面接や社内の会議で、緊張した雰囲気をほぐすアイスブレイクは、初対面の相手と打ち解けやすくなり、スムーズな会話のきっかけを作れる便利な手法です。
本記事では、アイスブレイクの効果をわかりやすく解説しつつ、実際に面接や社内ですぐに使える具体的なアイデアを紹介します。
アイスブレイクとは
アイスブレイクとは、会話や議論の前に緊張をほぐし、参加者同士の距離を縮めるためにおこなうコミュニケーションの手法です。
初対面の人が集まる場や、面接や会議、研修などの緊張感ある状況では、場の空気を和らげることが重要です。
そこでアイスブレイクを活用し、簡単な質問やゲームを取り入れることで、心理的な壁を取り払い、スムーズなコミュニケーションを促すことができます。
アイスブレイクには、雑談や自己紹介のほか、グループワークや簡単なクイズなど、さまざまな方法があります。
場に適したアイスブレイクを活用することで、話しやすい雰囲気を作り、活発な意見交換やチームワーク向上につなげることができます。
アイスブレイクの効果
面接や社内ミーティングにおいて、アイスブレイクで参加者の緊張を和らげ、会話のハードルが下がり、活発な意見交換が生まれやすくなります。
ここでは、アイスブレイクが持つ具体的な効果について詳しく解説します。
コミュニケーションの促進
最も大きな効果は、コミュニケーションの促進です。
初対面の相手との会話では、緊張や遠慮が先行し、なかなか言葉が出てこないこともあるでしょう。
そこで、軽い雑談やゲームを取り入れることで、自然と会話が生まれ、相手との距離が縮まりやすくなります。
職場でも、チーム内でアイスブレイクを取り入れることで、普段あまり接点のないメンバー同士が気軽に話せるようになり、関係性の向上につながります。
リモートワークが増えた現在では、オンライン会議の冒頭に簡単なアイスブレイクをおこなうことで、会話の流れがスムーズになり、ぎこちなさを解消できます。
意見が交換しやすい雰囲気になる
アイスブレイクを取り入れると、場の雰囲気は和らぎ、意見交換がしやすくなります。
会議やディスカッションでは、発言することにハードルを感じてしまい「こんなことを言っていいのだろうか」と、意見を飲み込んでしまうケースも少なくありません。
しかし、アイスブレイクによってリラックスした状態になると、心理的な負担は軽減され、思ったことを素直に伝えやすくなります。
自由に意見を出し合える文化が醸成され、より活発な議論へとつながるのです。
積極的な発言を促す
アイスブレイクをおこなうことで、発言に対する不安の壁を取り払い、活発に発言できる空気を作ることができます。
たとえば、自己紹介の際に「最近感動したこと」や「週末にやりたいこと」を話してもらうと、ポジティブな話題が中心になり、前向きな気持ちで会話を始めることができます。
また、アイスブレイクによって発言のハードルが下がると、その後のディスカッションでも自然と発言しやすくなります。
若手社員や初めての面接を受ける人にとっては、アイスブレイクが大きな助けとなるでしょう。
アイスブレイクが使えるシーン
アイスブレイクは、緊張を和らげ、円滑なコミュニケーションを生み出します。
活用の場としては、面接やミーティング、商談、セミナー、研修など、さまざまなビジネスシーンで効果的です。
面接
面接では、緊張のあまり応募者が本来の実力を発揮できない場合があります。
そこで、アイスブレイクとして履歴書やエントリーシートの内容から、趣味や出身地に関する話題を振ることで、リラックスした雰囲気を作ることができます。
たとえば「〇〇ご出身なんですね!旅行で行ったことがありますよ」といった話をすると、応募者も自然に会話ができるようになり、緊張がほぐれます。
アイスブレイクによって、応募者の素の表情や考え方を引き出すことができるため、採用における判断としても役立つでしょう。
ミーティング
ミーティングでは、活発な意見交換を促す効果があります。
異なる部署のメンバーが集まる会議や、リモート会議では、最初の空気が硬くなりがちです。
そのようなときに、簡単な質問やクイズを取り入れると、場が和み、参加者が話しやすい雰囲気になります。
たとえば「今週の仕事で一番印象に残ったことを教えてください」といった軽いトピックを話すことで、会議への参加意欲が高まり、議論が活発になるのです。
メンバー間の距離はより一層縮まり、ミーティングを円滑に進めることができます。
商談
商談では、最初の数分間がその後の交渉を左右します。
そのため、いきなり本題に入るのではなく、相手の興味がありそうな話題を振ることで、少しずつ信頼関係を築いていきます。
たとえば、相手の会社の最新ニュースや業界のトレンドに触れると「この人は自社に関心を持っている」と好印象を与えることができます。
また、天気やスポーツ、最近のイベントについて話すのも効果的です。相手が心を開きやすくなり、商談がスムーズに進みます。
初対面の相手との商談では、共通点を見つけることで親近感を持ってもらえるでしょう。
セミナー
セミナーでは参加者が受け身になりがちですが、アイスブレイクを取り入れることで積極的な参加を促せます。
たとえば冒頭で「今日のセミナーで特に知りたいことは何ですか?」と質問し、数人に発言してもらうことで、場が温まり、セミナーの目的も深まるでしょう。
また「この中で〇〇を経験したことがある人はいますか?」といった質問を投げかけ、手を挙げてもらうと、一体感が生まれます。
参加者は話を聞くだけでなく、自分ごととしてセミナーに取り組む姿勢が生まれ、学びの効果は高まります。
研修
研修では、参加者同士の関係性を深めることが重要です。
特に新入社員研修では、初めて顔を合わせる人が多いため、アイスブレイクを取り入れることで、チームワークを高める必要があります。
たとえば、ペアになって「お互いの共通点を3つ見つける」といったワークをおこなうと、自然と会話が生まれ、距離が縮まります。
また「最近の失敗談」などを共有することで、失敗を恐れず学び合う文化も醸成できます。
研修の参加者はリラックスし、より高いパフォーマンスが発揮できるでしょう。
使いやすいアイスブレイクを紹介
アイスブレイクを効果的に活用するためには、誰でも気軽に答えられる共通の話題を選ぶことが大切です。
特に「都道府県」「気候」「趣味」に関しては、多くのシーンで使いやすく、相手との距離も縮まるでしょう。
面接や社内のミーティング、商談、セミナーなど、さまざまなシーンで活用できます。
都道府県に関する話題
都道府県に関する話題は、出身地や旅行経験を通じて自然に会話が広がります。
出身地について話すと、相手は親近感を抱きやすく「〇〇出身なんですね!実は私も住んでいました」などの共通点が見つかることもあります。
また、都道府県ごとの特徴を話題にするのも良いでしょう。
「〇〇の名産といえば?」とたずね、食文化や観光地について触れるのもひとつです。
たとえば「静岡といえばお茶ですが、地元の方はどんなお茶を飲まれるんですか?」と聞くと、相手も答えやすいでしょう。
以下では、都道府県ごとの特色をまとめています。
【シチュエーション例】面接
面接官:「履歴書を拝見しましたが、〇〇県ご出身なんですね!地元のおすすめスポットはありますか?」
求職者:「はい、〇〇県の△△という場所がとてもきれいで、地元では有名です!」
面接官:「実は私も旅行で行ったことがあるんですが、本当に景色が綺麗でした。」
求職者:「そうなんです!観光スポットとしても有名で、最近は外国人観光客も増えています。」
面接官:「なるほど、それだけ魅力的な場所なんですね。最近は地元の魅力を発信する動画も増えていますよね。」
求職者:「確かに、SNSで地元の景色が紹介されることが多くなって、若い人にも人気が出ています。」
気候に関する話題
気候の話題は、誰でも簡単に答えられるため、初対面の相手と話す時に効果的です。
「今日は暑いですね」「最近寒くなってきましたね」と自然な会話が生まれます。
異なる地域の人と話すときには「そちらの冬はどのくらい寒いんですか?」といった質問が会話のきっかけにもなるでしょう。
また、季節ごとの話題を活用する場合もあります。
「春といえば花粉症ですが、大丈夫ですか?」と聞けば、共感が生まれやすく、相手も自分の経験を話しやすくなり、相手の趣味やライフスタイルも知ることができます。
【シチュエーション例】会議
Aさん:「おはようございます。最近、一気に寒くなりましたね。」
Bさん:「本当にそうですね。朝晩は特に冷え込みますよね。」
Aさん:「そうなんですよ!私は寒がりなので、電気毛布を出しました。」
Cさん:「いいですね!私も最近、あったかい靴下を買いました。足元が暖かいと全然違いますよね。」
Bさん:「確かに!冬はどうしても冷えますから、皆さんの対策を参考にしたいです。」
Cさん:「カイロもいいですよ!〇〇の貼るカイロがすごく暖かくておすすめです。」
Aさん:「なるほど!こういうちょっとした情報交換があると、季節の変化も楽しくなりますね。」
趣味に関する話題
趣味の話題は、相手の興味を引き出すことで会話や場の雰囲気が盛り上がります。
「最近ハマっていることはありますか?」と聞くだけで、相手の個性や価値観を知ることができ、共通の趣味が見つかると、一気に距離が縮まります。
また「新しく始めてみたい趣味はありますか?」と聞くと、相手は積極的に話せるでしょう。
商談や面接の場面において、リラックスした雰囲気を作ることができます。
【シチュエーション例】商談
営業担当:「〇〇さんはお仕事以外の時間で、何か趣味とかってありますか」
クライアント:「実は、最近はゴルフを始めたんですよ!」
営業担当:「いいですね!私も少しやりますが、なかなか上達しなくて…(笑)」
クライアント:「分かります(笑)。コースに出ると、思った通りに打てないんですよね。」
営業担当:「本当にそうですよね。でも、コースを回るのは楽しいですよね!」
クライアント:「そうなんですよ!今度、ご一緒できたらいいですね。」
アイスブレイクの注意点
アイスブレイクは場を和ませる効果がある一方、目的を誤ると逆効果になってしまうこともあります。
特にビジネスのシーンでは「時間の無駄になった」「信用できない」といった印象を与えてしまいます。
アイスブレイクを効果的に活用するには「時間を決める」「目的を明確にする」「参加者に合った内容を考える」の3つのポイントを押さえましょう。
時間を決めておく
時間をかけすぎると本来の目的が不明瞭になってしまいます。
会議や研修、面接などの場は、限られた時間の中でおこなわれるため、事前にアイスブレイクの時間を決めておくことが重要です。
たとえば「最初の5分だけ」など、明確に時間を設定することで、ダラダラ会話が続くことを防げます。
また、参加者の反応を見ながら適切なタイミングで本題にうつるスムーズさも必要です。
適度なところで切り上げて「では、本題に入りましょう」と切り替えます。
目的を決める
アイスブレイクを雑談で終わらせないために目的を決めます。
面接の場合は応募者の緊張をほぐし、本来の姿を引き出すこと、会議では発言しやすい雰囲気作りが目的です。
また、目的に応じたアイスブレイクを選ぶことも重要です。
たとえばチームビルディングが目的の場合は、グループで取り組めるゲームや質問形式のアイスブレイクが適しています。
アイスブレイクの目的を決めておくことで、より効果的なコミュニケーションにつながるでしょう。
参加者に合った内容を考える
参加者の属性や状況に合わせた内容を考えることも重要です。
不適切なアイスブレイクの場合、場がしらけてしまったり、逆に緊張を高めてしまうこともあります。
面接の場面では、個人的な話題を深掘りしすぎないことがポイントです。
履歴書に記載のある都道府県や趣味などの質問にとどめておきます。
一方商談のアイスブレイクでは、相手の業界や会社に関連する話題を取り入れます。
「最近の業界の動向についてどう思われますか?」といった問いかけであれば、ビジネスの話題にもスムーズに移行できます。
まとめ
アイスブレイクは、面接や会議、商談、研修など、さまざまな場面で活用できる有効なコミュニケーションです。
緊張をほぐし、活発に意見を交わし合う雰囲気を作ることができます。
都道府県や気候、趣味といった誰でも話しやすいテーマを活用することで、自然な会話の流れを作り、良好な人間関係の構築につなげることができます。
場面ごとの適切なアイスブレイクを意識しながら、効果的に取り入れてみてください。