社内ベンチャーとは? メリット・デメリット、立ち上げのポイント、成功事例についてご紹介

近年、社内ベンチャーによって新規事業を展開する企業が増えています。

 

社内ベンチャーは、既存のリソースを活用しつつ別組織として動くことから、さまざまな効果が期待されています。

 

そこでこの記事では、社内ベンチャーの概要やメリット・デメリットについてご紹介します。

 

立ち上げのポイントや成功事例についてもまとめていますので、ぜひご覧ください。

 

社内ベンチャーとは

社内ベンチャーとは事業を創出するために設置する独立した組織のことです。

 

社内ベンチャーは、既存事業にはない新たなビジネスモデルを立ち上げることから、企業内の別組織として活動します。

 

社内起業家が自社の資金や人材、ノウハウといったリソースを活用して、新たな製品・サービスの事業化を推進するのが特徴です。

 

経営資源を有効活用できることから、大手企業を中心に社内ベンチャー制度を取り入れる企業が増えています。

 

社内ベンチャーの実態

では、社内ベンチャー制度を実施している企業はどの程度存在するのでしょうか。

 

経済産業省の『平成24年度総合調査研究(新事業創出支援に関する実態調査)』によると、

 

新事業提案・社内ベンチャー制度があり、過去3年で利用された…9.7%

制度はあるが、過去3年での利用実績はない…8.1%

制度はないが、関心はある…56.5%

制度・関心ともになし…23.1%

 

でした。

 

2012年の調査結果なので古い資料にはなりますが、約7割の企業が社内ベンチャーに好意的であることが分かります。

 

社内ベンチャーの目的

ここでは、社内ベンチャーを導入する目的についてご紹介します。

 

新規事業による利益の拡大

社内ベンチャーの大きな目的として挙げられるのが、新規事業による利益の拡大です。

 

現代はビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化するため、既存事業の継続だけでは利益を上げにくいです。

 

また、既存事業のみでは大きな市場変化に対応しきれず、経営に支障をきたす恐れも考えられます。

 

そのため、社内ベンチャーで新規事業を展開すれば、経営リスクの低減や業績向上に役立ちます。

 

人材育成

社内起業家には、イノベーション創出や経営ノウハウ、マネジメントなど、さまざまな能力・スキルが求められます。

 

社内ベンチャー制度を導入すると、社員は新規事業の立ち上げに伴うあらゆる業務に携われるため、次世代リーダーの育成に役立ちます。

 

資産の有効活用

資源はただ所有しているだけでは、利益を生みません。

 

社内ベンチャーは、ヒト・モノ・カネといった企業の経営資源を活用して新規事業を展開するため、資産を有効活用できます。

 

企業文化の醸成

社内ベンチャーで新規事業を展開すると、ポジティブな企業文化の醸成に役立ちます。

 

時代に合わせて柔軟に変化し、社内起業家として社員が活躍する機会も提供できるため、社員のモチベーションも高まるでしょう。

 

さらに、新規事業とのシナジー効果が期待できるため、既存事業にも好影響を与えると考えられます。

 

社内ベンチャーを立ち上げるメリット

ここでは、企業と当事者それぞれの観点から、社内ベンチャーを立ち上げるメリットについてご紹介します。

 

企業のメリット

まずは、企業側のメリットから見ていきましょう。

 

成功した場合は利益が拡大する

社内ベンチャーは、これまでカバーしていなかった需要に対して、商品・サービスを提供します。

 

企業にとっては、既存事業と異なる顧客を獲得できる可能性があるため、成功すれば新たな収益先を確保でき、収益拡大につながります。

 

優秀人材の育成

社内ベンチャーは、優秀人材の育成に役立ちます。

 

独立した別組織で新規事業の立ち上げに携われば、本社では得られない貴重な経験を積めますし、経営者視点も養えます。

 

また、社内ベンチャーがきっかけで埋もれていた才能が開花することもあるでしょう。

 

ポジティブな企業文化が育つ

組織が保有しているリソースを活用して、新規事業を生み出す文化が浸透すると、社内ベンチャーに携わっていない社員のチャレンジ精神も育みます。

 

社内ベンチャーの取り組みを社外にも発信すれば、経営に興味を持つ人材が集まりやすくなり、企業文化もさらに醸成されやすくなるでしょう。

 

当事者のメリット

つづいて、当事者のメリットについて見ていきましょう。

 

企業のネームバリューにより信用を得やすい

社内ベンチャーは、無名のスタートアップと違い、本社のブランド力があります。

 

本社のネームバリューやネットワークを活用すれば、クライアントや顧客からの信用を得やすいです。

 

必要なリソースが揃っている

新規事業の立ち上げには、資金や人材、ノウハウなどのリソースが必要です。

 

スタートアップの場合、一からリソースを確保しなければなりませんが、社内ベンチャーは、本社が保有しているリソースを活用できます。

 

リソースの有効活用により、運営側は少ない負担で新規事業を展開できます。

 

社内ベンチャーを立ち上げるデメリット

社内ベンチャーの立ち上げには、多様なメリットがある反面、デメリットも存在します。

 

企業のデメリット

まずは、企業側のデメリットから見ていきましょう。

 

失敗する場合がある

本社のリソースを活用できるといっても、社内ベンチャーは新しい分野での事業展開です。

 

当然ですが、既存事業の拡大と比較すると、新たな分野で事業展開する方が失敗のリスクは高くなります。

 

事業展開に失敗した場合の損失は本社が被るため、本業の経営を圧迫する恐れがあります。

 

メンバーのモチベーション管理が難しい

社内ベンチャーは組織の後ろ盾があるため、スタートアップと比べると経営リスクは低く、仮に事業が失敗しても社員が損害を受ける可能性は低いです。

 

組織の後ろ盾があるのは大きなメリットですが、安心感からメンバーのモチベーションが上がりきらないこともあります。

 

当事者のデメリット

つづいて、当事者側のデメリットについてご紹介します。

 

短期間で成果を求められる

日々多くのスタートアップ企業が立ち上がる中、急成長を遂げる企業もいます。

 

特に、現代はビジネス環境の変化スピードが早いため、ゆっくり取り組んでいては競合他社に勝てません。

 

さらに、本社は社内ベンチャーに資金や人材など、さまざまな援助を行っているため、短期間での成果を求めます。

 

意思決定に時間がかかる

社内ベンチャーは、チャレンジングな取り組みができるため、本社と比較すると意思判断のスピードが早いです。

 

ただし、本社のリソースを活用しているので、場合によっては本社に判断を仰ぐこともあります。

 

したがって、スタートアップと比べると、意思決定に時間がかかることがあります。

 

社内ベンチャーの立ち上げ方

社内ベンチャーの立ち上げ方は、大きく分けて2種類です。ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。

 

トップダウン型

トップダウン型は経営者主導で進めるパターンです。

 

経営者が決定した新規事業のミッション・目標に沿って、社内ベンチャーの担当メンバーが動きます。

 

トップダウン型は、取組実績が少ない企業で行われることが多いです。

 

経営者の意図が市場ニーズとズレたり、経営者の参画によりメンバーの当事者意識が薄れたりする可能性があります。

 

そのため、トップダウン型では経営者とメンバーとの密接なコミュニケーションが重要です。

 

ボトムアップ型

ボトムアップ型は、社員からアイデアなどを募って事業化するパターンです。

 

集まってきたアイデアの中から、有益なものや実現可能なものを選出し、事業化に向けて取り組みます。

 

ボトムアップ型は現場の声を活かせるため、市場ニーズにマッチした事業を創出できます。

 

社内ベンチャー立ち上げのポイント

ここからは、社内ベンチャーを立ち上げるポイントについてご紹介します。

 

明確な撤退基準を設ける

社内ベンチャーは独立した組織ですが、本社のリソースを活用して運営しています。

 

新規事業の明確な撤退基準を設けずに立ち上げてしまうと、本社の経営を圧迫する可能性が高いです。

 

運営状況を客観的に判断できるよう、事前に撤退基準を設けましょう。

 

ちなみに、サイバーエージェントは四半期連続の減収減益で撤退など、明確なルールを設けています。

 

社員が参加しやすい環境をつくる

新規事業を成功させるには、より多くアイデアを集めて判断する必要があるため、新規事業を後押しする姿勢を示すことが重要です。

 

たとえば、

  1. シート1枚でエントリーできるようにする
  2. メンバーへのサポート体制を整える
  3. 失敗しても査定評価を下げない

など、社員が参加しやすい環境を整えましょう。

 

迅速に意思決定する

既存事業と比べると、社内ベンチャーは短期間での成果を求められます。

 

短期間で成果を出すには、迅速な意思決定が必要となるため、人員配置や予算配分などの判断はできる限り担当者に任せ、本社の介入は極力減らしましょう。

 

経営指針を決める役員制度や経理部門といった、会社組織の仕組みを独立させておくと、本社への依存度が低下します。

 

社内リソースを積極的に活用する

社内ベンチャーを成功させるには、資金やノウハウなど、保有しているリソースを積極的に提供することが大切です。

 

事前に、社内リソースを有効活用できる仕組みや制度を構築しておきましょう。

 

社内ベンチャーの成功例

最後に、社内ベンチャーの成功をご紹介します。

 

株式会社西友 無印良品

無印良品は、1980年に株式会社西友がプライベートブランドとしてスタートしましたが、当時は家庭用品9品目、食品31品目の合計40品目のみでした。

 

その後、西友の大型店を中心にインショップで展開をつづけ、1989年に株式会社無印良品計画を設立、1990年に独立しています。

 

三菱商事株式会社 Soup Stock Tokyo

三菱商事株式会社に在籍している遠山氏が、出向先のケンタッキー・フライド・チキン株式会社でSoup Stock Tokyoの草案となる「スープのある一日」を起案したのがきっかけです。

 

1999年に第1号店として「Soup Stock Tokyoヴィーナスフォート店」をオープンし、2008年には遠山氏が全株式を取得して独立しました。

 

今では、Soup Stock Tokyoだけでなく、ネクタイやリサイクルなど、多様な事業を展開しています。

 

社内ベンチャーで利益拡大

企業が持続的に成長していくには、既存事業だけでなく新規事業への展開も重要です。

 

社内ベンチャーは本社のリソースを活用しつつ、独立した組織として動くことで、新規事業を創出できます。

 

これまで応えられなかった市場ニーズをカバーできれば、利益拡大につながります。

 

メリット・デメリットを把握した上で、社内ベンチャーの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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