フォローアップ面談は、新入社員の定着率アップなどに有効なため、実施する企業が増えています。
とはいえ、「他の面談との違いや進め方が分からない」という方も多いでしょう。
そこでこの記事では、フォローアップ面談の概要や具体的な進め方、ポイントについて詳しく解説いたします。
他の面談との違いや目的、質問例についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
フォローアップ面談とは
フォローアップ面談とは、入社後に定期的に実施する面談のことです。
新入社員がいち早く職場に馴染んで活躍できるよう、新入社員の悩みや課題をフォローするために行われます。
人事や上司などが面談担当者となり、入社から1か月後、3か月後、6か月後のように、定期的に面談を実施します。
他の面談とはどう違う?
フォローアップ面談とその他の面談との大きな違いは、実施目的です。
一般的な面談は、部下を評価・管理する目的で行うため、目標や評価に関する内容が大部分を占めます。
一方、フォローアップ面談の目的は新入社員の課題解決です。
新入社員が抱えている悩みや課題、本人の希望をヒアリングした上で、今後の方向性を一緒に考え、新入社員が活躍できるようフォローします。
フォローアップ面談の目的
有意義な面談を行うためにも、実施する目的を把握しましょう。
新入社員の悩みを正確に把握するため
フォローアップ面談の目的は、新入社員の悩みを把握することです。
新入社員が抱える悩みは、業務や職場の人間関係、キャリアなど多岐にわたるため、日常的な会話だけで悩みの根本を突き止めることはできません。
また、悩みの根本が職場環境にある場合、なおさら自分の上司や先輩社員には相談しづらいでしょう。
そのため、フォローアップ面談で新入社員の声にしっかりと耳を傾け、本音を引き出すことが重要です。
新入社員の現状を把握できれば、一緒に解決方法を考えられます。
新入社員の悩みをフォローするため
新入社員の悩み解決も、フォローアップ面談の重要な目的です。
悩みを抱えた状態で業務に取り組んでも、目の前の仕事に集中できず、本来のパフォーマンスを発揮できません。
成長スピードにも悪影響を及ぼす可能性があるため、新入社員が安心して仕事に打ち込めるよう、早めに対応しましょう。
悩みを解決できれば、新入社員から信頼してもらえるため、本音を引き出しやすくなります。
新入社員のキャリア形成をサポートするため
フォローアップ面談には、キャリア形成をサポートする目的もあります。
新入社員に活躍してもらうためには、現在抱えている課題や悩みの解決だけでなく、本人が望むキャリアと会社の意向との擦り合わせが欠かせません。
本人のキャリア観や意向をヒアリングした上で、キャリア実現のために必要な要素や提供できる機会、具体的なキャリアパスを伝えましょう。
キャリア実現に向けた具体的な道筋を示すことで、新入社員は何をするべきかが明確になり、モチベーションも高まります。
フォローアップ面談の効果
では、フォローアップ面談を行うと、どのような効果を得られるのでしょうか。
早期離職の抑止につながる
フォローアップ面談は、早期離職の抑止につながります。
新しい会社のルールやシステム、人間関係など、慣れない環境で働くのは、強いストレスを感じるものです。
特に、新入社員は周囲に相談できる人が少ないため、ストレスや不満を溜めやすい傾向にあります。
ストレスや不満が溜まると、早期離職のリスクが高くなるため、早めに手を打つことが重要です。
フォローアップ面談で、新入社員の抱えている悩みを受け止めて解決できれば、早期離職の抑止につながります。
目標達成しやすくなる
仕事に取り組むにあたって、売上や業務に関する目標を立てるでしょう。
しかし、単に目標を立てるだけでは意味がありません。
目標を達成するには、ゴールから逆算した具体的なアクションを、実際の業務にまで落とし込む必要があります。
その上で、目標と現状のギャップを確認し、課題があれば適切な解決策を導き出すことが重要です。
こうした一連の流れを新入社員1人で行うのは困難であり、丸投げするとズレが生じる恐れもあります。
ビジョンを理解している上司などがフォローアップ面談を行うと、共通認識をもって取り組めるため、目標達成しやすくなります。
人材育成につながる
フォローアップ面談を実施すると、人材育成につながります。
仕事で成長するには、本人の努力だけでなく、上司や先輩社員からの適切な指導・フィードバックが欠かせません。
フォローアップ面談で新入社員の状況や希望を把握できれば、本人が納得できるフィードバックを行えます。
適切な助言をもらうことで、新入社員は課題に向き合えるようになりますし、どういうアクションを起こせば良いのかも明確になるでしょう。
したがって、フォローアップ面談を実施すると人材育成効果を期待できます。
モチベーションが向上する
フォローアップ面談を実施すると、新入社員のモチベーションが向上します。
というのも、フォローアップ面談で、本人の行動に対する評価とその理由を具体的に伝えることで、課題が明確になるからです。
課題が明確になれば、具体的なアクションを起こしやすくなるため、モチベーション向上につながります。
フォローアップ面談の進め方とトーク・質問例
では、どのようにフォローアップ面談を進めれば、効果を得られるのでしょうか。
ここでは、フォローアップ面談の進め方とトーク例についてご紹介します。
面談の目的を伝える
まずは面談の目的を伝えましょう。
仕事や職場に関する悩みは話しにくいものですし、打ち明ける相手が上司・人事なら、なおさら身構えるでしょう。
いきなり面談を行っても新入社員の本音は引き出せないため、なぜフォローアップ面談を行うのか、について伝えることが重要です。
トーク例
「入社から〇か月が経ちましたね。 〇〇さんの成長をサポートするために、今の状況について詳しく聞きたいと思っています。 これを言ったら角が立つ、とか考えなくて大丈夫です。ここで話した内容は漏らさないから、何でも遠慮なく話してくださいね。」
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本人の状況を確認する
目的を伝えたら、本人の状況を確認しましょう。
具体的には、
- 仕事の状況(進捗状況、上手くいっていること、つまづいていること)
- 職場環境(人間関係、不満を感じていること、悩み、不安)
- モチベーション
についてです。
今の仕事や職場の状況をどう感じているのかについて、本人に確認すると認識にズレが生じにくくなります。主観が入らないよう、事実にもとづいて状況確認しましょう。
質問例
「仕事の状況はどうですか?上手くいっていることやつまづいていることを教えてください」 「〇〇さんは、何の業務が好き?何に取り組んでいるときが楽しいですか?」 「うちで働いていて、どんなときに気が進まないな、大変だな、と思いますか?」
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本人の希望を確認する
現状を把握したら、悩みや気になっている点を明確にし、今後どうしていきたいのかを確認しましょう。
本人の希望を確認することでゴールが明確になるため、解決のヒントが見えてきます。
質問例
「〇〇さんが話してくれた内容の中で、特に気になっていることは何ですか?」 「1番気にかかっている~が解消されたら、職場や〇〇さんはどんな状態になると思いますか?」
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どうするべきかを一緒に考える
話を整理して本人の希望が確認できたら、どうすれば希望に近づくかを一緒に考えます。
方法を考えるときは、ビジョンや組織の役割といった会社の方向性と合わせましょう。
本人だけで実現できない場合、人事または上司としてサポートする旨を伝えると、安心感を与えられます。
質問例
「~の状態を目指すなら、こんな風にできると思うのですが、どうですか?」 「1人で課題達成が難しいようなら、先輩とやってみるのはどうですか? たとえば、△△さんとか。きっと頼りになりますよ。」
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モチベーションを確認して終了
望ましい状態に近づくには、本人の自主的な行動が不可欠です。
したがって、本人が前向きに取り組める内容になっているか、モチベーションを確認しましょう。
モチベーションが低い場合は、本人が行動に移せるレベルになるまで、一緒に考えます。
質問例
「色んな案が出ましたけど、明日から行動する具体的なイメージはできましたか?」
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フォローアップ面談のタイミング
新入社員の置かれている状況は短期間で変わるため、定期的にフォローアップ面談を行うのが望ましいです。
ここでは、フォローアップ面談の実施時期とタイミングごとの内容についてご紹介します。
入社1か月後
入社したばかりのタイミングは、まだ仕事や職場に慣れていないため、課題を聞いても答えられない場合が多いです。
次回以降の面談の際に本音で話してもらうためにも、新入社員とのコミュニケーションを目的に行いましょう。
新入社員の担当業務の意義や役割など、自社の理解を促す話題について話すのがおすすめです。
入社3か月後
入社3か月後は、仕事や職場に慣れ始めて悩み・課題が浮かび上がってくる時期です。
丁寧にコミュニケーションをとって、新入社員が抱えている悩みや課題を把握し、一緒に解決策を考えましょう。
面談内容に応じて、上司や教育担当にも働きかけます。
入社6か月後
入社から半年程度経つと、知識やスキルが定着してきます。
悩みや課題の把握に加えて、新入社員に主体的に目標を決めてもらいましょう。
また、モチベーションが低下している人には、仕事の意義や目的を伝えることが重要です。
自分の仕事がどういう風に貢献しているかが分かれば、モチベーションアップにつながります。
入社1年後
入社から1年経てば、職場や仕事に馴染んだ状態になるでしょう。
仕事に慣れて「専門性を深めたい」「他の業務も経験したい」など、キャリアの希望が出てくるタイミングなので、キャリアプランに関する内容を中心に話し合います。
しっかりとヒアリングし、本人の意向に合わせてサポートしましょう。
フォローアップ面談を成功させるポイント
さいごに、フォローアップ面談を成功させるポイントについてご紹介します。
直属の上司以外が行う
フォローアップ面談の担当者は、直属の上司以外が望ましいです。
新入社員が上司との関係に悩んでいた場合、原因である当人には本音を話せないため、人事や他部署の上司が担当した方が、本音を引き出しやすいこともあります。
新入社員が抱えていそうな悩みに合わせて、面談担当者を任命したり、定期的に面談担当者を変えたりしましょう。
話しやすい雰囲気をつくる
フォローアップ面談の効果は、いかに新入社員の本音を引き出せるかにかかっています。
面談担当者は、
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- 日頃からコミュニケーションを取る
- 本題の前にアイスブレイクを入れる
- 先入観を持たない
- アイコンタクトを取りながら話を聞く
- 適度に相づちを打つ
などを意識して、新入社員が話しやすい雰囲気をつくりましょう。
相手のしぐさや表情をよく見て面談すると、本当の悩みに気づきやすくなります。
また、「相手の話や考えを否定する」「乱暴な言葉づかいで話す」といった態度を取ると、新入社員は心を閉ざしてしまうため、注意が必要です。
事前準備を怠らない
フォローアップ面談を実施する際は、必ず事前準備をしておきましょう。
前回の内容を確認した上で質問内容をチェックシートにまとめておくと、スムーズに進みますし、前回の内容を覚えていれば相手に安心感を与えられます。
面談内容を他言しない
フォローアップ面談では、センシティブな内容を取り扱います。
そのため、本人の承諾を得ずに第三者に共有すると、新入社員からの信頼を失い、本音を話してくれなくなります。
第三者の協力を得るために情報共有が必要になった際は、必ず新入社員から承諾を得ましょう。
プライベートな領域に踏み込みすぎない
フォローアップ面談では、プライベートな話題が出ることもあるでしょう。
本人が自らの意思で話す場合は問題ありませんが、面談担当者からプライベートな話題に踏み込むのは避けてください。
プライベートな話を好まない人は多いですし、プライベートな話題になると面談の目的から外れやすくなります。
深刻な場合は第三者機関への相談を検討する
フォローアップ面談で打ち明けられた悩みの中には、深刻な問題もあるでしょう。
面談担当者だけで解決できない場合、1人で抱え込まずに第三者の協力を仰ぐことが大切です。
情報共有が必要なときは、必ず悩みを打ち明けてくれた社員から了承を得ましょう。
フォローアップ面談で新入社員をサポート
フォローアップ面談で新入社員の悩みを把握し、共に解決策を考えることで、早期離職の抑止や人材育成など、さまざまな効果を得られます。
ただし、フォローアップ面談の効果は「いかに新入社員から本音を引き出せるか」にかかっているため、悩みを打ち明けやすい雰囲気づくりが重要です。
ご紹介したポイントを参考に、定期的にフォローアップ面談を実施してみてはいかがでしょうか。