エンプロイージャーニーマップでEXを高める! 作成方法やポイントについて解説

 

近年、HR業界では、従業員の組織内での経験(EX)を図式化する「エンプロイージャーニーマップ」の注目度が高まっています。

 

エンプロイージャーニーマップは、従業員視点でEXを高める施策が見えてくるため、採用や離職など、人材確保に課題のある企業におすすめです。

 

この記事では、エンプロイージャーニーマップの概要や作成方法、ポイントについて解説します。

 

EXを高めるメリットについてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

エンプロイージャーニーマップとは

「エンプロイー(employee)」は従業員、「ジャーニー(journey)」は旅、「マップ(map)」は地図を意味します。

 

エンプロイージャーニーマップとは、従業員が入社から退職までにたどる一連の経験(EX)を図式化したものです。

 

具体的には、入社直後の研修から始まり、教育や実業務、異動、昇進、退職といった各フェーズが含まれます。

 

エンプロイーエクスペリエンス(EX)とエンプロイージャーニーマップの関係性

「エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience)」とは、従業員が企業や組織内で遭遇するあらゆる体験のことです。「従業員体験」や「EX」と呼ばれています。

 

近年は、デジタルネイティブ世代が労働の中核を担うようになりました。

 

デジタルネイティブ世代は、手厚いサービスによる付加価値を享受してきたため、就職先にも経験価値を求める傾向にあります。

 

そのため、EXを向上させるために不可欠な、従業員の経験を可視化するエンプロイージャーニーマップを作成する企業が増えています。

 

エンプロイージャーニーマップの作成目的

エンプロイージャーニーマップを作成する目的は、EXの向上です。

 

従来の人事は、入社から退職までの限られた期間を「どのように管理するか」といった視点で施策を講じていました。

 

しかし、EX向上を図るには、「従業員が何を感じ、どういうニーズを持っているのか」を把握する必要があるため、管理の視点だけでは不十分です。

 

エンプロイージャーニーマップであれば、

  1. 入社時に期待するものは何か
  2. どのような課題に直面するか

といった従業員の心理的状態を、入社から退職までのフェーズごとに分析できます。

 

従業員視点で何が必要かを考えられるため、EX向上に有効な施策が見つかりやすくなります。

 

実際、エンプロイージャーニーマップの作成によって、人事施策の抜け漏れが見つかることも多いです。

 

ちなみに、近年では候補者に好印象を持ってもらう(CX=候補者体験)とセットで、取り組む企業も増えてきています。

 

EX(エンプロイーエクスペリエンス)を向上させるメリット

エンプロイージャーニーマップの作成は、EX向上のカギとなることが分かりました。

 

では、そもそもEXを向上させると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。

 

離職率の低下

EXの向上は、離職率の低下に有効です。

 

というのも、EXは充実した教育体制や公平かつ透明性のある人事評価、柔軟な働き方など、労働環境の整備を通して向上します。

 

働きやすい環境が整えば、育児や介護といったライフイベントの変化による離職を防げますし、従業員も企業から大切にされていることを実感できるでしょう。

 

こうした環境は従業員エンゲージメント(愛着心)を高めるため、離職率の低下につながります。

 

企業のイメージアップ

EX向上に取り組むと社内外の評価が高まり、企業イメージがアップします。

 

特に、人事評価の見直しや柔軟な働き方の提供、教育・研修制度の整備は、働き方改革や女性活躍推進にも通じる施策です。

 

「労働環境が整った職場」と認識されて企業イメージがアップすれば、優秀人材の確保に役立ちます。

 

また、EX向上の施策が評価され、「新・ダイバーシティ経営企業100選」「健康経営銘柄」などで表彰されれば、社外評価が高まり事業にも好影響を与えるでしょう。

 

生産性向上

EX向上によって従業員エンゲージメントが向上すると、企業への貢献意欲が高まります。

 

貢献意欲やモチベーションが高まれば、従業員はやりがいを持って自発的に業務に取り組むようになるでしょう。

 

さらに、従業員のキャリアに沿った適切な教育や適材適所の配置を行えば、それぞれのパフォーマンスを発揮しやすくなるため、組織全体の生産性向上につながります。

 

エンプロイージャーニーマップの作成方法

ここでは、エンプロイージャーニーマップの作成方法について、ご紹介します。

 

STEP1.従業員へのヒアリング

エンプロイージャーニーマップはEXの向上を目的とするため、従業員がどういう状況に置かれていて、何を感じているのかを把握することが重要です。

 

たとえば、社内研修のジャーニーマップを作成するなら「現在の研修制度をどう思っているか」「どのような学習ニーズがあるか」についてヒアリングしましょう。

 

ヒアリングする対象は、職種や年代、性別などの属性が偏らないよう選定していきます。

 

STEP2.ペルソナ設計

ペルソナ設計で具体的な人物像を作り上げると、その人にどういう経験を提供するべきかがイメージしやすくなります。

 

ペルソナを設計する際は、ヒアリングした情報を分析し、ターゲットとなる従業員が抱える課題や感情、行動パターンを細分化しましょう。

 

そこに、年齢や性別、家族構成などの細かい要素を盛り込んでいき、リアルなペルソナ(理想的な社員像)を設計していきます。

 

ただし、要素を盛り込み過ぎると、非現実的な社員像になってしまいます。

 

現実とかけ離れたペルソナを設計しても意味がないので、現実的な落としどころを見つけましょう。

 

STEP3.フェーズの設置

ペルソナを設計したら、

  1. 入社
  2. 研修
  3. 配属
  4. 育成
  5. 実業務
  6. 退職

といった、企業の状況に応じて具体的なフェーズを設置しましょう。

 

つぎに、各フェーズでペルソナが直面するであろう困難やトラブル、そのときの感情、企業へのニーズを洗い出し、言語化していきます。

 

フェーズの設置は、入社から退職のような長期だけでなく、「1日の流れ」や「半年」「1年」「プロジェクトごと」など、細かく区切ることもあります。

 

STEP4.EX向上施策の策定

フェーズごとの課題やトラブル、ニーズが浮かび上がってきたら、解決施策やトラブル防止策など、具体的なEX向上施策の検討に取りかかります。

 

たとえば、キャリアパスの不透明さに不安を感じている場合、何をどうすれば評価され、昇進・昇給できるのかが分かれば、従業員の不安は減るでしょう。

 

このように、EX向上を期待できる施策を具体的に策定することが重要です。

 

エンプロイージャーニーマップの注意点やポイント

ここでは、エンプロイージャーニーマップの作成で注意するべき点やポイントについてご紹介します。

 

組織が目指す姿を明確にする

組織の目標や課題があいまいな状態では、的確な施策やアクションを策定できません。

 

そのため、ジャーニーマップを作成する前に、

  1. 定着率向上
  2. 適材適所の配置

といった目標や課題、ビジョンなど、組織が目指す姿を明確にしましょう。

 

組織が目指す姿が明確になれば、目標達成・課題解決に必要な人材も見えてくるため、実態に即したペルソナを設計できます。

 

また、従業員が組織の目指す姿と担当業務に、つながりを見出すことができれば、やりがいやエンゲージメント向上のきっかけになります。

 

従業員主体の体制を構築する

従業員主体で働ける環境を構築すると、やりがいやモチベーションが高まり、EX向上につながります。

 

「業務を通じてどうなりたいか」、「各フェーズで会社に何をしてもらいたいか」など、従業員のニーズを把握できるよう、制度やプロセスを設計しましょう。

 

自社が生き残るために、組織や人材のあり方を明確にしつつ、従業員が自分の成長をイメージできる制度を整えることが重要です。

 

社内に周知する

従業員主体の体制を整えても、当人たちにその企業で働く意義や価値、メリットが伝わらなければEXは向上しません。

 

どういう成長を見込めるか、どうすれば希望するキャリアの形成につながるかを発信し、社内に周知しましょう。

 

周知方法としては、社内報や気軽に参加できる相談会などが挙げられます。

 

エンプロイージャーニーマップの作成でEXを向上

少子高齢化や雇用の流動化が進んだ現在、優秀な人材を確保するにはEX向上による付加価値を提供することが重要です。

 

EXの向上には、従業員の心理状態や企業へのニーズを把握する必要があるため、エンプロイージャーニーマップの作成が欠かせません。

 

EX向上に有効な施策を講じるためにも、エンプロイージャーニーマップの作成にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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