朝礼を実施している企業の中には「話すことない」「ネタ探しが大変」「何の意味があるの?」など、不満に感じている人も多いでしょう。
軽視されがちな朝礼ですが、実は社員教育やコミュニケーションの活性化といったさまざまな効果を期待できます。
この記事では、朝礼を実施している企業はもちろん、実施を検討している企業が知っておきたい朝礼の目的や盛り上げ方、ネタ探しの方法についてご紹介します。
朝礼実施時の注意点についても触れていますので、ぜひご覧ください。
朝礼の意味や目的
朝礼を行う企業が減りつつある一方、毎日実施する企業もあります。
では、そもそも朝礼には、どのような意味や目的があるのでしょうか。
仕事モードへの切り替え
朝礼実施の目的として、気持ちの切り替えが挙げられます。
出社後、全員がすぐに仕事モードに切り替えられるわけではありません。
そのため、連絡事項や業績といった話を通じて、プライベートモードから仕事モードに切り替える場として活用されています。
気持ちの切り替えを目的とする場合、毎日行われることが多いです。
社員教育
朝礼は、社員教育の目的で行われることもあります。
一般社員にも発表させることで、自分が得た学びや気づきを共有したり、経営陣の朝礼を通じてビジョンや方向性を伝えたりできます。
経営陣・役員は、定期的に将来の展望や求める人材について伝えましょう。共通認識を持って働けるため、社員の質向上につながります。
コミュニケーション
規模が大きな会社や新入社員の場合、チーム以外の人と関わる機会が少ないです。
持ち回りで社員に朝礼をさせると、顔と名前が一致しやすくなりますし、考え方や価値観など、人柄も見えてきます。
発表内容が話のきっかけになることもあるので、コミュニケーション活性化につながるでしょう。
朝礼の実態
では、どの程度の企業が朝礼を行っているのでしょうか。
引用:Monegy『会社の朝礼は必要?不必要?令和時代の朝礼意識調査 結果発表!』
2020年にMonegyが行った朝礼のアンケート調査によると、
毎日実施…28.8%
週1回…14.2%
月1回…7.1%
未実施…49.8%
となりました。
朝礼の実施・未実施はほぼ半数ずつ、実施する会社は「毎日」が最多であり、企業文化として根づいていることが分かります。
また、朝礼の内容としては「連絡事項の共有」が84.0%で最も多く、次いで「業務予定の報告」46.0%、「従業員によるスピーチ」が25.6%でした。
少数派では、「社訓の唱和(18.1%)」や「ラジオ体操(11.2%)」を行う企業もあります。
従業員の本音
つづいて、従業員は朝礼をどう思っているのか見ていきましょう。
引用:Monegy『会社の朝礼は必要?不必要?令和時代の朝礼意識調査 結果発表!』
朝礼実施の企業では、59.4%の労働者が必要、40.6%の労働者が不必要と回答しました。
一方、朝礼未実施の企業で必要と回答した労働者はわずか9.9%、大多数が不必要と回答しています。
また、朝礼の要否については「全員に同じ情報を共有できるから」などの肯定的な意見が出た反面、「朝礼の時間を業務に充てたい」「ネタを考えるのが苦痛」といった、意見も出ました。
朝礼の盛り上げ方
従業員の本音からも分かるように、従業員の中には朝礼を苦痛に感じている人が多いです。
ここでは、朝礼を有意義な時間にするための方法についてご紹介します。
ネガティブなことは言わない
出勤して早々にネガティブなことを言われては、誰でも気分が落ち込みます。
中には、名指しで社員を叱責する企業もありますが、人前で叱るとその社員のプライドを大きく傷つけます。
会社や上司への信頼が低下するだけでなく、本人を含め周囲の従業員のモチベーションも下がるため、プラスに働くことはありません。
さらなる成績悪化や離職につながる可能性があるため、ネガティブなことは言わないようにしましょう。
反対に、朝礼を表彰の場として活用すれば、従業員のモチベーションも向上するでしょう。
業績は数字で示す
売り上げや利益といった情報について話すときは、必ず数字を伝えましょう。
漠然とした状況を伝えても、正しく把握できません。
「売り上げがいくら、目標までいくらだから○○に力を入れよう」のように、明確な数値を示すことで、従業員も具体的な行動に移しやすくなります。
社員が参加する機会を設ける
経営陣や役員のみが朝礼を行う企業もありますが、毎回一方的に話す形式では社員のモチベーションは上がりません。
たとえば、
- 頭を柔軟にさせるゲームやストレッチを取り入れる
- 全員参加型の当番制にする
など、社員が参加できる機会を設けるとマンネリ化を防げます。
当番制
朝礼は当番制にしましょう。
新入社員も含めて、社員全員に朝礼でスピーチする機会を提供すれば、組織に参加している意識を醸成できますし、プレゼンの練習にもなります。
また、朝礼ネタを探すために、日々の業務や出来事にも高いアンテナを張るようになるでしょう。
発表時間が5〜15分程度であれば、それほど負担になりません。
発表後に拍手
朝礼の発表後は、必ず拍手しましょう。
大勢の人の前でスピーチするのは、非常に勇気がいることです。
勇気を出して発表したにもかかわらず、何も反応がなければ悲しいですし「もう発表したくない」と感じるでしょう。
発表後に拍手をすれば、発表者に不快感を与えず、組織としての一体感も芽生えます。
参加人数は10人程度
朝礼の参加人数は、10人程度に留めましょう。
あまりに人数が多いと、他のことに気を取られて朝礼に参加しない人が出てきます。
反対に、少なすぎると遅刻や欠勤など、何らかのイレギュラーが発生したとき、朝礼ができなくなる可能性があります。
朝礼を行う際の注意点
さいごに、朝礼を行う際の注意点について見ていきましょう。
朝礼の目的を共有する
朝礼の意義や目的を、必ず従業員に共有しましょう。
経営者や役員が一方的に朝礼実施を決めても、従業員が「何のために朝礼を行うのか」「どうして必要なのか」を理解していなければ、意味がありません。
ちなみに、筆者の前勤務先では、持ち回りで毎日朝礼を行っていましたが、意義や目的が共有されていなかったため、ストレッチ法などの適当な発表ばかりになっていました。
“ただ時間を消費するだけ”の無意味なものになっては、発表者と参加者の双方に負担をかけるだけです。
朝礼の時間を有意義にするためにも、情報共有や作業効率向上、コミュニケーションなど、必ず目的と意義を伝えましょう。
発表時間は守る
朝礼を実施する際は、あらかじめ発表時間を決めておき、必ず時間内に終わらせましょう。
発表時間をオーバーすると、メンバーの業務を圧迫してしまいます。
特に、短時間勤務の社員は少ない労働時間で成果を出そうと必死に働いているので、時間にシビアです。
タイムウォッチやアラームを活用して、時間内に終わるよう工夫しましょう。
朝礼スピーチのネタに困ったら
朝礼不要派も多いですが、朝礼を実施すると情報共有やコミュニケーション活発化といった多様な効果を得られます。
リモートワークが普及した現代にこそ、必要と言えるかもしれません。
とはいえ、持ち回りで朝礼をする場合、ネタ探しに困ることも多いでしょう。
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面接はもちろん、朝礼のスピーチにも有益な情報を得られるので、ぜひご活用ください。
ネットやSNSと合わせれば、ユニークな発表で楽しませることもできるでしょう。