットを紹介します。
利用者が多い
ハローワークの利用者は年々減少していますが、2020年度の新規利用者は450万人を超えており、利用者が多いです。
地方の中小企業の中には、ハローワークでしか求人公開していない場合もあり、求人サイトに掲載されていない求人を探す求職者もいます。
特に、地元で働きたい人はハローワークを活用しています。
無料で求人掲載できる
一般的に、求人サイトの掲載には、数十万円程度の費用を要しますが、ハローワークは掲載無料です。
民間企業のサービスと異なり、採用に結び付いた後も費用が発生しません。
また、ハローワークの求人掲載は通常3か月ですが、無料で延長できます。
助成金を活用できる
厚生労働省は、企業を支援するために助成金を支給する制度を設けています。
ハローワークを通じて雇用すると、「特定求職者雇用開発助成金」「トライアル雇用助成金」などの雇用関係助成金を受給できます。
参考:厚生労働省『事業主の方のための雇用関係助成金』
ハローワークで求人を出すデメリット
では、ハローワークで求人を出すデメリットは何でしょうか。
採用の質が安定していない
ハローワークは、人材紹介サービスや人材派遣サービスのように、求職者が企業の要望にマッチしているかどうか、厳格に審査することはありません。
ターゲットと異なる求職者から応募が来る可能性があるため、採用の質が安定しない点がデメリットです。
若年層の採用が難しい
引用:労働政策研究・研修機構『ハローワーク来所者の求職行動に関する調査』
ハローワークを利用する29歳以下の割合は15%で、ほとんどの利用者が30歳以上です。
一般企業の就職サイトに比べると年齢層が高く、キャリア形成が望める若年層に求人が届きにくいです。
ハローワークは、若年層の採用が難しい点がデメリットと言えます。
ハローワーク以外にコストをかけずに採用する方法
最後にハローワークを除いた、コストをかけない採用手段の紹介です。
求人検索エンジン
求人特化型の検索エンジンを活用する方法があります。
Indeed(インディード)に代表される求人検索エンジンは、基本無料で掲載可能なため、利用する企業が増えています。
ただし、露出を増やして求職者からの発見率を上げるには、求人の書き方や課金といった工夫が必要です。
採用ホームページ
採用ホームページは、企業が採用のために立ち上げるホームページです。
ホームページ作成には費用がかかりますが、掲載費用や掲載期限はないので、採用コストの抑制につながります。
求人サイトやSNSなどと連動させることで、求職者の理解促進に役立ちます。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングは、SNSを通じて行う採用活動です。
InstagramやTwitterはもちろん、Wantedlyなどのビジネス用SNSも活用できます。
ソーシャルリクルーティングはコストを抑えられますが、応募を充実させるには適切にアカウントを運用する必要があります。
また、ソーシャルリクルーティングは、求職活動中の「顕在層」だけでなく、具体的な活動をしていない「潜在層」にまで求人情報を届けられる点が特徴です。
リファラル採用
リファラル採用は、社員からの紹介による採用を指します。
一般的には紹介者にインセンティブを支払いますが、民間の求人サービスを利用する場合と比べると、低コストで採用可能です。
また、社員の紹介ということもあり、マッチング度の高さも期待できます。
しかし、採用したいタイミングで求職者が見つからない可能性もあるため、ほとんどの企業では他の手法と組み合わせて活用しています。
採用活動の選択肢にハローワークを
ハローワークは、利用者が減少しているとはいえ、総利用者数は多い状態です。
求人サイトや人材紹介など、採用活動にはさまざまな手段があり、多くの採用手段はハローワーク同様、メリットもデメリットも含んでいます。
ひとつの採用方法だけで、採用の課題をすべて解決することはできません。
メリットとデメリット、また使う際のコツを理解して、ハローワークへの求人掲載を採用の選択肢に入れましょう。