最近、「オヤカク」という言葉が新たな就活用語として話題を集めています。

 

内定者本人の意思ではなく、保護者からの反対を理由として内定を辞退する学生が増えてきたため、企業担当者の新たな取り組みとして定着しつつあります。

 

ここでは、オヤカクが生まれた背景から実際に行われている対策などを中心にご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

「オヤカク」とは?

「オヤカク」とは、内定を出した企業が、内定者に対して保護者から承諾を取っているかどうかを確認することです。

 

企業が内定予定者の「親に確認する」ため、「オヤカク」と言われるようになりました。

 

確認方法は企業によってさまざまですが、電話での直接連絡や資料・手紙の送付、ホームページでの情報公開などを行うのが一般的です。中には、親向けの説明会や会社見学会を開催したり、家庭訪問を行う企業もあります。

 

本来、企業への入社は本人の意思で決めるものです。

しかし、子どもの将来を案じるあまり就活にまで介入する親が増えており、入社に関するトラブルが起こるケースも少なくありません。

 

企業にとって内定辞退は大きな損失です。

特に新卒の場合、採用活動に1年以上の期間を要するため、本人の意思以外での内定辞退は何としても避けたい出来事でしょう。

 

そのため、保護者に自社を理解してもらい、事前に入社の承諾を取っておく企業が増えてきているのです。

 

トラブル例

  1. 入社後、親が残業時間に対してクレームを入れてくる
  2. 内定を出した後に、独り暮らしNGという理由で辞退されてしまった
  3. 親から突然退職届が送られてきて、その後の対応もすべて親が行った

上記は一例ですが、自分の子どもを心配するあまり保護者が介入してくることがあります。

中には、ある日突然社員の親から退職届が送られてきて、本人とは話もできずに退職されたというケースもあります。

 

 

就活生の親の心理

ではなぜ、子どもの就活にまで関与する親が増えたのでしょうか。

ここでは、そんな親の心理がどのような背景で生まれたのかについて解説します。

 

少子化による思い入れの強さ

引用:厚生労働省『我が国の人口について

 

現在日本は、少子高齢化が深刻化しています。

合計特殊出生率(1人の女性が出産する子の数)は、1989年の1.57が2020年には1.33と年々減少していることが分かります。

 

つまり、一人っ子または兄弟の少ない家庭が増え続けているため、子どもの教育や就職への思い入れが格段に強くなっているのです。

子ども1人にかける教育費も高くなっているので「ここまで大事に育てたのに」という想いから、就職先への関心も強まったと言えます。

 

「大手企業なら安泰」という根強い価値観

親の世代は、終身雇用や年功序列がまだ主流で、バブル崩壊後の氷河期時代を味わった世代です。

 

だからこそ「大手企業なら手厚い福利厚生と安泰な人生が保証される」という価値観が根強く残っており、ベンチャー企業や中小企業に対して漠然とした不安を持っています。

 

その証拠に、親が内定先に反対する理由として多いのが「大手企業に勤めてほしい」「中小・ベンチャー企業だから」「労働環境が悪い」といった企業規模や環境面から、「内定先の将来に不安がある」に至ったケースがほとんどです。

 

オヤカクは、そうした心理を持つ親に対して自社をきちんと理解してもらう良い機会でもあります。

 

具体的な対応策

会社規模や事業内容、目的などにより方法は変わってきますが、実際に企業が行っているオヤカクの対策法は下記のとおりです。

 

対策例

  1. 会社案内(パンフレット・DVD)送付

     

  2. 自社製品と手書きの手紙を送付

     

  3. 父兄の同意書をとる

     

  4. ご挨拶の電話をする

     

  5. 親向けの企業訪問会を実施

     

  6. 内定式の写真を親向けに送付

     

  7. 内定者懇親会や食事会に親を招待

     

  8. 採用ページに「親向け」ページを開設 など

オヤカクの目的は親の確認を取ることです。

とはいえ、保護者から”入社の承諾を得る”だけでなく、”子どもが入社する会社を理解してもらう”ことを意識して行いましょう。

 

事業内容や福利厚生、企業理念、社会貢献活動、職場環境、経済状況(上場している等)などを伝えて企業理解が深まれば、入社に関するトラブルも発生しにくくなります。

 

「オヤカク」を行う際の注意点

何でもやり過ぎはよくありません。過度なオヤカクは逆に内定辞退につながります。

 

オヤカクの対象は内定者の保護者ですが、企業に入社するのは内定者本人です。

 

そのため、内定者にオヤカクの目的や趣旨をきちんと説明してから行いましょう。

 

単にオヤカクを行うだけだとトラブルにつながる要因になりますし、必死過ぎても相手に不信感を抱かせる可能性があるため、対応には細心の注意が必要です。

 

また、やり過ぎも内定者の囲い込みのように受け取られてしまいます。

「オワハラ(就活終われハラスメント)」と認識されると企業に対する印象が悪化するため、内定辞退につながります。

 

内定者と保護者の両方とコミュニケーションを取り、双方の意向を確認しつつ信頼関係を築いていきましょう。

 

オワハラについては、『その面接、オワハラかも?人事が知っておくべきオワハラの実態』をご覧ください。

 

オヤカクへの対策は必須!

内定をもらった企業に入社するかどうかは、学生だけでなく家族の意向も関係してきます。

 

「自分が入社する会社なのに自分で決められないの?」と思う人もいるでしょう。

しかし、家族が企業に対して不満を持っていると早期離職などの原因にもなるため、オヤカクの対策は必須です。

 

現代はかつての高度成長期と違い、大手企業でもどうなるかわからない時代です。

より優秀な学生を採用するためにも「オヤカク」は重要な採用活動の一環として、対応策を考えて採用計画に組み込みましょう。

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