マンダラチャートとは?活用のメリットや目標達成のための書き方やポイント、活用シーンについて解説

マンダラチャートは、目標を実現するのに必要な要素や、具体的な行動が可視化される目標達成のフレームワークです。

 

メジャーリーガーの大谷翔平選手が使用していたことで、その存在を知った人も多いのではないでしょうか。

 

近年、目標達成に大きな効果を発揮するマンダラチャートが、ビジネスシーンで注目を集めています。

 

この記事では、マンダラチャートの概要やメリット、書き方、作成のポイントについて解説いたします。

 

活用シーンや導入事例についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

マンダラチャートとは?

 

マンダラチャート見本

 

マンダラチャートテンプレート

※リンクをクリックするとExcelテンプレートのダウンロードが開始します。

 

マンダラチャートとは、9×9の合計81マスで構成された目標達成のフレームワークです。

 

仏教の曼荼羅(マンダラ)を由来としており、「マンダラート」と呼ばれることもあります。

 

マンダラチャートは俯瞰的なつくりになっているのが特徴で、1979年クローバ経営研究所代表の松村氏によって開発されました。

 

マンダラチャートは、81マスの中心に目標を書き、周囲のマスに目標達成に必要なアイデアや要素を書き込んでいきます。

 

目標達成に必要な要素を一つひとつ書き出すことで思考が整理され、「何が不足していて、何をするべきか」が明確化するため、具体的なアクションを起こしやすくなるのです。

 

また、新たな気づきやアイデアの創出にもつながるので、目標達成に近づきます。

 

情報整理や思考を深めることができるマンダラチャートは、目標達成だけでなく事業計画や自己実現、スケジュール管理など、様々なシーンに応用可能です。

 

近年では、メジャーリーガーの大谷翔平選手が高校時代から活用していたことから、注目度が高まっています。

 

マンダラチャートを作成するメリット

マンダラチャートを作成すると、様々なメリットを得られます。

 

では、マンダラチャートを使うとどういうメリットがあるのかを見ていきましょう。

 

目標達成のプロセスが明確化される

マンダラチャートを作成する最大のメリットは、目標達成のプロセスが明確になることです。

 

目標を達成するには、「達成のために何が必要か」「何が不足しているか」「具体的にどういった行動をするべきか」を把握しなければなりません。

 

マンダラチャートは、中心に書いた最終目標を達成するために必要な要素(中間目標)を書き出していくので、目標達成までのプロセスが明確になります。

 

ゴールまでの中間目標や各目標を達成するのに必要な行動が明確になれば、現状把握できるため、優先順位もつけやすくなり目標達成の確立は高まります。

 

新しいアイデアを生み出せる

マンダラチャートの作成では、目標達成に必要な要素を言語化する作業が発生します。

 

この作業を行うことで、漠然としていた思考を整理して深く考えられるようになるため、新しいアイデアや発想が生まれやすくなります。

 

また、マンダラチャートに書き込む内容に制限はありません。

 

突飛なアイデアや発想でも、書き込むことでブラッシュアップにつながるため、現実性のあるものに転換させることも可能でしょう。

 

マンダラチャートに書き込む内容が思い浮かばない場合は「○○をするには?」のように、質問を書くのも一つの手です。

 

その場で思いつかなくても、何かのきっかけで具体的なアイデアが生まれることもあります。

 

最初から完璧なものにしようとせず、疑問や思いつきも書き込んでいくのがポイントです。

 

情報の可視化で現状把握が簡単

マンダラチャートを作成すると、それぞれの目標達成に必要な要素や行動を俯瞰的に把握できます。

 

必要な要素が可視化されると現状把握も容易になるため、マンダラチャートを見れば「何に取り組むべきか」が明確に分かります。

 

現状把握と取り組むべきことをいつでも確認できるので、具体的なアクションを起こしやすく、モチベーションを保ちやすいです。

 

マンダラチャートは目につく場所に貼り出すなど、いつでも見返せるように管理しましょう。

 

導入しやすい

マンダラチャートのルールは、「81個のマスをすべて埋める」のみです。

作り方は、「基礎思考(中央にある取り組みテーマ)」から書き出し、次に「実践思考(各テーマの具体的な施策)」を順番に書き出していくだけなので、誰でも簡単に取り組めます。

 

フォーマットはインターネットから無料でダウンロードできるほか、エクセルでの自作や、紙とペンを使って手書きで作成もできます。

 

また、マンダラチャート提唱者による公式アプリもあります。
お手持ちのスマートフォンなどにダウンロードすれば、手軽にマンダラチャートを作成でき、思考を深められるでしょう。

 

マンダラチャートのデメリット

マンダラチャートは目的達成のための、アイデアの洗い出しに有効なツールですが、いくつか欠点もあります。

マンダラチャートを正しく理解し、デメリットを踏まえた上で効果的に活用しましょう。

 

目的を適切に分割できないと上手く機能しない

マンダラチャートでは、主要目的を達成するために必要な要素を8つに分割します。

そして、その8つの要素を達成するために必要な要素を、さらに8つの要素に分割して目的を具体化します。

 

目的達成のために必要な要素を分割する必要があるため、適切に分割しないと、上手く機能しません。

たとえば、「お金に対する意識を高める」という目的を、さらに8つの要素に分割するとします。

 

その際、要素の1つとしてただ単に「貯金する」と設定するよりも、「毎月3万円貯金する」と設定したほうが、目的がより具体化されて行動に移しやすいです。

 

マンダラチャートの作り方はシンプルですが、目的を適切に分割できるかどうかで、効果に大きな差が出ます。
そのため、マンダラチャートを使う人の能力によって効果が変わってしまうのも、マンダラチャートの欠点と言えるでしょう。

 

要素が9つ以上だと上手く活用できない

9マスの枠で構成されるマンダラチャートは、必要な要素が少なすぎたり多すぎたりする場合、上手く機能しない可能性が高いです。

たとえば、要素の分割にあたって、9つ以上の要素を設定する必要がある場合、そのうちの余剰分を捨てなくてはなりません。

各要素の優先順位が明確であれば良いのですが、そうでない場合、切り捨てられた要素はマンダラチャートで表現できないため、デメリットとなります。

 

反対に、必要な要素が8つ未満しか設定できない場合、マンダラチャートを埋めるために無駄な要素を捻出することになります。

マンダラチャートを埋めるのが目的になってしまい、無駄な要素で完成させることになっては、マンダラチャートを上手く活用できているとは言えません。

 

このように、要素が少なすぎたり多すぎたりする場合は、マインドマップの作成がおすすめです。
マインドマップもアイデアを視覚的に表現し、目的を具体化するために使用されるツールです。

 

小さな枝に分岐していくような構造になっており、メインテーマからサブテーマに向かって、アイデアや言葉を線でつなぎながら自由に記述していきます。
そのため、マンダラチャートのように要素の数によって機能する・しないが決まることはありません。

 

マンダラチャートの書き方

では、マンダラチャートの効果を最大限引き出すには、どのような手順で作成したらいいのでしょうか。

 

ここでは、マンダラチャートの書き方についてご紹介いたします。

 

メインテーマ(目標)の設定

メインテーマ(目標)の設定

マンダラチャートは目標達成に必要な要素を設定し、さらにその要素を得るための具体的なアクションを書くことで、目標達成を目指すフレームワークです。

 

そのため、まずはマンダラチャートの核となるメインテーマ(目標)を設定する必要があります。

 

中心に書く目標は定性的・定量的どちらでも構いません。

 

自分が最も達成したいものを設定することが大切です。

 

ただし、具体的な目標を設定するほど構成要素も明確になるため、漠然とした目標は避けた方が良いでしょう。

 

大谷選手の場合はプロ野球選手になる前の目標として、「8球団からのドラフト1位指名」と具体的に目標設定しています。

 

目標達成に必要な要素を書き込む

目標達成に必要な要素を書き込む

マンダラチャートの中央に目標を記入したら、周りのマスに目標を達成するために必要な要素を書き込んでいきます。

 

どのような目標であっても、様々な要因が絡み合って達成につながるケースが多いため、「心・技・体・生活」の4つの観点から必要な要素を洗い出しましょう。

 

例えば、大谷選手の「8球団からのドラフト1位指名」では、体づくりやスキル向上に関する要素だけでなく、運や人間性、メンタルも含まれています。

 

自分一人で成し遂げられるものではないからこそ、他者の視点でも要素を洗い出していることが分かります。

 

要素を書き込むときは、左上のマスを始点として重要度の高い順に時計回りで埋めていきましょう。

 

8個より多くの要素が思い浮かんだ場合は、優先順位をつけて上位8つを記入します。

 

思い浮かばなければ空欄でも構いませんが、質問を書いておくとアイデア創出のきっかけになります。

 

それぞれの具体的な行動目標を書く

それぞれの具体的な行動目標を書く

目標達成の要素を記入したら、各要素を得るための具体的な行動を設定します。

 

中心の3×3マスに書き込んだ8つの要素を、周辺の3×3マスの真ん中にそれぞれ記入しましょう。

 

各要素の配置が完了したら、その要素を得るためにはどうするべきか、具体的な行動目標を決めます。

 

期限や数字を設定すると目標の精度が高まるので、できる限り数字を盛り込みましょう。

 

具体的な行動目標は期日を決める「期日行動」と定期的に行う「ルーチン行動」の2種類を設定するのが有効です。

 

設定した行動目標を実行に移し、クリアしていくことで目標達成を目指しましょう。

 

マンダラチャート作成のポイント

ここでは、マンダラチャートを作成する際のポイントについてご紹介いたします。

 

すべてを無理に埋める必要はない

マンダラチャートはすべてのマスを埋めるのが基本ですが、マスを埋めることにこだわり過ぎて関係ないものを書いてしまわないよう、注意が必要です。

 

無関係なものを書くと、目標達成までの道のりが遠のいてしまう可能性があるので、核となる中心の目標から連想されるものを書きましょう。

 

マンダラチャートのマスが埋まらない場合は、「○○するには?」など、質問を書いておくと、後々アイデアが生まれやすくなります。

 

また、どうしてもマスが埋まらない場合は、最初に設定した目標がメインとして相応しいものかどうかを考えてみましょう。

 

目標が小さければ、いくら考えても広がりを持たせることはできません。

 

自分が本当に実現したいものになっているかを確認した上で、マスが埋まらない場合は目標の変更も検討しましょう。

 

同じ内容でも、表現を変えるだけで連想しやすくなることもあります。

 

行き詰まったら次のマンダラチャートをつくる

マンダラチャートは、マス目を埋めていく作業によって、頭が整理されて思考が深まるものです。

 

しかし、固定観念にとらわれると、思考の柔軟性が失われて行き詰まりやすくなるため、中心の目標を変更してもマス目が埋まらない場合は、一旦放置しましょう。

 

煮詰まった状態で向き合っていても時間がかかるばかりです。

 

あえてマンダラチャートから離れることで、思考がリフレッシュされてアイデアが出やすくなります。

 

放置しても変わらないようなら、次の新しいマンダラチャートを一から作り直しましょう。

 

具体的な数字や期日を設定する

マンダラチャートには、なるべく具体的な数字や期日を設定しましょう。

 

具体的な数字で示すほど内容が明確になり、計画性を持って行動できるため、目標達成に近づきます。

 

ただし、初めから完璧な仕上がりを求めると、作業が難航して行き詰まりやすくなるので、最初に書き込む内容は抽象的なもので構いません。

 

少しずつブラッシュアップして納期や期日といった数字を入れていきましょう。

 

マンダラチャートの中に数字や期日を入れると見づらくなることもあるため、別紙に期日ごとのTODOをまとめておくと良いでしょう。

 

定期的に見直しをする

マンダラチャートは書いて終わりではなく、新しい気づきがあるたびに書き換えましょう。
定期的に見直すことで、目標達成にどれだけ近づいているかがわかり、モチベーションを保てます。

 

場合によっては中心テーマを変更しても問題ありません。

中心の目標設定を定期的に見直すことで、マスが上手く埋まるようになるケースもあるでしょう。

 

重要だと思う順に左上から時計回りに要素を書き込んでいき、達成する期日や数字など、具体的な内容も書くのがポイントです。

 

マンダラチャートの活用シーン

マンダラチャートは目標達成のフレームワークとしてだけでなく、目標管理やスケジュール管理などに活用できます。

仕事はもちろん、プライベートにも役立てられるので、積極的に活用しましょう。

 

目標管理

マンダラチャートは、従業員の目標管理として活用することができます。

 

半年もしくは1年単位で従業員の個人目標を定め、次回の人事評価のタイミングでどの程度達成されたかを確認する企業が多いです。

 

しかし、目標達成度の確認スパンが長くなるほど、目標に対する意識が薄れやすくなりますし、目標へのアプローチ方法も多角的視点に欠けます。

 

マンダラチャートは、目標へのアプローチが多角的で細分化されています。

 

また、目標やそれに紐づいた行動が一目で確認できるので、日常的に意識して取り組むことが可能です。

 

スケジュール管理

マンダラチャートは、スケジュール管理にも活用可能です。

 

3×3のマスの中心に週間目標を書き、周りの7マスに左上から時計回りに月曜~日曜まで曜日を記入します。

 

各曜日に成すべきことを書いていき、残り1マスは週の振り返りやメモ用として使用してください。

 

その曜日ごとの行動や週の評価を一目で確認できるため、タスク漏れの防止や振り返りもしやすくなります。

 

TODOリスト

目標管理やスケジュール管理と似ていますが、TODOリストとしても活用できます。

 

3×3のマスの中心に目標とするタスクを書き、周辺のマスにそのタスクを達成するのに必要な項目(タスク)を書き込んでいきます。

 

各マスには納期も記入しておきましょう。「いつまでに何を終わらせないといけないのか」が一目で把握できます。

 

完了したタスクに斜線を引いていけば、進捗状況の把握も容易です。

 

マンダラチャートの導入事例

ここでは、マンダラチャートの導入事例をご紹介いたします。

 

株式会社喜多村

受託粉砕やフッ素樹脂潤滑用添加剤の製造・販売事業を行う株式会社喜多村では、2013年から製造現場における問題収集にマンダラチャートを活用しています。

 

中央のマスに製品名を入れ、周りの8マスに「粉砕、分級、投入、回収、充填、保管、検査・測定、その他」と業務を記入し、各業務の問題点を挙げていきます。

 

同社では、マンダラチャートの活用でこれまで見えていなかった問題が見つかり、従業員の問題発見意識も高まったそうです。

 

白菊保育園

長崎県の白菊保育園では、経営母体が掲げた年度テーマ「理念を生きる」をきっかけに、マンダラチャートを導入し、理念に則した保育を全職員が再確認する機会を設けました。

 

その結果、

  1. 福祉サービスの理念や基本方針が周知されている
  2. 保育の質向上に意欲を持ち、指導力を発揮している
  3. 利用者を尊重する姿勢が明示されている

といった点が高く評価されています。

 

マンダラチャートを活用すれば目標達成に近づく

マンダラチャートは目標達成のフレームワークです。

 

非常にシンプルな構造ですが、核となる目標と目標達成に必要な要素、具体的な行動を記入していくため、成すべきことを一目で把握できます。

 

また、シンプルだからこそ中心のマスを変えるだけで、様々な用途に使えます。

 

ビジネスにもプライベートにも活用できるため、マンダラチャートを使ってみてはいかがでしょうか。

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