採用活動をするために必要な求人広告ですが、原稿を作成する際に使ってはいけないNGワードが数多くあることをご存知でしょうか。
NGワードが使われた求人広告は求人サイトやハローワークから修正を求められますので、ここでどのようなワードがNGなのか把握し、スムーズな入稿ができるようにしましょう。
年齢制限に関するNGワード・法律
「職場の平均年齢が高いから、20代の若手を採用したい」というニーズは多くの企業にあると思います。
しかし、雇用対策法が定める決まりによって、求人における年齢制限は禁じられています。
ただしこの決まりには一部例外があり、注意書きをすることで記載が可能になるケースもあります。
雇用対策法の第一条の三第一項から、その内容をまとめましたのでご覧ください。
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1. 定年が60歳の会社で、60歳未満の人に限定して募集をするケース
2. 労働基準法で年齢制限が設けられている危険有害業務担当などを募集するケース
3. 職歴不問で募集し、採用後は新卒者と同様の訓練・育成体制で育てていくケース
4. 技能・ノウハウの継承のため、労働者数の少ない特定職種・特定年齢層(30~49歳)を対象に募集するケース
5. 芸術・芸能における表現の真実性が要請されるケース(映画やドラマの子役募集など)
6. 60歳以上の高年齢層または特定年齢層の雇用を促進する施策の対象者に限定して、募集採用する場合(若年者トライアル雇用の対象者として、35歳未満の者に限定して募集するケースなど)
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性別の制限について
「管理職者のほとんどが男性」「営業職に女性が少ない」といった男女の役割分担意識や慣習を是正するために、男女雇用機会均等法が制定されました。
この法律によって、性別にかかわらず、募集・採用に均等な機会を与えなければならないと定められています。
「男性のみ採用」といったストレートなものはもちろん、寿退社や時短を嫌って「女性は未婚のみ」「女性は子どものいない方のみ」というワードもNGです。
その逆、「女性優先」「女性のみ採用」という男性の応募を拒む内容も禁止されています。
それでも女性を採用したいという場合は、「女性も活躍中」「産休育休取得実績あり」「女性管理職登用実績あり」という形で、女性が将来を見据えて働ける環境が整っていることをアピールしましょう。
これに留まらず、普段何気なく使っている言葉にもNGワードが紛れ込んでいるので注意が必要です。
例えば「営業マン」の「マン」は男性に絞った言い方として禁止されています。
この場合、マンを取る、「営業スタッフ・営業社員」という言い方に変えるなど、男性女性どちらも対応にしているとはっきりわかる表現に変えましょう。
「女性目線を生かして働ける」といった、一見すると問題なさそうな内容でも「募集を女性に限定している」としてNGになります。
性別に関する内容は非常にデリケートなので、記載する場合は差別表現になっていないかチェックを重ねてください。
賃金・労働時間の条件
賃金
賃金は労働条件に関する話し合いでも特にトラブルが発生しやすいので注意が必要です。
まず、各都道府県で定められた最低賃金を下回る求人は出せません。
最低賃金は変動することも多いので、常に最低の額をチェックするようにしましょう。
求職者の経験やスキルによって賃金が上下する場合は、誰もがもらえる最下限の給与額を必ず記載しましょう。
試用期間中と本採用で待遇が異なるときは、その旨を「期間中の給与は月給●●円」と明記してください。
労働時間
労働時間は労働基準法第32、35条で、原則1週間40時間、1日8時間と決められています(法定労働時間)。
ただし、映画・演劇業、病院などの保健衛生業、小売りなどの商業、旅館などの接客娯楽業を担う企業の規模が常時10人未満の場合に限り、1週間の労働時間を44時間にすることができます。
また、法定労働時間を超える労働、法定の休日(毎週1回または4週間に4日)の労働を行う場合は、「36協定」と呼ばれる協定の締結と届出を所轄労働基準監督署長に行う必要があります。
この提出なく残業を行うと、残業代が支払われているかどうかにかかわらず労基法違反となるので注意しましょう。
まとめ
ほかにも「マイカー通勤ができる方」「××町に住んでいる方」といった通勤方法や勤務地を限定する書き方、「スマートフォン、MacのPCを持っている方」など、物の所有の有無を問うこと、「元気な方」「明るい方」といった主観に左右される性格を条件に記載するのもNGです。
NGワードを使ってしまったからといって即法律に抵触することはありませんが、できれば正しい知識を持って情報公開をスムーズに進められるといいですね。
NGワードを避けつつ、誰が読んでもわかりやすい表記を心がけるようにしましょう。