従来の人事管理と言えば、紙やエクセルでの管理が主流でした。

 

しかし、人事領域でのIT技術が進化した近年では、人材データベースを分析してマネジメントに活用する企業が増加しています。

 

では、人材データベースとは具体的に何を指し、どういった情報を取り扱っているのでしょうか。

 

また、何の目的で人材データベースを構築するのか、不明な点も多いと思います。

 

この記事では、人材データベースの定義や歴史、目的について詳しく解説いたします。

 

人材データベースで管理する項目や構築する際のポイントについてもまとめていますので、ぜひご覧ください。

 

人材データベースとは?

人材データベースとは、社員情報の有効活用を目的として、人材データを集約、可視化したものです。

 

社員の基本情報はもちろん、性格・適性検査の結果や人事評価の内容、保有している資格・スキルなどあらゆる情報を集約しています。

 

従来型の社員情報の保管を目的とした人事マスタと違い、人材データベースの主な目的は、社員情報の閲覧や共有、分析です。

 

企業は、集約した膨大な人材データを活用することで、業務効率化や人事施策といった組織力の強化を図る取り組みを行っています。

 

人材データベースの歴史

人材データベースは、最近始まったものではありません。

 

IT技術が進化する以前から、社員の氏名や住所、採用試験の結果、人事評価の内容といった情報は管理されており、紙やエクセルを使用していました。

 

時代が進むにつれてIT技術が進化し、企業資源であるヒト・モノ・カネの情報を一元管理して、有効活用する「ERPシステム」が誕生しました。

 

このERPシステムの登場によって、社員情報や給与計算などを一括で行えるようになり、紙・エクセルでの管理からシステムでの管理へ移行したのです。

 

しかし、当初は自社内に設備を保有するオンプレミス型が主流だったため、初期費用や導入費用が高く、サーバーの設置場所も必要といったデメリットもありました。

 

後に、クラウド型のサービスやシステムが台頭したため、少しずつ人事データベースシステム(HRIS)へと移行していったのです。

 

近年は、少子高齢化やグローバル化などの影響により、優秀な人材の確保や生産性向上の重要性が増しています。

 

そのため、人材を見える化して有効に活用する人材データベースは、今後企業にとって欠かせないものとなるでしょう。

 

人材データベースを構築する目的

ここでは、人材データベースを構築する目的について解説いたします。

 

人事戦略の基本システムとして利用する

人材データベースを構築する目的は、人事戦略への活用です。

 

人材データベースには、社員一人ひとりのスキルやマインドなど様々な情報が蓄積されています。

 

蓄積されている情報をもとに、上司との相性や仕事の適性を加味した人員配置を行えるため、社員の能力を引き出しやすく、生産性の向上が期待できます。

 

また、人事評価を確認すれば「異動前と後でどのように変化しているか」を分析することも可能です。

 

人材データを可視化すると、人事や経営における課題の分析や解決の糸口を掴むことができます。

 

タレントマネジメントの活用

タレントマネジメントとは、優秀な人材を増やし、その人に活躍してもらうための仕組みや取り組みのことです。

 

タレントマネジメントを実現するには、人材の見える化が欠かせません。

 

ハイパフォーマーなど優秀人材の把握や特徴の分析を行えば、その情報をもとに人材採用や離職防止策を講じることができます。

 

また、社員の情報を把握しておけば、適材適所の人員配置を行えますし、個人に合った教育もしやすくなるため、人材育成にも役立てられます。

 

働き方改革への対応

人材データベースは、働き方改革へ対応する目的も含まれています。

 

企業は、働き方改革を実現するために、

  1. 長時間労働の是正
  2. 生産性の向上
  3. 柔軟な働き方ができる環境の整備

などについて取り組んでいかなくてはなりません。

 

人材データベースを活用すれば、社員一人ひとりの勤怠情報や働き方が可視化されるため、どういった問題があるのかを早期のうちに把握することができます。

 

このように、人材データベースを活用すると、適切に人材管理しやすくなるため、働き方改革への対応につながります。

 

社員情報の一元管理

企業が人を雇用する場合、労働者名簿の作成が義務づけられています。

 

人員数が少なければ紙の管理でも問題ないでしょうが、手間がかかる分管理できる人員数には限界があります。

 

採用や人員配置、給与計算の度に社員情報の中から必要なデータを自力で探し出すのは、非効率的です。

 

人材データベースであれば、氏名や住所といった基本情報から保有スキル、評価、勤怠情報など、その人材に関連する情報を一元管理できます。

 

社員情報を一元管理できれば、手動で管理・更新したり、社員情報を利用したりする際の手間を削減できるため、業務効率の向上につながります。

 

人材データベースで管理する項目

人材データベースでは、どのような内容を管理するのか、見ていきましょう。

 

基本情報

個人を特定する「基本情報」は必須です。

 

具体的には、

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 生年月日
  4. 電話番号
  5. 住所
  6. 所属部署
  7. 役職
  8. 等級

などの項目が挙げられます。

 

基本情報が正確に管理できていないと、検索やデータ抽出を行った際に取りこぼしをしてしまう可能性が高くなるため、しっかりと整備しておきましょう。

 

近年は、ダイバーシティ推進によって、男女の性別以外にLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)を設定する企業も増えてきています。

 

ただし、こうしたセンシティブな情報は、一歩間違えるとトラブルの原因にもなるため、取り扱いは慎重に行わなくてはなりません。

 

本人の意向を踏まえた上で「閲覧できる情報を限定する」「非公表を希望している旨を明記する」のように、配慮が必要でしょう。

 

人事評価情報

人材のパフォーマンスを把握・測定するための人事評価情報も必要です。

 

評価情報の内容としては、

  1. 学歴
  2. 職歴・キャリア
  3. 所属履歴
  4. 評価履歴
  5. 上司・部下の履歴
  6. 研修の受講履歴
  7. 受賞歴
  8. 表彰歴
  9. 成果
  10. 賞罰

などです。

 

入社後だけでなく、入社前の経歴もデータに入れましょう。

 

社員一人ひとりの評価の履歴を残しておくと、パフォーマンスや所属部署での適性を見極めることができます。

 

スキル情報

人材を有効活用するには、スキル情報が欠かせません。

 

スキル情報で必要な項目は、

  1. 保有資格
  2. スキルの種類・レベル
  3. 語学力

などが挙げられます。

 

社員のスキルを正確に把握することができれば、適材適所の人員配置や生産性の向上、事業拡大などに役立てられます。

 

ただし、何年も前に取った資格は今現在の能力を保証するものではありません。

 

データの正確性を高めるなら、実際の経験(営業やマネジメントなど)を加えるのも一つの手でしょう。

 

マインド情報

近年は、社員のマインド情報も人材データベースに組み込まれています。

 

例えば、

  1. 適性検査・性格検査の結果
  2. 満足度サーベイの結果
  3. キャリア志向
  4. 面談履歴
  5. 上司のメモ

などです。

 

こうしたデータを分析することで、社員のエンゲージメント(愛着)やモチベーションといった、マインドを把握することができます。

 

個々人に合わせた細やかなマネジメントができるため、離職防止やモチベーション向上につながります。

 

人事や当該社員直属の上司の視点でも良いので、性格や趣向を分かる範囲で入れ込んでおくと、データの正確性が高まります。

 

勤怠情報

勤怠情報は、社員の働き方を可視化する際に必要です。

 

具体的には、

  1. 始業・終業時間
  2. 残業時間
  3. 遅刻
  4. 早退
  5. 欠勤

などの情報をデータベース化します。

 

これらを把握しておくことで、「どこにどういった問題があるのか」を早期に把握できるため、離職リスクの高い人物の発見や働き方改革への対応がしやすくなります。

 

職務内容

現在誰が何を担当しているか、職務データも組み込んでおきましょう。

 

例えば、

  1. 業務内容
  2. 担当商材
  3. クライアント
  4. 目標・ノルマ
  5. 現状の数値

などです。

 

直属の上司や同僚は職務内容を把握していても、現場の社員と接する機会の少ない人事や経営陣は詳細を知らないことも多いです。

 

人材データベースの構築のポイント

人材データベースで管理する項目が分かったところで、実際に人材データベースを構築する際、どういった点に注意したら良いのでしょうか。

 

ここでは、人材データベースを構築する際のポイントについてご紹介します。

 

項目ごとの権限設定

人材データベースを構築する際は、項目ごとに閲覧権限を設定しましょう。

 

というのも、人材データベースへ登録する情報の中には、個人情報や給与、人事評価といった、プライベートな内容やデリケートな内容がふんだんに含まれています。

 

こうした情報が第三者の目に触れると、大きなトラブルに発展するため、企業は漏えいリスクを排除しなくてはなりません。

 

なんでもかんでも情報を詰め込むと管理が大変ですし、その分漏えいリスクが高まります。

 

そのため、「秘匿性が高くて使用頻度の低いものは、そもそも組み込まない」などの配慮も必要でしょう。

 

最初から完璧な状態を目指さない

まずは、プロジェクトや部門などの小規模な単位で、必要最小限のデータベースを構築しましょう。

 

いきなり大規模なデータベースを完璧な状態に仕上げようとすると、

  1. いつまでたってもデータが構築されない
  2. 追加・更新作業に追われてデータ分析や活用ができない

といった事態に陥りやすくなります。

 

試運転として小規模な単位でデータベース化を始めれば、項目の追加・修正、検証、運用方法の修正などを行いやすいため、効率的です。

 

よって、最初から完璧な状態を目指すのではなく、ある程度運用方法が固まってから規模を拡大していくことが重要です。

 

データベースの定期的な見直しをスケジュール化する

人材データベースは、一度構築したら完了するものではありません。

 

古いデータベースを使い続けていても、思うような効果は得られませんし、使用頻度も減ってきてしまうため、意味のないものになってしまいます。

 

データベースを有効活用するには、最新の情報に更新する必要があるため、定期的な見直しをスケジュール化しましょう。

 

ただし、頻繁なデータ更新は、担当者の負担増加や業務の圧迫化を招くため「四半期に1度」「半期に1度」のように、負担の少ないスケジュールを設定することが大切です。

 

また、更新方法やバックアップなどのデータ更新のルールについてもあらかじめ決めておき、効率的にデータベースを運用しましょう。

 

人材データベースを活用して経営課題を解決

社員の基本情報やスキル、人事評価といった、あらゆる情報を集約・分析すると、人材の見える化が実現します。

 

そのため、

  1. 適材適所の人員配置
  2. 個々人に合わせた効果的な人材育成
  3. 離職リスクの高い人物の洗い出しと離職防止策の実施
  4. 優秀人材の採用

など、様々な人事施策に活用することができます。

 

少子高齢化やグローバル化の影響で、企業を取り巻く環境が大きく変わった現在、組織力を高めなくては生き残れません。

 

人材データベースを上手く活用すれば、経営課題解決の糸口を掴めるはずです。

 

今後人材データベースの重要性はさらに増していくと予想されるため、今のうちから構築をスタートしておきましょう。

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