グローカル人材とは? グローバル人材との違いや育成方法、企業事例についてご紹介

 

国内市場は既に飽和状態…新しいマーケットを求め、海外進出を視野に入れた人材を探している採用担当者の方に役立つ内容です。

 

突然ですが、最近注目を集めている「グローカル」という言葉をご存じでしょうか。

 

「グローバル」を元にした造語で、これからの時代を生き抜いていく企業として、必ず押さえておきたい言葉の1つです。

 

本記事では、グローカルとは具体的に何を指すのか、取り入れることでどんなメリットがあるのか、といったことについて詳しく解説します。

 

それに加えて、実際に成功を収めている企業や学校の例もご紹介します。

 

「グローカル」について一緒にみていきましょう。

 

グローカル人材とは

「グローカル」とは、英語のグローバル(Global)とローカル(Local)を組み合わせた造語です。

 

グローバルな視点や経験を活かし、地域や地方の活性化、発展に貢献することができる人材のことを意味します。

 

グローカル人材とは具体的に、以下のような人物が該当します。

  1. 世界規模で通用する優れたコミュニケーション能力を持っている
  2. グローバルに活動するための一定水準以上の語学力を持っている
  3. 地域社会や経済の活性化、持続的発展に貢献できるマネジメント能力を持っている

 

日本と海外の国を繋げる役割を担うグローカル人材は、日本のみならず、世界においても、大変注目を集める存在です。

 

グローバル人材との違い

「グローバル人材」と「グローカル人材」は、どちらも企業が求める優秀な人材ですが、意味合いに多少の違いがあります。

 

具体的に説明すると、

  1. グローバル人材→ 『世界規模』で活躍する能力を持ち、リーダーシップを発揮できる人材
  2. グローカル人材→ 世界で活躍できるスキルを持ちながら『地域』に貢献する人材

というように、地域性を持つか持たないかという点が大きく異なります。

 

どちらの人材ともに、世界で活躍できる人材であることに間違いはありません。

 

また、どちらの人材でも一定水準以上の語学力、優れたコミュニケーション能力といったスキルも必要となります。

 

グローカル企業

グローカル企業とは、グローバルなビジネスを展開しながら、各地域の特性を活かした多様な戦略で、事業を広げている企業のことです。

 

グローカルな取り組みをしている企業の対策として、次のようなものがあります。

  1. 外食チェーンが、対象地域の食文化に対応したメニューを提供した
  2. ゲーム開発企業が、現地の法律や文化、宗教に応じた修正を加えて販売した
  3. 日本酒の醸造元が、外国人でも受け入れやすい特徴を持つ銘柄を海外に展開した

 

グローカル人材が求められる背景

グローカル人材が求められている背景には、どのようなことが考えられるのでしょうか。

 

理由は大きく分けて2つあります。

 

詳しく解説します。

 

海外市場に進出するため

理由の1つ目は、世界に自社の市場を広げるためです。

 

日本は少子化にともない、地域の過疎化や人手不足がより深刻になっています。

 

今後はさらに、国内市場のみで地域産業を発展させていくことが難しくなるため、世界を視野に入れた対策が必要です。

 

そういった地域産業発展の戦略としても、世界と地域をつなぐ能力のある、グローカルな人材が注目されています。

 

多様化に対応するため

理由の2つ目は、多様化する時代に対応するためです。

 

昨今、日本国内に住む外国人の割合は増加傾向にあり、それに伴い「企業の多様化」が迫られています。

 

地域に固執することなく、外国人にも受け入れてもらえるような工夫をする必要があります。

 

多様化に対応できると、 外国人に対して地域産物の魅力を伝えることができ、利益を生むきっかけにもなります。

 

グローバルな視点から多様性のある戦略を立てることのできる人材が必要とされる背景には、こういった理由があります。

 

グローカル人材に求められるスキル

世界を見据えた会社の発展に、大きく貢献することのできるグローカル人材ですが、具体的にどんなスキルが求められているのでしょうか。

 

ここからは、グローカル人材に求められるスキルについて解説します。

 

語学力

一定レベル以上の語学力を持つことが最低限必要となってきます。

 

具体的に求められる語学力としては、外国人を相手に、

  1. ビジネス用語を使った会話ができる
  2. 地域の説明や産業の紹介ができる
  3. ビジネスの議論や交渉を行うことができる
  4. 日本独自の労務問題を説明できる(経理や人事)

 

といったレベルの語学が求められます。

 

また、話すだけでなく、英文メールの読み書き、英文でのレポート作成といった業務も必要になってきます。

 

コミュニケーション力

グローカル人材はコミュニケーション能力も必要です。

 

異文化で生活する人々と共に仕事をしていくためには、互いに安心して仕事ができる環境作り、すなわちコミュニケーション能力が欠かせません。

 

コミュニケーション能力の高い人材は、

  1. 相手の話をよく聞いて的確に理解すること
  2. 自分の考えをわかりやすく伝えること

に優れています。

 

自社の人材にコミュニケーション能力がなければ、外国人に自社の魅力や強みを理解してもらうことができません。

 

課題発見力

グローカル人材には、他地域の魅力や課題を見つける能力も必要です。

地域の魅力と課題に気付けることで、相手に対して説得力を与えることができるからです。

 

課題発見能力の高い人材は、

  1. 地域の課題や特性、魅力を見つけることができる
  2. そこからさらに発展させ、地域の特性が役立つことを説明できる

といった能力に長けています。

 

他地域の魅力をしっかり理解することで、相手に「自分たちの文化や課題を理解してくれる人」という安心感を与えることができます。

 

異文化への理解力

他地域の習慣や文化を理解する能力も必要です。

 

地域によって習慣や文化が全く異なるため、文化の違いをしっかり認識できていないと、大変失礼な行為をとる恐れがあるからです。

 

例えば、イスラム教徒が多いエリアでの食事会で豚肉料理を出す、といった行動がこれにあたります。

 

地域との信頼関係を築くためにも、相手の習慣や文化を理解し、尊重することが大切です。

 

ローカライズ

ローカライズとは、特定地域に向けて作られた商品を、他地域や他国でも使えるよう、仕様を転換する能力のことです。

 

自国の文化を押し付けず、異文化を正しく理解したうえで、他地域で受け入れられるビジネスを展開することができる柔軟性も求められます。

 

マクドナルドの「てりやきマックバーガー」は、ローカライズがうまくいった良い例のひとつです。

 

グローカル化のメリット

なぜ「グローカル」が注目を集めているのでしょうか。

 

グローカル化のメリットについて解説していきます。

 

現地スタッフのモチベーションアップ

地域文化に精通している日本人や、日本人ではない現地スタッフを重要ポストに任命することで、現地スタッフのモチベーションアップにつながります。

 

これはとても大きなメリットです。

 

なぜなら、現地の文化や特性を知らない日本人がトップを務めていても、現地採用スタッフのモチベーションが上がりにくいからです。

 

グローバル経営の盤石化

グローバルな経営とは、海外進出した際、その国における文化や価値観などの多様性に対応した経営を行うことです。

 

他地域のことをよく理解し、先を見通すことに長けるグローカル人材がいることで、万が一のトラブルに巻き込まれた際にも、さまざまな対策を講じることができます。

 

多様性に富んだ成長が期待できる

現地スタッフにさまざまな裁量を持たせることで、自国では思いつかないような素晴らしいアイディアを集めることができます。

 

これを活用することで、よりグローバルな経営を目指すことができるでしょう。

 

グローカル化のデメリット

グローカル化によって考えられるデメリットには、どんなものがあるのでしょうか。

 

ここからは、グローカル化によるデメリットについて解説します。

 

カントリーリスク

デメリットとして最初に考えられるのは、カントリーリスクがあることです。

 

カントリーリスクとは、投資している国の政治経済や社会環境等により、多大な損失を被る可能性があることを意味します。

 

内紛の多い地域での活動においては、特に注意が必要となります。

 

本社での雇用機会喪失

グローカルの考え方が拡大すると、日本国内で雇用する人材を最小限まで減らす必要がでてきます。つまり、本社での雇用が減少してしまうのです。

 

人材は現地で確保した方がコストパフォーマンスが良く、同時に生産性も上がることから、国内の支社ではリストラが行われることも珍しくありません。

 

いかに、日本国内の雇用状況を悪化させずに海外進出を成功させるか、そこに日本の未来がかかっていると言っても過言ではありません。

 

グローカル人材育成の取り組み

グローカル人材の育成にはどのような取り組みが有効なのでしょう。

 

ここからは、グローカル人材育成を成功させるためのポイントを、3つの事例をあげて解説します。

 

トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム

このプロジェクトは、官民協働のもと、意欲と能力ある全ての日本人が、海外留学に踏み出す機運を醸成することを目的として開始された「留学促進」企画です。

 

具体的な目標は、派遣される留学生を、

  1. 産業界や社会で求められる人材
  2. 世界を視野に入れた活躍ができる人材

に、育成することです。

 

以下の3コースで構成されています。

  1. 大学生等コース
  2. 高校生コース
  3. 地域人材コース(グローカルリーダーを目指したい人が対象)

 

このプロジェクトを通じて、海外体験の魅力を伝えながら、日本全体の留学意識向上を目指しています。

 

参考:文部科学省:『トビタテ!留学JAPAN – その経験が、未来の自信。

 

グローカル人材開発センター

特定非営利活動法人グローカル人材開発センターでは、グローカル人材の育成に関する科目を学ぶことができ、資格取得を目指すことも可能です。

 

オリジナル研修では、

  1. 主に若手や中堅社員を対象とした異業種合同研修プログラム
  2. 会議の質を高めるためのスキルを学ぶ研修
  3. 日常生活のなかで触れる異文化をきっかけに自発的な学習を促す英会話レッスン

といったことを行っています。

 

参考:グローカル人材開発センター『グローカルセンター

 

大学のグローカル人材育成プログラム

昨今の急激な少子高齢化に伴う人口激減により、地域経済の縮小が深刻化している地方では、積極的なグローカル人材育成プログラムが行われています。

 

ここでは長崎と京都の例を紹介します。

 

大学コンソーシアム長崎

各教育機関の充実、地域の行政や産業界と連携しながら地域社会の発展に貢献することを目的に開設された組織です。

 

大学コンソーシアム長崎は、長崎の8つの大学と2つの短期大学、1つの高等専門学校で構成されています。

 

各種ボランティアや学生の自主企画活動、単位互換制度や企画委員合宿といった活動を通して、グローカル人材の育成を支援しています。

 

参考:大学コンソーシアム長崎事務局:『大学コンソーシアム長崎事務局 』

 

京都産業大学

京都産業大学では、グローカル人材に求められる能力を具体化した職能資格「グローカルプロジェクトマネジャー(GPM)」を定めています。

 

それぞれの認定機関は以下の通りです。

  • 資格発行機関 → NPO法人グローカル人材開発センター
  • 認証機関 → 一般財団法人地域公共人材開発機構(COLPU)

 

この資格を取得することで、主体的にコミュニケーションを取り、課題の発見から解決を導く能力があることを、第三者に証明することができます。

 

参考:京都産業大学『京都産業大学』

 

企業でできるグローカル人材育成の方法

企業はグローカル人材を育成する方法について、正しく理解する必要があります。

 

正しい方法で実践し続けることで、グローカル人材を育成でき、より良い成果が期待できるからです。

 

ここからはグローカル人材育成の方法について解説します。

 

グローカル人材の研修を受けさせる

グローカル人材を対象とした研修を行うことで、幅広い知識を学び、必要なスキルを身に付け、即戦力として業務に就くことが可能となります。

 

グローカル人材の研修内容として、

  1. 会話の内容を可視化してスムーズな議論を生み出すスキルアップ
  2. 異業種合同研修により対話型で実践していくプログラム
  3. 語学力を鍛える英語学習のプログラム

などの導入を検討する必要があります。

 

グローカル人材はさまざまなスキルが必要になるため、一人ひとりにあったプログラムを考え、慎重に指導を行っていくことが重要でしょう。

 

社員を留学させる

グローカル人材を育成するひとつの方法として、社員を海外に留学させることも有効です。

 

書籍や外国人の話を聞いているだけでは、グローバルな視点を身につけることは難しいです。

 

海外へ留学し、現地で実際に生活をすることで、外国人の価値観や考え方を実感でき、よりリアルなグローバル視点を学習できます。

 

また、海外留学によって語学力向上も見込めるため、グローカル人材に必要なスキルを身につけられます。

 

グローバル市場で活躍した人材の活用

グローバル市場で活躍してきた人を採用することも効果的です。

 

その人材のノウハウや経験を活かし、自社のグローカル人材育成を目的とした講師として、経験やスキルを社員に指導してもらうことができるからです。

 

マーケティング方法や地域と海外の結びつけ方といった、実際の体験や経験を聞くことで、生きた戦略方法を学習することが可能です。

 

グローカルを実践する企業例

世界的水準で事業を展開しながら、他地域の特性に合わせたサービスを提供している企業は多くあります。

 

ここからはグローカルな取り組みを行っている企業について、実際の事例を挙げて解説します。

 

マクドナルド

世界的に展開するファストフードチェーン「マクドナルド」の取り組みは、グローカルの顕著な例として、世界中に広く認知されています。

 

マクドナルドは自国の売れ筋商品を販売するだけでなく、他地域に密着した商品開発を進めることで、世界一のハンバーガー店となりました。

 

日本の「てりやきマックバーガー」やトルコの「マックトルコケバブ」といった、地域を限定した商品開発に力を入れ、成功をおさめています。

 

ケンタッキーフライドチキン

ケンタッキーフライドチキンの本社はアメリカで、展開している基本メニューに大きな違いはありませんが、味やサイズなどは地域に合わせて変えています。

 

例えば、インドでは「ライスボウル」やベジタリアン向けメニューを揃えるなど、地元民に広く受け入れてもらうことのできる工夫を凝らし、成功をおさめました。

 

IKEA

家具量販店「IKEA」の事例も、グローカル企業の顕著な例です。

 

ご存じの方も多いと思いますが、北欧インテリアショップ「IKEA」はスウェーデン発祥の企業です。

 

「イケア・ジャパン株式会社」として日本法人化し、IKEAらしいデザイン性を保ちながらも、日本の住環境に適した商品展開を行ったことで、現在の人気を築きあげました。

 

イオン

イオンも2011年から「グローカル経営」を始めました。日本だけでなく中国やアセアン3ヵ国(インドネシア、ベトナム、カンボジア)に9つのモールを展開し、各国の

 

文化や伝統に根付いたライフスタイルを提供しています。

 

また、同社は脱炭素や環境にも配慮した調達方針を打ち出すなど、サスティナブルな経営にも積極的に乗り出しています。

 

グローカル人材で企業に新たな風を

グローカル人材は、多言語が操れるといったグローバル人材とは違い、ローカルへの関心も高い人材です。

 

デメリットを理解したうえでグローバル人材を採用すれば、騎乗新しい風を吹き込めるでしょう。

 

グローカルを実践している企業も多いので、参考にしてみてください。

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