「どんなやつを採るべきか?」は採用の重要なファーストステップ

企業は欠員補充、事業拡大、後継者育成など様々な理由から採用活動を行っています。

 

どんなに息の合うメンバーだとしても、立ち上げ期のボードメンバーのみで永続的に事業を継続することは現実的にはできませんので、不景気などで採用を中断することはあっても、あらゆる企業がその存続のために、大小問わず採用活動を行っているでしょう。

 

それくらい、企業活動において重要な役割を持つ採用ですが、実は肝心の「では、どんな人材を採るべきか?」が、明確になっていない企業は意外にも多く存在します。

 

この“どんな人材を採るべきか”は、「求める人物像」とも呼ばれますが、ここが曖昧になったまま、「なんとなく良さそう。」という理由だけで採用してしまっている企業が多いのです。

 

ではなぜ求める人物像を考えなければならないかというと、採用の成功可否を決める大切なファクターであるからです。

 

採用成功を何で定義するかは様々な見方がありますが、一般的には、採用予定人数の充足だけでなく、入社後きちんと定着していることや活躍していることがそれにあたるかと思います。

 

むしろ、むやみに頭数だけ揃えたとしても本当の意味での採用成功とは言えないのでしょう。

 

せっかく採用しても、すぐに辞めてしまう、もしくは特に組織貢献することもなく居続けるということでは、採用の意味がありません(採用は、1人あたり生涯賃金2~3億を払うか否かを判断する投資案件とも言われ、ともすれば膨大なコストとなります)。

 

世の中には、「狙った人材は絶対入れる」というような非常に高い面接スキルやフォロースキルを持つ採用担当者がいる企業もありますが、最初の「どんな人材を採用すべきか」という方向性を誤ってしまうと、間違った方向に全力で頑張ってしまうことになります。

 

そうすると、採用担当者のスキルで無事入社までこぎつけたとしても、入社後に定着しなかったり、活躍できずにミスマッチが発生してしまうのです。

 

そのため、入社後にきちんと定着し、活躍する人材はどういった人材か、を事前に見極めることで、彼らを効果的・効率的に採用するための採用活動を行っていく必要があるのです。

 

具体的には、確定した求める人物像に沿って、できるだけ人物像に近い候補者を集め(母集団形成)、集まった中から確定した基準に基づいて選別し(選考)、彼らが興味を持つ情報を出しながら志望度を上げていく(フォロー)のです。

 

求める人物像は一つではない

このような求める人物像ですが、実は「新卒で1つ」や「営業職で1つ」とは限りません。

 

というのも、本来、会社がある事業を推進していくにあたっては、様々な能力・性格をもった複数の人材が必要になってくるためです。

 

これを人事の世界では「人材ポートフォリオ」と呼びます。

 

また事業単位ではなく、職種単位でも活躍する人材は一種類ではないはずです。

 

例えば「営業」という職種を一つとっても、既存の営業手法を堅実に守る人材と、新しい営業手法を常に模索していくような人材というのは、それぞれ何%ずつが良いかは別としてどちらも必要かと思います。

 

このように、求める人物像は本来1つではなく、複数存在するのが通常なのです。

 

「人材要件=採用基準」ではない

もう一つ、求める人物像を決める際に大切なポイントがあります。

 

それは、「人材要件=採用基準」ではないということです。

 

人材要件とは、“その仕事において必要な能力をすべて網羅したもの“ですが、本来、採用と入社後の育成は同じ延長線上にある連続的なものであり、採用だけでその人材要件をクリアする必要はないはずです。

 

つまり、入社後に育成できることは採用基準に含める必要がないのです。

 

一方で、多くの会社では、人材要件=採用基準となっており、採用基準がやたらと多い状況が散見されます。

 

しかし、採用基準が多いということは、そのすべてを兼ね備えた人材のみ合格とできる、ということです。

 

とすると、人材市場全体の中で、これらすべてを兼ね備えた人材はどれくらいいるのでしょうか。

 

本来、求められる能力が多くなればなるほど、そういった人材は人材市場には少なくなってくるはずです。

 

また、すでに色々な力を顕在化させているそういった人材は、多くの他社も同様に狙っているため必然的に競争率が高くなります。

 

このように採用基準が多くなると、どんどん採用が難しくなるのです。

 

そのため、採用基準は“入社時には持っておかなければならないこと”のみを設定し、できる限り少ないほうが採用を有利に進めることができます。

 

採用基準とすべきものは、例えば「感受性」や「自己認知力」などすべての能力の土台となっている基本的な力が挙げられます。

 

その他、現実的には自社で育成する「機会」がない力、または育成する「時間」がない力を採用基準として、「あれもこれも」とせずにできる限り少ない採用基準を設定するのがポイントです。

 

著者プロフィール

株式会社人材研究所 シニアコンサルタント 安藤健

株式会社人材研究所 シニアコンサルタント 安藤健

 

児童心理治療施設(旧情緒障害児短期治療施設)での約1年半の現場経験を経て、心理学が日常生活に困難をきたす様々な障害の治療に活きる現場を体験。

その後、心理学を逆に人間の可能性を最大化する方へ活かしたいと感じ、現職である人事コンサルティングに転向。

 

現在は新卒採用・中途採用をメインとして、育成教育配置、評価報酬制度などのコンサルティングに幅広く従事。

 

そのほかに人事のための実践コミュニティ「人事心理塾」運営、人事向けセミナー、若手・新入社員向けキャリアワークショップなども多数実施。

 

■ 株式会社人材研究所
2011年設立。代表取締役社長 曽和 利光

世の中のあらゆる組織における「人と組織の可能性の最大化」を目指している人事コンサルティング会社。

 

組織人事コンサルティング、採用コンサルティング、採用業務代行(RPO)、各種トレーニング(面接官トレーニング、評価者訓練、新入社員研修等)などを提供。

HP:株式会社人材研究所

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