人事・人材(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせたHRTechが市場をにぎわしています。
今回は、人事を取り巻く環境や課題、人事領域に新しい価値観をもたらすクラウド型戦略人事システム『ヒトマワリ』について、株式会社Touch & Linksの古川さんにお話しを伺いました。
株式会社Touch & Links 古川宗明さん
2018年よりクラウド型戦略人事システム『ヒトマワリ』の開発に着手。その後、事業譲渡によって株式会社Touch & Linksに入社。現在はヒトマワリの開発、販売などを事業責任者として統括している。好きな言葉は「愛」
人事やHRTechを取り巻く環境についてお伺いできますか?
人事を取り巻く環境をどのようにご覧になっていますか?
現在、人事を取り巻く環境は複雑化し、解決するべき課題が複数あります。顕在化している課題だけでも高齢化社会、労働人口の減少、働き方改革、テクノロジーの台頭によるヒトの役割の変化など…さまざまです。
多くの課題がある中で、まず、人事担当者や経営者の方々が行うべきは“労働力の確保に対するマインドチェンジ”だと私は考えます。というのも、これまで労働力といえばヒューマンリソース(人材資源)でした。しかし、採用しづらい、定着しづらい、人材がそもそも減っているという社会の中では労働力をヒューマンリソース以外で確保する必要があります。
つまり、「労働力=ヒューマンリソース(人材資源)」から「労働力=リソース(資源)」にマインドチェンジし、幅広い観点で事業ポートフォリオを考えることが重要ということです。具体的には労働力不足をAIやRPOといったテクノロジーや、今はまだない新しいアイデアなど、さまざまなリソースを活用し解決しようということです。
しかし、現時点ではこういったマインドチェンジをけん引できる人材が市場にはほとんどいません。そのため経済市場全体で最高人事責任者(Chief Human Resource Officer)の育成をしなければならないという課題もあると考えています。
HRTech業界については教えていただけますか?
まず市場規模に関してですが、人材業界という大きな枠では縮小傾向にあります。
しかし、HRTechの分野に関しては今後も拡大が予想されています。また、HRTech市場が現在どのような市場フェーズにあるのかというと、イノベーター理論でいうところの“イノベーター”と“アーリーアダプター”の開拓は終わり、”アーリーマジョリティ”の市場に突入しているフェーズと考えています。
早期の開拓段階では目新しさや先進性が重視されますが、今後は実用性や信頼感を持ったサービスが重視されることが予想されています。
実はここにHRTech業界の弱点があります。というのも既存のサービスはサポートがテックタッチになりがちで、ハイタッチなサポートは多くありません。先進的なHRTechのサービスだからこそ“どのようにツールを活用するか”、“蓄積したデータをどのように活用するか”といったサポートが必要です。
このようなことから、これからはハイタッチなサポートを行いつつ、コンサルティングのような専門的なサポートを行うことも重要だと思います。 人事コンサルタントとの先生方との協業も今後より一層力を入れていかなければいけないテーマですね。
HRTech業界の進歩は目覚ましく、お客様の求める課題に対応できる技術がどんどん生まれています。せっかく技術が進歩しても、使う側のリテラシーが向上しなければ意味がありません。
このようなHRTech業界の弱点を克服するべく、人材採用業界、HRコンサルティング、システム導入支援企業など各所が手を取り合い、業界を盛り上げていければと考えています。
今後『Touch & Links』、『ヒトマワリ』は人材業界でどのような役割を担っていきますか?
Touch & Linksとしては、企業とヒトの出会いから定着、活躍までをトータルにサポートできる体制を作りたいと考えています。
やはり優秀な人材は良い企業にしか行きません。認知度の低い企業こそ自社の魅力を発信しブランディングに注力すべきです。Touch&Linksとしては、ウェブ制作やウェブマーケティング、ヒトマワリを含む各種HRTechツールなどで企業の採用ブランディングから人材の採用、定着、活躍までをワンストップに担える体制を目指して事業の拡大を行っています。
『ヒトマワリ』としては、“働く“ということを通じて出会った企業とヒトが、相互に高め合えるような関係を人材データ管理の仕組みから応援する存在でありたいと考えています。これを私たちは「DX(デジタルトランスフォーメーション)とアナログのハブになる」という言葉で表現しています。
タレントマネジメントツールである『ヒトマワリ』がこのような目標を掲げている理由は、タレントマネジメント業界は未熟な業界で解決するべきさまざまな課題があると考えているからです。
ある調査によりますと、タレントマネジメントサービスは“費用が高い”、“導入後にうまく活用できていない”という2つの課題を抱えています。
詳しく中身を見ると、費用面では単純にサービスの利用料が高いというだけではなく、導入時に高額な費用がかかったり、導入後のサポートが高額に設定されていたりというケースが見られます。
さらに、導入している企業の約半数がシステムに対してなんらかの不満を持っています。不満の内容は多岐にわたりますが、“効果的に活用できていない”という声が特に多く聞かれます。
私たちは、このような課題を解決するために「導入しやすい価格でサービスを提供すること」、「導入時から活用フェーズまで徹底してサポートすること」をおこなっています。具体的には、ヒトマワリは他のツールの1/3程と導入しやすい価格設定をしています。
また導入前の設計から導入後のサポートまで1社1担当で、同じスタッフが担当する仕組みをとることで効果的に活用していただける仕組みを整えています。
他社と足並みをそろえた価格、サポート体制にもできましたが、それではタレントマネジメントツールの本当の良さが発揮されないと思います。
もし、タレントマネジメントツールが抱える課題をヒトマワリで解決できたとしたら、最もアナログだといわれる人事領域をDX(デジタルトランスフォーメーション)するハブ(中心的な)存在になれると確信しています。
クラウド型戦略人事システム『ヒトマワリ』について教えてください
『ヒトマワリ』をリリースした背景を教えてください。
2018年当時、「人材管理のみ」「人事評価制度のみ」「採用戦略のみ」など特定の分野に特化した人事システムはバラバラに存在していました。
全てを網羅したシステムがなかったので、一括管理という視点で『ヒトマワリ』の開発をスタートしました。その後、導入いただいたお客様の声を取り入れバージョンアップをすすめ、現在では戦略人事を担えるサービスへと成長しています。
ちなみに『ヒトマワリ』の制作にあたっては、株式会社人材研究所の曽和代表に監修いただいています。曽和さんは株式会社リクルートや株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社といったさまざまな企業で人事をされています。
曽和さんに監修いただいたことによって、この分野に精通したスペシャリストの視点を兼ね備えたサービスとなりました。
他社サービスと比較した『ヒトマワリ』の強みはどこでしょう?
『ヒトマワリ』のリリース以降、戦略人事の概念を取り入れたサービスは多く生まれているので、正直なところシステム自体での差別化は難しいです。その中で『ヒトマワリ』の優位性を挙げるとすれば、お客様の事業の成功にコミットした“フォローアップ体制”です。
HRTechは導入がゴールではありません。導入してからが重要です。また、こういったツールを導入する企業様には導入を機に組織管理をスタートするというところも多いので、システムの操作方法はもちろん、組織管理自体がよくわからないということもあります。
そこで私たちが積極的に動きます。お客様の事業成功をゴールとして、導入直前には「キックオフMTG」で、目標設定や実現に向けたプロセスなどを話し合います。
そして導入後は操作のレクチャーや運用支援を専任のチームが行います。
また、お客様の事業の成功にコミットしているからこそ、導入前段階にも力を入れてサポートを行います。導入前のサポートでは、お客様が実現したいこと、タレントマネジメントサービスに求める条件などを詳しくヒアリングします。
このヒアリングや打ち合わせを通じて、本当にシステムの導入が必要なのか、どういった機能があればよいのかといったことをお客様の立場で考えます。
実際、数多くの商談の機会をいただきますがお打ち合わせを重ねた結果、「それならばA社のサービスを導入した方がいいのでは?」と他社サービスの導入を提案することもあります。
もちろんヒトマワリを試していただきたいですが、お客様の事業の成功を考えれば他社製品の方がよりお客様にフィットしているということもあるので、このような判断を行うことも珍しくありません。
このようなことから、ヒトマワリの強みはお客様の事業成功にコミットしたサポート体制にあると考えています。
『ヒトマワリ』を自社で活用した感想はいかがでしょうか。
組織運営の継続性が高まりました。
例えば、従業員Aさんと行った面談履歴が日時も内容も全て記録できます。その後の面談では、過去の履歴を確認しながら「現在はどのような考えになっているのか」など、考え方や志向の変遷をたどることができます。この機能活用していくことで従業員一人ひとりのビジョンや考えの変遷を継続的にたどることができます。
従業員一人ひとりの情報をデータベース化していけば、ひいては組織全体の考え方や志向の変遷を記録したどることができるようになります。
これまでの組織運営では節目のタイミングで在席している人材を俯瞰し、配置を決めるということが一般的でした。 しかし、こうしたデータを蓄積していくことで配置転換が必要なタイミングで過去情報から現在の情報へと継続的に変遷をたどり、最適な人材配置を行うことができるようになります。
また、属人的な情報管理になりがちな人事データをデータベース上に蓄積していけば、人材の出入りがあっても情報が組織の中で継承されていきます。
そして、アカウントを共有すれば関係者間で共有することも可能です。 これまで困難だった人事情報の共有ができるようになれば、従業員Aさんの想いを他部署の責任者が実現したり、経営層が直接支援することも容易になるでしょう。
また、極端な例ですが責任者である私が退社したとしても、従業員Aさんとの面談記録は残ります。そのため、私の後を引き継いだ新たな責任者がスムーズにAさんをフォローアップできるといった点もヒトマワリを活用する中で感じた良い点です。
そのほかにも良かった点はありますが、過去から現在へ、現在から未来へと移り変わっていく組織を俯瞰して管理できるという点だけでも、組織運営の継続性が高まり非常に良かったと感じています。
今後の展開について教えてください。
先にも紹介しましたが、人事領域をDX(デジタルトランスフォーメーション)するハブ(中心的な)存在としてより多くのお客様を支えていきたいと考えています。
市場のフェーズの話をさせていただきましたが、HRTech市場が拡大していく一方で、テクノロジーに明るくない業界や企業さまには取り残されていくところも多く出てきてしまうはずです。
テクノロジーに明るくない業界や企業さまを積極的に支えていくことで、日本中の企業がアナログからデジタルへとスムーズに移行できる風を起こしていきたいと思います。
当社のフォローアップ体制は、業界内でもトップクラスだと自負しています。当社だからこそ日本中の人事・採用部門の改革をサポートしていけるとも考えています。
これらが実現すれば、日本企業や人材のグローバルな競争力をも底上げられると思いますので、そういった価値を世の中に提供していきたいと思います。
クラウド型戦略人事システム『ヒトマワリ』について
『ヒトマワリ』は採用から人材DBまでを一元管理できるクラウド型人事管理システムです。
ヒトマワリを使い人材データの収集・蓄積・分析・アウトプットを行うことで、人事業務における「採用」「育成」「配置」「評価」「報酬」「代謝」の意思決定をサポートし、企業運営を加速させることが可能です。
▼クラウド型戦略人事システム『ヒトマワリ』サービスページ
販売・開発会社 | 株式会社Touch&Links |
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代表取締役 | 嘉田 洋一朗 |
住所 |
〒150-6141 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア41F[MAP] |
TEL | 03-6867-1456 |
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