学歴・経歴詐称で解雇は可能? 経歴詐称の調べ方や発覚時の対応について解説

応募者が、自らの学歴や職歴などを偽る「経歴詐称」は、会社が望む人材を採用できなくなるため、大きな損失につながります。

 

そのため、遅くとも内定前までには経歴詐称を見抜き、入社を防ぐことが重要です。

 

そこでこの記事では、よくある経歴詐称のパターンや見抜き方について解説します。

 

経歴詐称発覚後の対応についてもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

経歴詐称とは

経歴詐称とは、学歴や職歴といった自分の経歴を偽ることです。

 

採用選考で不利になりそうな経歴がある際、応募者が自らの学歴や職歴、犯歴などを偽り、企業側も詐称を見抜けず採用してしまうことがあります。

 

しかし、労働者が手厚く保護されている日本では、一度雇用すると簡単には解雇できません。

 

入社後のトラブルを避けるためにも、経歴詐称のパターンや見抜き方を把握しておくことが大切です。

 

学歴詐称でよくあるパターン

学歴詐称は、事実と異なる学歴を伝えることです。

 

実際の学歴より高く偽るのが一般的ですが、低く偽るケースもあります。

 

ここでは、よくある学歴詐称のパターンを見ていきましょう。

 

パターン1.偏差値上位の学校に入学・卒業したと偽る

最終学歴は変えず、実際より高いレベルの学校に通っていたと偽るパターンです。

 

この場合、学校名を偏差値の高い上位校に偽ることで、採用選考を有利に進めようとしています。

 

学校のブランドが、選考に影響すると想定される求人で起こりやすいです。

 

パターン2.中退だが卒業したと偽る

卒業していないにもかかわらず、卒業したと偽るパターンです。

 

この場合、退学や除籍などの処分を隠すために、詐称していると考えられます。大学名を偽っていないため、罪悪感が薄い可能性があります。

 

パターン3.高卒なのに大卒と偽る

最終学歴を偽るパターンで、出身校を上位校と偽るパターンに並んで多いです。

 

この場合、応募条件をクリアするために学歴を偽っていると考えられます。

 

高卒と大卒で基本給に差を設けている企業も多いため、基本給が最終学歴に影響する企業の求人でも起こりやすいです。

 

新卒採用では、留年を隠すために若く申告したり、空白期間を学校在籍期間と偽ったりするケースがあります。

 

パターン4.除籍・放校を退学と偽る

学校に辞めさせられる除籍や放校を、自己都合の退学と偽るパターンです。

 

除籍や放校は、入学許可にさかのぼって学籍を外されるため、「元からその学校には存在しなかった」ことになります。

 

非常に重い処分のため、重大犯罪への関与など、よほどの事情がない限りこういった処分にはなりません。

 

パターン5.聴講生を正規生と偽る

学位取得を目的としない講義の受講を、正規入学と偽るパターンです。

 

聴講生やオープンカレッジでの講義受講は、学位取得を目的としていないため、学歴とは認められません。

 

パターン6.逆学歴詐称をする

一般的に、学歴詐称は実際よりレベルの高い教育を受けたように見せかける手口が多いですが、大卒なのに高卒と偽る逆学歴詐称もあります。

 

逆学歴詐称は、学歴で採用試験が区分されている場合に、合格の可能性を高める目的で行われます。

 

求人より求職者の方が多い「買い手市場」の状況下で、起こりやすいです。

 

過去には、大卒を高卒と偽って採用された水道局員の逆学歴詐称が入社後に判明し、懲戒免職処分となっています。

 

経歴詐称でよくあるパターン

学歴詐称以外では、職歴を偽る経歴詐称も多いです。

 

ここでは、経歴詐称でよくあるパターンについてご紹介します。

 

パターン1.転職回数を少なく申告する

転職回数が多い場合や在籍期間が短い場合、採用担当者にマイナスな印象を与える可能性があるため、転職回数を少なく申告する応募者もいます。

 

転職回数を少なく申告する際、

  1. 在籍期間が短い会社を記載しない
  2. 複数の会社で上げた実績を、特定の会社で上げたように見せかける

などのパターンがあります。

 

パターン2.階級・役職を偽る

転職の採用選考では、役職経験の有無が大きなアピールポイントとなるため、階級や役職を偽る応募者がいます。

 

また、マネジメント経験はあるものの、チームの規模を大きく申告したり、派遣社員を正社員と申告したりするケースもあります。

 

パターン3.子会社勤務だったが親会社勤務と偽る

子会社や関連会社での勤務を、親会社で勤務していたと偽るパターンです。

 

下請け会社で行っていたプロジェクトを本社で担当していたと偽る人や、実際には勤務していない会社名を申告する人もいます。

 

経歴詐称は犯罪になる可能性がある

経歴詐称が必ずしも罪になるわけではありませんが、場合によっては犯罪にあたる可能性があります。

 

とはいえ、経歴詐称は刑事責任ではなく、ほとんどが民事上の法的責任追及となります。

 

では、犯罪にあたる3つの代表例を見ていきましょう。

 

私文書文書偽造罪/公文書偽造罪

文書偽造罪とは、他人の印章・署名を用いて、権利・義務・事実証明に関する文書を偽造する罪です。

 

たとえば、

 

私文書偽造罪…卒業証書や資格の証明書を偽造した場合

公文書偽造罪…免許証や国家資格の証明書を偽造した場合

 

が該当します。

 

ちなみに、履歴書や職務経歴書は私文書にあたりますが、経歴詐称しても偽名でなければ、私文書偽造にはなりません。

 

参考:Wikibooks『刑法第155条 公文書偽造等

参考:Wikibooks『刑法第159条 私文書偽造等

 

詐欺罪

詐欺罪とは、人を欺いて金品などをだまし取ったり、支払いを免れたりする罪です。

 

経歴詐称で入社した会社から給与を受け取っても、給与は労働の対価として支払われるため、詐欺罪となるケースはほとんどありません。

 

しかし、経歴や資格に対する対価として金銭を受け取った場合、詐欺罪となる可能性があります。

 

参考:Wikibooks『刑法第246条 詐欺

 

軽犯罪

軽犯罪は、軽微な違法行為のことです。

 

経歴詐称に関しては、軽犯罪法第1条15号によって、学位の詐称や官公職と偽ることが対象となっています。

 

参考:e-Gov『軽犯罪法

 

採用後に経歴詐称が発覚した場合

では、採用後に経歴詐称が発覚した場合、企業としてどのような対応をするべきなのでしょうか。

 

経歴詐称に対する主な対処方法についてご紹介します。

 

解雇

社員の経歴詐称が発覚した場合、懲戒処分として当該労働者を解雇できる場合があります。

 

ただし、経歴詐称で懲戒処分を行うには、就業規則の懲戒規定にその旨が明記されていなくてはなりません。

 

また、解雇事由が記載されていても、裁判では認められないケースもあります。

 

判例上では、

  1. 採否の判断が変わると考えられる程度かどうか
  2. 企業の秩序を乱す可能性があるかどうか
  3. 労働力の評価を誤らせるくらいだったかどうか

の3点が重視されています。

 

自主退職を促す

懲戒解雇は非常に重い処分のため、安易に行うと解雇権濫用となる可能性があります。

 

雇い続けたくはないが、懲戒処分の妥当性を判断できない場合、自主退職を促すのも一つの手です。

 

退職勧奨する際は、個別の面談で退職勧奨の理由などを伝え、本人に退職の意思があるかどうかを確認してください。

 

本人に退職意思があれば、そのまま退職手続きに入ります。

 

退職意思がなければ面談を重ねて退職を勧め、意思が変わらない場合は普通解雇や懲戒解雇を検討します。

 

退職勧奨を行う際は、当該労働者に退職を決めてもらう働きかけなので、強要にならないよう注意しましょう。

 

「長時間の面談を何度も行う」「大人数で説得する」「社員を中傷する」などを行うと、強要と受け取られる可能性があります。

 

また、退職に応じてもらうための優遇措置を提案すると、退職が受け入れられやすくなります。

 

雇用の継続

詐称の内容が職務に大きな影響を与えない場合、雇用を継続しても良いでしょう。

 

経歴詐称の調べ方・見抜くポイント

大きな損失につながる経歴詐称を防ぐには、どうしたら良いのでしょうか。ここでは、経歴詐称の調べ方や見抜くポイントについてご紹介します。

 

応募書類を確認する

通常、履歴書や職務経歴書といった書面のみで、経歴詐称を見破るのは困難です。

 

しかし、

  1. 履歴書の様式が一般的でない
  2. 短期間の転職を繰り返している
  3. 働いていない期間がある

などの場合は経歴詐称の可能性があるため、慎重に見極める必要があります。

 

というのも、履歴書の形式が一般的でない場合、不都合な情報を隠すために、独自の履歴書を用いている可能性があるからです。

 

また、短期間の転職を繰り返す人は、当人に問題がある可能性が考えられますし、空白期間が長い人はその間何をしていたのか分かりません。

 

もちろん、こういった特徴に該当するから一概にダメ、というわけではありません。

 

選考を通過させた際はしっかりと面接で確認しましょう。

 

面接で質問する

多くの応募者が面接対策をしてくるため、表面的な質問では詐称を見抜けません。

 

そのため、面接では書面と異なる切り口で質問し、回答に対して深掘りしていきましょう。

 

ある程度の質問は事前に準備できますが、詐称していると細かいところまで詰められないので、途中でつじつまが合わなくなってきます。

 

このとき、現場の社員を同席させると、職務遂行に必要な能力の程度が把握しやすくなります。

 

加えて、面接記録も残しておきましょう。

 

経歴詐称の証拠となるだけでなく、後から見返すことで矛盾にも気づきやすくなります。

 

卒業証明書を提出してもらう

学歴の確認には、卒業証明書もしくは卒業見込証明書の提出が有効です。

 

卒業証明書や卒業見込証明書を提出されても、応募者に疑わしい点がある際は、学校に在籍確認をしましょう。

 

なお、卒業証明書などの偽造は私文書偽造罪にあたります。

 

リファレンスチェックを実施する

リファレンスチェックとは、応募者の元上司や同僚に経歴を確認する方法です。

 

第三者からの客観的な意見を聞けるため、経歴詐称の防止はもちろん、働きぶりや人間性についても把握できます。

 

ただし、リファレンスチェックを行うには、本人の承諾が必要です。

 

退職証明書を確認する

労働者は、退職するときに退職証明書を会社に請求できます。

 

そのため、退職証明書の提出を求めた際に「発行を断られた」などの理由で提出しない場合、経歴詐称している可能性が高まります。

 

退職証明書の記載事項は労働者が指定できるため、在職期間や賃金、退職理由を記載してもらうよう依頼しましょう。

 

雇用保険被保険者証を確認する

雇用保険被保険者証には、前職の会社名や離職日が明記されているため、経歴を確認できます。

 

ただし、雇用保険の手続きは被保険者番号さえ分かれば行えます。

 

そのため、雇用保険被保険者証の提出を求めても、「被保険者番号だけを伝える」「必要な部分だけ切り取る」などの行為をされた場合は、注意が必要です。

 

源泉徴収票を確認する

転職の場合、前職も含めたその年の収入に対して年末調整を行うため、年末の退職者以外は源泉徴収票を提出してもらう必要があります。

 

確定申告は自分でも行えますが、手続きの手間を考えれば、会社に任せたいと考えるのが一般的でしょう。

 

したがって、年をまたがない転職であるにもかかわらず

  1. 自分で申告する
  2. 源泉徴収票を紛失してしまったが、再発行してくれない

など、源泉徴収票の提出を拒まれた場合、経歴詐称が疑われます。

 

年金手帳を確認する

年金手帳には、前職までの年金加入歴が記載されているため、経歴詐称対策に有効です。

 

しかし、年金手帳を再発行した場合、それまでの加入歴は記載されません。

 

経歴詐称のために、紛失したと見せかけて再発行する人もいるので、転職者の年金手帳に加入歴がなかった場合は本人に事情を確認しましょう。

 

入社前に学歴・経歴詐称を見抜くことが大切

学歴や職歴といった経歴詐称を見逃すと、会社にとって大きな損失につながります。

 

入社後に発覚しても、詐称の度合いによっては解雇できないこともあるため「そもそも入社させないこと」が重要です。

 

自社によりマッチする人材が入社できるよう、ご紹介したポイントを参考に詐称を見抜きましょう。

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