GoogleやFacebookといった世界的な企業が導入している「OKR」という目標管理指数が近年注目を集めています。
今回は、「OKR」を正しく理解し運用していただくために「KPI」と比較しながら紹介していきたいと思います。
OKRとは?
OKRとは、Objectives and Key Resultの略称。
組織が決めた目標・方向性を従業員全体に効率的に共有し、組織・個人のタスクを明確化する目標管理方法の一つです。
企業が設定した目標に対して、部署・個人が目標を掲げて行動し、評価するというサイクルを繰り返します。
OKRが十分に機能すると、全従業員が目標達成に向けて効率的に行動することができるようになり、社内コミュニケーションの促進に繋がります。
OKRの運用方法
OKRでは、目標(Objectives)に対して、3~4個の成果指標(Key Result)を設定。
実際に運用する際には、会社としての目標と成果指標を設定します。
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<例>ゲームアプリ会社の場合
・目標(Objectives)
⇒日常のスキマ時間を楽しく過ごしてもらえるようなアプリ会社を目指す
・成果指標(Key Result)
⇒新規ダウンロード数を前年度比20%アップ
⇒売上を前年度比30%アップ
⇒大ヒットアプリゲームを2つ生み出す
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次に、会社の目標・成果指標に対して、チームと個人の目標(Objectives)・成果指標(Key Result)を決めます。
そうすることで、会社の目標とチーム・個人の目標がリンクするので、会社の目標達成のために従業員全体が全力を尽くすことができるようになります。
KPIとOKRの違い
OKRと混同されてしまうのがKPIです。
KPIはKey Performance Indicatorの略称で、重要業績評価指数と呼ばれており、多くの企業で導入されている管理指標です。
OKRとKPIは目標達成に向けての中間指標を定めるという点では同じですが、何が違うのでしょうか。
OKRで設定される目標は、100%の達成を目指すものではありません。
それは決して100%を達成しなくても良いという考えではなく、達成できるような目標を設定しては、社員の能力と会社の生産性が向上しないからです。
60%~70%の達成を目指すことで社員の能力と会社の生産性を上げることにつながります。
KPIは、KGI(重要目標達成指数)という具体化された目標指数に基づいて設定された中・長期的な指標です。
そのため、KPIは実際に実現可能かという基準で設定されます。
また、KPIでは部署や担当課単位で運用されるのに対して、OKRは経営陣を含む全社員が運用します。
OKRを導入することで経営陣の意図がより一層取り組みやすくなるので、全社員のコミュニケーションが活発化することも魅力の一つです。
OKRのメリット・KPIとの融合
OKRについて説明してきましたが、実際に導入するメリットは主に4つあります。
◆企業の目標を常に従業員に共有できる
◆小さい目標の達成に囚われずに、常に大きな目標を意識して仕事ができる
◆目標に対する納得感が上がり、モチベーションの向上に繋がる
◆進捗の振り返りが定期的に行われるため、進捗管理の役割も果たす
しかし、KPIを撤廃してOKRを導入すればいいのかというとそうではありません。
両方に良さがあり、この二つを融合することで、良い効果を生み出すことができます。
例えば、組織の目標の確認、具体的なアクションの掘り下げを行うためにOKRを活用し、部署・個人が目的を達成するための具体的な指標をKPIで管理すると両方の良さを活かすことが可能です。
導入事例
OKRは目標達成に向けたコミュニケーションの促進化という目的もあるので、多様な働き方が推奨される現在の流れに合っているという一面もあり、グローバル企業などで多く採用されています。
そこで、実際にOKRを導入している企業を紹介します。
Google LCC
世界的な多国籍企業であるGoogleは、ダイバーシティを推進しており、目標と各々の進捗を全社員で共有しています。
企業の目的達成のため、「全社員がGoogleの代表」という意識を持ち、個人の信念や価値観に基づき目標を設定。
結果的に様々なイノベーションを生み出し、幅広い分野の革新的なサービスの提供に繋がっています。
株式会社メルカリ
国内フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、社員一人ひとりが能力を存分に発揮し、全社員が「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションに向けて取り組んでいます。
革新的なサービスを生み出し世界的な企業へ躍進を遂げたメルカリはOKRを導入した日本企業の良いモデルケースといえます。
まとめ
KPIやMBOなど現在運用している管理指標の中にOKRを上手く融合することができれば、コミュニケーションの促進、組織力の強化など様々な恩恵を受けることができます。
しかし、ただ導入するだけでなく、導入の目的とOKRの本質を理解することが大切。
OKRを導入したいとお考えなら、詳しく調べてみることをおすすめします。