就活生にとって企業の会社説明会は、重要な就職イベントです。
企業にとっても、志望度の高い学生と直接触れ合える貴重な機会ですが「合同説明会と何が違うのか分からない」「どうやって準備すればいいのか分からない」など、様々な疑問があるでしょう。
この記事では、会社説明会と合同説明会の違いや、会社説明会を実施する際の流れ、ポイントについて詳しく解説いたします。
説明会開催時の注意点についてもご紹介いたしますので、是非ご覧ください。
会社説明会と合同説明会の違い
説明会には、「会社説明会(個別企業説明会)」と「合同説明会」の2種類があります。
どちらも自社に関する情報を就活生に提供する場ですが、目的や説明する内容が異なります。
会社説明会とは
会社説明会とは、自社の会議室やレンタルスペースなどで開かれる、企業単独の説明会です。
会社説明会では開催企業の情報しか知ることができませんので、基本的にその企業の選考を受けたい人が参加します。
そのため、
- 事業内容
- 詳しい仕事内容
- 求める人材
- 今後の採用スケジュール
など、選考へ参加するにあたって必要となる情報について、1時間~3時間程度で説明するのが一般的です。
会社説明会のメリット
会社説明会を開催すると、どのようなメリットがあるのでしょう。
自社への関心が高い就活生を集められる
会社説明会は企業が自社に関する情報を提供する場です。
そのため、会社説明会を開催すると、自社に対して強い興味・関心を持つ就活生を集めることができます。
会社説明会直後に適性検査やグループ面接を行う企業も多く、同日に選考会を行うことで効率よく採用活動を進められ、エントリーの確保にも繋がります。
ただし、適正検査などの選考は抜き打ちで行うと印象が悪くなってしまいます。
そのため、選考を行う場合はあらかじめ告知するようにしましょう。
魅力付けができる
会社説明会は、じっくりと自社について説明できるため、強みや魅力をアピールすることができます。
また、質疑応答の時間や座談会など、参加者と交流する時間が設けられることもあり、就活生の不安や疑問を払しょくすることも可能です。
優秀な人材を見つけやすい
会社説明会は参加者と個別に話す時間を設けたり、グループ面接に移行したりとプログラムの自由度が高いです。
企業・採用情報の提供後にこのような学生と交流できる場を設ければ、優秀な人材を見つけることもできます。
会社説明会のデメリット
つづいて、会社説明会を開催するデメリットについてご紹介いたします。
手間が掛かる
会社説明会は単独で行うため、会場の用意や準備、就活生への告知など、全て自社で行わなければなりません。
非常に手間や時間が掛かるため、マンパワー不足の企業が実施する場合、採用代行などを活用する必要があるでしょう。
参加者が集まらないこともある
知名度の低い企業や告知の仕方によっては、手間と時間を掛けて会社説明会を開催しても、参加者が集まらない可能性があります。
内容によっては自社の評価が下がる
就活生にとって、合同説明会と企業が単独で行う会社説明会では重要度が異なります。
会社説明会は、選考に参加するにあたって必要となる情報が提供されるので、就活生にとって最重要イベントです。
もし、学生が知りたい情報がプログラムに入っていなかったり、説明会の質が低かったりすると満足度が低下し、自社の評価を下げてしまうこともあります。
合同説明会とは
合同説明会とは、複数の企業が一つの会場に集まり、自社情報を提供する場のことです。
基本的には、体育館やイベントホールなどの大きな会場を企業ごとのブースで区切り、
- 会社概要
- 事業内容
- インターンシップのプログラム内容
など、自社や自社の業界に興味を持ってもらうための情報を提供します。
20分~30分程度の間隔で同様の説明が繰り返され、学生は自由に企業ブースを行き来します。
合同説明会のメリット
合同説明会を開催するメリットをご紹介いたします。
知名度アップに繋がる
複数の企業が一つの会場に集まる合同説明会は、様々な業界・企業の情報をまとめて入手できることから、多くの就活生が参加します。
合同説明会参加時点で自社のことを知らない学生にも、自社を知ってもらえる絶好の機会となるため、知名度アップに繋がります。
好感度を上げることができる
一般的に合同説明会では、自社や自社の業界に興味を持ってもらうための情報を提供します。
そのため、自社やその業界への理解が深まり「堅苦しそうなイメージが変わった」「どういう仕事をしているのか分かった」など、学生の好感度を上げることもできます。
他企業のアピール方法を参考にできる
優秀な人材を確保するには、学生の印象に残るよう魅力的にアピールする必要があります。
合同説明会は様々な企業が出展しているため、内容や進め方を見学しておけば、今後のアピール方法に活かすことも可能です。
合同説明会のデメリット
では、合同説明会を開催するとどのようなデメリットがあるのでしょう。
学生とじっくり話せない
質問の時間を十分に確保できず、一人ひとりとじっくり話ができないこともあります。
自社に興味を持った学生には、面談の予定を組むなど、交流できる機会を設けることが重要です。
他企業に埋もれてしまう
大規模な合同説明会には有名企業も多く出展するため、他企業に埋もれてしまう可能性があります。
「ブースの装飾を工夫する」「来場者へ積極的に声掛けする」といった、工夫が必要となります。
会社説明会に参加する企業の目的
会社説明会の目的は、自社について深く知ってもらい、求める人材を選考に誘導することです。
そのため、企業情報や仕事内容、求める人物像、選考フローといった、企業の選考を受けるにあたって必要となる情報を詳細に説明します。
魅力付けや自社への理解を深めるために、現場社員との交流会を実施することも多いです。
会社説明会の準備
有意義な会社説明会を実施するには、事前の準備が重要です。
プレゼン内容を決める
会社説明会には、その企業の選考を受けたいと考えている人が多く参加しますし、学生からの期待値も高いです。
そのため、詳しい仕事内容や今後の展望など、入社後のイメージが持てるようなコンテンツを豊富に用意する必要があります。
また、ミスマッチ採用防止には、強みや魅力といった、ポジティブな内容だけでなく、ネガティブな情報を伝えることも重要です。
説明会のプログラムに現場の社員と交流する機会を設けると、職場の雰囲気や実際の仕事内容が伝わり、入社後のイメージを持ちやすくなります。
求人サイトや採用サイト、合同説明会では入手できない情報を盛り込み、参加者の満足度を向上させましょう。
タイムスケジュールや配布資料の作成
プレゼン内容が決まったら、タイムスケジュールや配布資料を作成しましょう。
タイムスケジュール表は、当日のタイムスケジュールや注意事項などを記載した求職者用のものと、説明会の段取りや人員配置を記載したスタッフ用の2種類を用意します。
配布資料は、当日説明する内容をまとめたものを作成し、当日までに印刷しておきましょう。
自社や採用に関する情報が詳細に記載されたパンフレットを配る企業もあります。
会場の準備
企業が単独で行う会社説明会は、実施会場の手配も必要です。
自社内の会議室を利用できる場合は問題ありませんが、設備がない場合はレンタルスペースを借りる必要があります。
レンタルスペースを借りる際は、
地域採用…事業所近くのレンタルスペース
総合職採用…首都圏のレンタルスペース
など、採用ターゲットに応じて選びましょう。
会社説明会はパワーポイントを使って説明することが多いため、スクリーンやプロジェクターは必須です。
数十名以上の参加者が見込める場合は、マイクも用意しておきましょう。
会社説明会は長時間に渡って行われることが多いため、お水やお茶を配布すると企業への印象が良くなります。
告知
手間と時間を掛けて会社説明会を行っても、参加者が集まらなくては意味がありません。
採用サイトやSNS、求人サイトなどを活用し、積極的に情報発信しましょう。
告知文は「いつ・どこで・何をするのか、読んだらどうして欲しいのか」明確にすることが重要なため、
- 開催日時(20○○年〇月○日(土) 10:00~など)
- 開催場所(住所・会場名・会議室名)
- アクセス(○○駅から徒歩〇分など)
- 地図
- タイムスケジュール
- 告知文読了後の行動(「イベント申し込みボタン」の設置など)
について、記載します。
また、「説明会終了後は、飲食しながら自社社員と交流会を開催」のように、参加者への特典を明記するのも効果的です。
参加スタッフの選定とスケジュール調整
プレゼンテーターや受付係、機材スタッフ、交流会への参加社員など、説明会運営に携わるスタッフを選定した上で、関係者のスケジュールを調整します。
会社説明会の参加者は、会社の雰囲気や人間関係を把握するために、スタッフをよく観察しています。
そのため、入社後のお手本になる「ロールモデル」となるような社員を選ぶと良いでしょう。
参加するモデル社員の職種はバラバラにしておくと、学生の質問にも答えやすくなります。
参加社員が決定したら、説明会開催の目的や想定される質問、スケジュール表などを渡して認識を統一させ、本番までにリハーサルを行いましょう。
質疑応答や交流会で学生と直接対話するスタッフは、想定質問に対する回答を整理しておき、一度ロープレしておくと安心です。
会社説明会の流れとポイント
一般的な新卒採用の会社説明会では、
- プレゼンテーターの自己紹介
- 会社概要
- 仕事内容
- 今後の展望
- 先輩社員との交流
- 採用情報
- アンケート
の流れで進んでいきます。
プレゼンテーターの自己紹介
本題に入る前に必ず自己紹介をしましょう。
部署や氏名、入社年数などの基本情報を開示した上で入社理由を伝えると、学生の注目を引くことができます。
入社理由を話す際は、エピソードを交えながら話すのが効果的です。
会社概要
事業内容や資本金、売上高といった基本情報を淡々と説明するだけなら、ホームページを見るだけで充分です。
会社概要や企業理念を説明する際は、「当社は代表の○○がこういう経験をしたことから、~をもっと普及させたいという強い思いで始まりました。前身となる〇〇では…」など、ストーリーにして話しましょう。
会社概要は退屈な内容になりやすいため、物語性を持たせることで魅力的に伝えられますし、経営者の思いや実際のエピソードを盛り込むことで、共感を呼び起こせます。
また、BtoBのような消費者と直接的な接点が少ない企業の場合、自社の具体的なイメージを持ってもらうことがポイントです。
例えば「当社が皆さんと接する機会はありませんが、実は皆さんに身近な○○の部品を作っていて、シェアNO.1なんですよ。」のように説明すると、身近に感じられるでしょう。
仕事内容
学生は就業経験がないため、大まかな仕事内容を説明されてもなかなかイメージできません。
具体的にどういった業務を行うのか、実務レベルで伝えることがポイントとなるため、1日の仕事の流れを説明するのが良いでしょう。
様々な業務を行う場合は、一例を出した上で「企画~商品化まで一連の業務に携われる」のように、業務量の多さがネガティブな印象を与えないよう工夫する必要があります。
今後の展望
今後の展望やビジョンを伝える際は、できる限り経営幹部が登壇して直接話すようにするようにしましょう。
経営者自らが今後の方針や実現したいことなどを語ることで、学生に魅力付けができます。
ただし、経営者が威圧感を与えるタイプの場合、逆効果になってしまうため、分かりやすく話せる人に頼みましょう。
先輩社員との交流
先輩社員と交流する機会を設けることで、ホームページや合同説明会では伝えにくい社風や職場の雰囲気を感じてもらえます。
一通り説明した後に質疑応答タイムを設けることも重要ですが、学生側からすると質問しづらいため、現場社員とざっくばらんに対話できる「座談会」を設けましょう。
現場社員と直接交流してもらうと、参加者の満足度や理解度が高まるだけでなく、学生の本音も聞き出しやすくなります。
座談会では、様々な職種の社員を複数配置し、数グループに分けた少人数の学生と15分程度ずつ対話を繰り返していきます。
入社後の人間関係をイメージしてもらうには、学生と年の近い若手と役職者(主任・マネージャーなど)の2人1組で対応するのが有効です。
採用情報
募集要項や選考フローに関する情報を提供します。
募集要項は、職種・業務内容・勤務地・就業時間・給与・福利厚生・求める人物像・応募方法・選考プロセスなどです。
選考フローは、説明会参加者が選考を受けるための方法・連絡手段・提出書類や課題など、選考に進むための情報です。
先々の詳細な日程は決まっていないことも多いため、「この時期にこういう選考をする」といった、大体の情報を伝えましょう。
アンケート
学生の動向を把握したり、説明会の質を向上したりすることができるため、説明会の最後にアンケートを実施する企業が多いです。
学生の動向を把握する質問には、
- 興味を持った事業や仕事
- 選考を受けているまたは、選考予定の企業数
- 自社志望度(第○志望か)
などが挙げられます。
説明会の質向上に役立つ質問は、
- 説明会で知りたかった情報
- 良かった点・悪かった点
- 満足度
などです。
会社説明会の注意点
ここでは、会社説明会を行う上での注意点をご紹介いたします。
対等な相手として接すること
企業と学生は対等な立場です。
企業が学生を選ぶように、学生もまた企業を選んでいることを認識しましょう。
会社説明会のような、学生と直接コミュニケーションを取る場は、企業に対する評価が行われるため、言葉遣いや態度、立ち居振る舞いには注意が必要です。
「~だね」などのフランクな話し方は、学生に親近感を与えることもできますが、多用しすぎると不快感を与えてしまうため、学生と対話する際には注意しましょう。
また、説明会運営スタッフが片足立ちや腕組み、足組みといった態度をしていると、企業の印象を悪化させてしまいます。
専門用語は使わない
関係者間であれば専門用語を用いた方が簡潔に伝わりますが、学生はその業界・仕事には携わっていません。
そのため、専門用語で説明されても理解できませんし、誤解を与えてしまう恐れがあります。
一般的な言葉に置き換え、分かりやすく説明しましょう。
製品やサービスを説明する際は価値を伝える
製品やサービスについて説明する際、仕様やスペックについて説明する企業が多いですが、ハード面の説明だけでは魅力を感じにくいです。
例えば「○○はこういう商品で、~や~に役立っています」など、その製品がもたらす価値の話しをしましょう。
有意義な会社説明会で採用活動を有利に進める
企業単体で開く会社説明会は、時間と労力が掛かります。
しかし、じっくりと時間を掛けて自社の説明ができるため、魅力付けを行い、求める人材を選考に誘導することも可能です。
会社説明会を実施する際は、ご紹介した準備やポイントを参考にしてみてください。