終身雇用制度の崩壊や価値観の多様化などにより、年々転職者が増えている中、「エンプロイメンタビリティ」に注目が集まっています。
この記事では、「エンプロイメンタビリティ」について解説していきます。
「エンプロイアビリティ」との違いや、エンプロイメンタビリティの向上方法についてもご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。
エンプロイメンタビリティとは?
エンプロイメンタビリティ(employmentability)とは、企業側の雇用能力のことです。
雇用能力とは「優秀な人材を集め・継続的な雇用ができる魅力的な企業かどうか」であり、優秀な人材から選ばれ得る能力を表しています。
労働市場の流動性が高く、解雇も珍しくないアメリカでは、個人でもキャリアデザインを明確に持ち、専門性を高めることに注力する人が多いです。
このようなキャリア志向の強い優秀な人材は、採用難易度が高く、キャリアアップのために転職する可能性も高いことから、採用や継続雇用が困難です。
そのため、アメリカでは、優秀な人材を獲得・継続雇用できるよう、エンプロイメンタビリティを高めることに専念してきました。
近年は、労働人口の減少や価値観の多様化などにより、日本の労働市場も流動性が高まったため、エンプロイメンタビリティの向上に注目が集まっています。
エンプロイアビリティとは?
エンプロイメンタビリティの対義語に「エンプロイアビリティ」があります。
エンプロイアビリティ(employability)とは、労働者の雇用され得る能力のことです。
どの企業でも通じるビジネスパーソンとしての価値を表しているため、エンプロイアビリティが高いと、職探しに困ることが少ないと言えるでしょう。
1980年代以降のアメリカでは、社会情勢の変化により、これまでのような長期雇用が難しくなったため、その代替として他社でも通用する能力開発の機会を提供するようになりました。
日本でも、労働市場の流動化が進んでいることもあり、「エンプロイアビリティを身につけて、市場価値を高めよう」と考える労働者が増えています。
エンプロイメンタビリティを向上させるには?
エンプロイメンタビリティを向上させるには、
- エンゲージメントの向上
- 人材育成に注力する
ことが重要です。
エンゲージメントの向上
エンゲージメントとは、従業員の企業に対する愛着心・思い入れなどを意味する言葉です。
企業と従業員とのつながりの深さを表しており、エンゲージメントが高い企業ほど、従業員定着率も高い傾向にあります。
エンゲージメントを向上させるには、
- ビジョンを共有する
- 社内コミュニケーションを活性化する
- 職場環境を整える
ことが重要です。
給与などの待遇面はもちろん重要ですが、人がその企業に留まるかは、「信頼関係が成り立ち、貢献し合えるか」によって決まります。
そのため、エンプロイメンタビリティの向上には、エンゲージメントが欠かせないのです。
人材育成に注力する
先述の通り、日本では雇用の流動化が進んでいるため、エンプロイアビリティを高めたいと考えている労働者が増えています。
そのため、積極的に従業員の成長を支援すれば、「エンプロイアビリティを身につけられる魅力的な企業」として、キャリア志向の強い優秀な人材が集まりやすくなります。
したがって、能力開発やスキルアップの機会提供などの人材育成に注力すると、エンプロイメンタビリティが向上するのです。
労使双方が市場価値を高め合っていくことが重要
日本では、雇用の流動化が加速しています。
そのような中で企業が生き残るには、優秀な人材を獲得し、その人をつなぎとめなくてはなりませんし、労働者側も能力を向上させる必要があります。
そのため、今後は、企業側・労働者側双方が市場価値を高め合っていくことが重要となるでしょう。